全て読み終えさせていただきましたが……実に心地よいカタルシスに包まれています。
それもこれも、解決に至るまでのスリルある謎がこれでもかというほど畳みかけ、その上で中盤でやっと手に入れられた一つの光明、そこからの怒涛の展開……話の展開が見事なためだ、と言わざるを得ません。
途中挟まる母親としての苦悩や女性としての生々しい劣情、教育者としての心苦しい心境など、細やかな心理描写によるアクセントが要所要所で光っているのも、主人公の人間性の解像度が高まっていって、実に感情移入がしやすいです。
各お話のサブタイトルも実に良く考えられ、統一感あるものになっているのがまた見事です。
こういった統一感があるの、個人的には大好きなんですよね。
こういう工夫は、一定のセンスがなければなかなかうまくいかないものです。
実に読み応えがあるサスペンス作品でした。
娘を亡くした高校教師の久我晶子が、勤務する学校で起こる連続自殺事件の謎を追う学園ミステリー。ミステリーでありながら、サスペンスの要素もあると私は感じました。
本作のキャラクターは本当に生き生きとしていて、まるで実在する人物のようです。まじゅさんのキャラの作り込みの凄さを感じられます。
特筆すべきは、圧倒的な表現力。細かい部分までしっかりと情景が描写されているので、まるで主人公の晶子とともにその場所に居合わせているかのような臨場感を味わえます。
そして、とても読みやすい文章で、すらすらとお話を読み進めることができます。
なぜ晶子の周囲にいる人々が自殺していくのか? 晶子の記憶が曖昧なのはなぜなのか? そして、自殺する人々のそばにある不可解な数字が意味するものは?
今後の展開から目が離せません。