概要
兄さんは父さんで、僕をとても大切にしてくれて、だから少し気に食わない
—— 兄さんだと思っていたのに、父さんだった。
中学1年生の佐伯 夕雨(さえき ゆう)は、社会人の佐伯 時雨(さえき しぐれ)とふたりで暮らしている。
ふたりは兄弟として育てられたが、夕雨が10歳のころ、両親の急逝をきっかけに時雨が実の父親であることを知らされた。
ひどく過保護に甲斐甲斐しく夕雨の面倒をみる時雨、
優等生の顔つきをしながら静かに反抗を繰り返す夕雨。
同級生の一ノ瀬 昴(いちのせ すばる)との慰め合いを重ねながら、時雨との不安定なつながりに心揺さぶられる日々を過ごす。
それはまるで、しぐれた空模様のようで。
★★ ご注意 ★★
・BL(同級生)ものです。
・具体的な名称を使う事は避け、文学性を高めるように注意していますが、性的な行為について表現している箇所があります。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!お父さんと呼ぶには若すぎる。でも、彼は紛れもなく俺の父親だ。
歳の近い父、時雨さんと暮らす夕雨くんは、常に期待と諦めが入り混じる複雑な感情を抱えています。そしてそれは時雨さんも同じです。お互いに、一歩近づいたと思ったら離れていくような、絶妙な距離感の中で物語が展開されます。
一般的に想像するような親子の関係、何でも話し合えるような対等な関係ではなく、どこか距離を感じるような、全体的には暗めな印象のこの作品。しかしその中で、些細な感情の揺れや行動の変化がダイレクトに伝わってくるので、二人の世界に没入できます。
夕雨くんの純粋な子ども心や、時雨さんの大人になりきれていないような人間らしい弱さも、この物語の魅力です。仲良しの昴くんや、時雨さんの会社の先輩…続きを読む