あの子とは……結局最後の最後まで、分かり合えなかった

全て読み終えさせていただきましたが……実に心地よいカタルシスに包まれています。
それもこれも、解決に至るまでのスリルある謎がこれでもかというほど畳みかけ、その上で中盤でやっと手に入れられた一つの光明、そこからの怒涛の展開……話の展開が見事なためだ、と言わざるを得ません。
途中挟まる母親としての苦悩や女性としての生々しい劣情、教育者としての心苦しい心境など、細やかな心理描写によるアクセントが要所要所で光っているのも、主人公の人間性の解像度が高まっていって、実に感情移入がしやすいです。

各お話のサブタイトルも実に良く考えられ、統一感あるものになっているのがまた見事です。
こういった統一感があるの、個人的には大好きなんですよね。
こういう工夫は、一定のセンスがなければなかなかうまくいかないものです。

実に読み応えがあるサスペンス作品でした。

その他のおすすめレビュー

お仕事中の情シスさんの他のおすすめレビュー635