夏の氷

木谷日向子

夏の氷

水に溶けそのひとしずくもらい受け入道雲の熱と生きつつ



涼探し手元にあるにも気付かずに人が作りし氷ばかりを



夏の海澄んだ氷の青さには似てはいないが涼には勝てず



かき氷紅い湖生まれてるその中央に雪のかけらが



朝起きて乾きを覚え水を飲む物足りなさに氷ひとつぶ



足先を冷やしふたたび生きたいと氷望みしこの肉体を



七夕に広がる灯りみつめつつひときわ氷の色したあの星



夢に見た熱い真夏が終わる時体冷やした氷の味を



この夏をともに生きしは友でなく冷蔵庫からうまれた氷



水浅葱空に広がるあの色を氷透かしてより清らかに


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夏の氷 木谷日向子 @komobota705

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