尊みが大渋滞

リアルだと着られないコーディネートや、部屋に置けないインテリアはありませんか? 自分好みのアイテムを選んで着せ替えや模様替えができる空間は、まさに夢のような場所ですよね。本作の主人公・日和も『バーチャル・ドール』にログインして、アバターや部屋を可愛く飾っていました。
『バーチャル・ドール』でできることは、好きなアイテムをカスタマイズするだけではありません。アプリ内で出会った友達と、アバター越しに交流することも可能なのです。

日和がアプリで仲良くなった友達・れもんとのやりとりは、実際に日和が操作している画面を見ているようで、微笑ましく感じました。

新入生代表挨拶を引き受けるべきか悩む日和に、背中を押してくれたれもん。
ドキドキしながら迎えた本番で日和を助けてくれた同級生との交流がきっかけで、日和のリアルは少しずつキラキラしたものになっていって――

日和たちのような思春期まっさかりの中学生のときは、前まで好きだったものも成長していったら卒業しないといけないのではないかと思うことも出てくるでしょう。
いつまでも好きなままでいる自分はだめ? 好きでい続けるなら隠していた方がいい?
いいえ、そのようなことはありません! 不安を持っている方も、本作を通じて好きを楽しむ勇気をもらえるはずです!

大きくなっても、どんな人でも、好きなものを全力で楽しんでいい。
温かくて優しい世界がもっと広がれと思いながら、好きなものに夢中になれる幸せを改めて噛みしめたくなった作品です。

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