片思いの恋

東井タカヒロ

その恋は

 誰しもが恋はする。

 それが、片思いだとしても。


 私は今、陸上部のケイスケに恋をしている。

 授業中でも、部活中でも、いつでも彼のことを考えてしまう。


 胸の高鳴り、心が温かくなる。

 でも、彼と付き合えないのは分かっている。


 ケイスケには、彼女が居て、他にもたくさんライバルがいるし。

 それに比べて私は、図書委員で、目立たないし、眼鏡で地味だ。


 でも、こんな私でもケイスケと出会うチャンスがあった。

 本来、会うはずのない彼と話すことが出来る機会――。


 図書館で、いつものカウンターに座っていると、彼が私に本の場所を訪ねきた。

 私は、その場所まで案内した。

 そしたら、彼が一言こう言ったの。


「君、物知りなんだね。助かったよ」


 私は、この図書委員をやってきて良かったと思った。

 そして、同時に彼に心を奪われた。


 それから、毎回彼のことが頭にちらついてしまう。

 ただの感謝、ケイスケ君からしたら名前さえ知らない相手。


 私は、ケイスケ君に恋をしている。

 たとえ、ケイスケ君が見てくれなくても、秘かに片思いをする。

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片思いの恋 東井タカヒロ @touitakahiro

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