続編を描きたい漫画家

第1話

男「あなたには生きてる価値がある。だから死んではダメ。昔、君は僕にそう言ってくれた」

女「ええ言いましたよ」

男「じゃあ、その銃を下ろしてくれないか？」

女「『人間には生きてる価値がある人間と生きてる価値のない人間がいる。あなたの作品は素晴らしい。だから、あなたには生きてる価値がある。死んではダメ』と私は言いました。でも、もう素晴らしい作品を作り終えたのだから、古い作品に固執続けるならあなたには生きてる価値はありません」

男「どうして作品だけを褒め称えて、作者は蔑ろにするんだ？」

女「私だって先生のこと殺したくないですよ。でも、あんなに完璧に終わった素晴らしい作品の続きを出すのだけはやめてください。お願いだから、私たちの世界を壊さないで下さい」

男「読んでいないのに知ったような口を聞くな」

女「……読みましたよ、先生がいない間に。とても酷い出来でした」

男「君に何がわかる？」

女「わかりますよ。先生と一緒に4年間も作品を作り続けてきたんですから。あんな作品、編集部が許したとしても担当編集の私は絶対に許しません。なんで過去の栄光に縋り続けるんですか？　あの作品はもう完結したんですよ。発行部数が10億も突破した皆が愛してる作品をあなた一人のエゴで壊すのはやめて下さい。本当に迷惑です」