ルール怪異の話です。
何故か怪異は規範を持つ場合があり、それらは逸脱を嫌います。
その理由も理非も、人にはわかりません。
ただ強制力持つ人外が定めたとおりに────
〝儀〟という法則に則り。
〝式〟という手順で行う。
結果として、呪った先か元かで人が死ぬ。
そんな機構なのでしょう。
もしかするとルール怪異自体も、そのルールに取り籠められているのかも知れません。
この物語を読む者は話が進行するとともに段々と物語の大まかな輪郭がわかってきます。
でもきっと面白さは、解かれた謎の中だけではなく謎のままで続く物語それ自体にあるのです。
本作は様々な人物達が体験した忌まわしい記録です。
どうぞ、読んでみてください。
人々の怨嗟と苦悶のなかに、北叟笑んでいる〝何か〟を見られますから。
呪詛や呪術、というものが真に迫る形で描き出され、ゾワゾワと来る魅力がありました。
「クォンさま」と呼ばれる儀式。必ず「奇数」で行うこと。「バン・ピン・ラウクー」という呪文を唱え、対象とする存在に呪いをかけること。
それを行った人間たちと、その顛末。それらが「とあるインタビュアー」によって提示されていきます。
本作には「ある仕掛け」があり、読み進めるごとに読者の心には「ふとした引っ掛かり」が生まれていくことになります。謎めいたセリフ回しや、その後に起こった出来事。そうした感覚が徐々に積み重なって行くことに。
最後の最後で明かされる真相。モキュメンタリー形式の本作で、こんな「収束」を楽しませてくれるとは、と嬉しくなりました。
ホラーであり、リアリティに満ちたモキュメンタリーであり、そしてミステリーとしても楽しめます。テンポよく読め、最後にしっかりとカタルシスを味わわせてくれる、とても満足度が高い作品でした。