第10話:魔導の根を探して

 バナナ王国の果汁貯蔵庫が爆発してから数日。

王国の魔導融合システムは不安定な状態が続いていた。


 「このままでは、王国全体が魔導暴走に巻き込まれる可能性がある」

キウ・ロジックの言葉に、議会は再び緊張を強めた。


 「原因を突き止めなければ、王国は腐る」

バナナートは静かに言った。


 こうして、調査隊が編成された。

メンバーは、バナナート、キウ・ロジック、グレープ・シャドウ、そしてパイナ・スラッシュ。


 目的は、果物世界の中心にあるとされる「魔導の根」――果物魔法の源流を探ること。


~道中の対話~

 旅の途中、グレープ・シャドウはキウに問いかけた。


 「君は、魔導の理を信じる者だ。だが、理だけで世界は守れるのか?」


 キウは答えた。


 「理は、感情を制御するための器だ。だが、器が空なら意味はない。……君の器には、何が入っている?」


 グレープは沈黙した。

その瞳には、かつて失ったものへの痛みが宿っていた。


~試練の地~

 一行は、古代果物族の遺跡に辿り着く。

そこには、果汁で動く魔導装置が眠っていた。


 「これは……融合の原型だ」

キウが驚きの声を上げる。


 だが、装置は暴走を始め、遺跡全体が崩れ始める。


 「逃げろ!」

パイナが叫ぶ。


 その時、グレープ・シャドウが魔導波を放ち、装置を封じた。


 「……俺の力は、破壊だけじゃない。守るためにも使える」


 遺跡の奥で、一行は「魔導の根」の記録を発見する。

そこにはこう記されていた:


 > “果物の力は、混ざり合うことで真の魔法となる。だが、心が腐れば、力も腐る”


 バナナートは静かに呟いた。


 「やっぱり……混ざることは、間違いじゃない。問題は、どう混ざるかだ」


 王国に戻った一行は、議会に報告を行う。

グレープ・シャドウは、初めて議場の中央に立ち、こう言った。


 「私は、融合を恐れていた。だが、君たちの絆を見て、希望を感じた。……だから、私はこの王国に力を貸す」


 議場は静まり返り、そして拍手が起きた。


 こうして、ブドウ族は正式にバナナ王国の同盟果族となった。

果物たちは、違いを超えて、ひとつの未来を目指し始めた。


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転生したらバナナだった(笑) @kaki3gou

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