第一話 勇者と転生

「…どこだここ…。」

気がついたら目が覚め、俺はベットで横たわっていた。



「…俺ん家にベットなんかなかったけどな…。」

でも何となく見覚えのある部屋だな…。どこかで見たような…?


俺がおぼろげな意識ながらそんなことをかんがえていると。

バンッ!と部屋の扉が開かれた。


「オルヴィン!?あんた起きたの?」

「…誰だあんた?」

「誰だって…あんたの母親よ!母親のク・レ・ア!」

「何だって?」

俺はこんな金髪ママの息子じゃないぞ!

そう言いかけた時あることに気づく。

(待てよ…オルヴィン…!?じゃあまさかこれは…)



「あの…この王国の名前って…?」

「何を馬鹿なこといってんのよ…フェロチェンド王国に決まってんでしょ…。」

(やっぱりそうだ…!ここは「勇者伝説」の世界…!俺は転生したんだ!)

しかも何を隠そう「勇者伝説」でオルヴィンときけば思い当たるのは一人しかいない。

そう、「勇者」オルヴィンである。




「勇者伝説」。三国が前世でプレイしていた一時期流行っていたゲームだ。

勇者伝説は他のRPGと違い、シナリオがずば抜けて面白いと評判で、

三国にもレビューにつられて買ってしまった。

内容としてはメインヒロインである聖女が人間界を脅かす存在「魔王」であること。

ただそれだけ。だが勇者と聖女の馴れ合いからラストまで目を離せるところが一切なく、寝る暇を惜しんでプレイする人が続出。大ヒット作品となった。

(でも俺は最後までプレイしてないだよな…)

途中までプレイしたが、死んでしまった三国はラストを知らない。

聖女は勇者と幸せになるのか…それとも…。

(でも俺は何があろうと聖女を幸せにしてみせる…!勇者に転生したんだ、そうじゃなきゃ

もったいないだろ!)

この世界での目標は決まった。そうと決まれば魔法の修行だ。

(勇者伝説のラスボス「魔王」のレベルは約80ぐらいだった気がする…でもこの世界に

レベルの概念はあるのか?)

俺はそう思いながら口にした。

「ステータス、オープン!」

 …

 …

 …

何もでてこない。てことはこの世界にレベルの概念はない…?

いや、待てよ…もしかすると俺の認識が間違っていたのかもしれない。

勇者伝説本編では魔法のことを魂を「座」から下ろす儀式だと語っていた。

(魔法を使う時も魂開一節!とか言ってたもんな…)

まあともかく、魔法=魔力っていう認識が間違っているわけか。

となれば魔力…いや魂力?を鍛えるにはどうすればいいか…俺は

最終的にある結論に至った。…死にかけるかもしれないがな…

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勇者に転生した俺だけが聖女が魔王だと知っている @kisa3141

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