初めての日焼け
クライングフリーマン
日焼け跡
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
初めての日焼けだった。小学校3年だったかな。
隣組で、海水浴場に行った。
私は泳げなかった。
ひたすら、「見学」。
つまらない。
でも、何時間後だったか、近所のおにいちゃん達が『スイカ割り』しようと言い出した。
ちゃんと、スイカは用意されていた。
何人目かで私の番になった。
手ぬぐいで目隠しされたが、実は見えていた。透視能力があった訳でなく、若干ずれていた。
私は、全く見えないよう『演技』した。
ズルしようと考えたのではなく、「見えない」と言うと白けるなと感じたのだ。
何度か逡巡して、振り下ろした棒は、スイカの端に当たった。
拍手!!
泳げなかったままだったが、誰も泳ぎを教えてくれなかったが、楽しい思い出は出来た。
だが、夜。地獄が待っていた。
海に浸かっていない分、私の肌は日光に晒されっぱなしだった。
「痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!!」
まだ2階が出来ていない頃で、姉はお婆ちゃんの部屋で寝て、私と妹は母と父の間で寝ていた。
母が『オ〇ナイン軟膏』を塗ってくれたが、明け方まで痛いままだった。
新学期。学校に行って、日焼けの話をすると、「俺も焼けたよ。」と肌を見せてくれた。
『上には上がある』。彼のグレードの高さに『完敗』した私だった。
今でも泳げないままだ。
正確に言うと、中途半端なままだ。
中学の時、同級生が同情してプールに付き合ってくれた。
バタ足で、1.5メートル進んだ。
でも、それきり、チャンスは無くなった。
温泉や風呂の中で数秒潜ることは出来るようになったが、呼吸法は掴めないままだった。
同級生に特訓して貰った時、日焼けのことを言ったら、「泳げなくても海に入れば良かったんだよ。」と言われた。
正論である。
今は、海・川・山・プールで日焼けすることはないが、『自転車焼け』する。
日焼け止め使う程ではないが、『小麦色』に焼ける。
食べ頃のトースト色だ。
日焼けの肌は、秋まで日焼け色だ。
だが、翌年GWに気づく。日焼け色じゃない。
そして、夏が来ると、日焼けサロンにも海にもプールにも川にも山にも行かず、『日焼け』発生。少し自慢。
その内、骨まで『火焼け』する時が来るけどね。
―完―
初めての日焼け クライングフリーマン @dansan01
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