まず、この作品は『小説の皮を被った楽曲』という表現をさせていただこうと思います。それはもちろん比喩表現に過ぎません。しかし、内容に触れるとヴィランを薙ぎ倒していく戦闘シーンや、主人公・ナナコの過去といった描写が、脳内で旋律を奏でていくかのように再生されるのです。
バンド名が出る度に『実在しそう』と思ってしまうのに、現実では起きて欲しくない事件の数々……。
その対極さがクセになっていくこと間違いなし!
物語を彩る、個性的なキャラクターも魅力的です。
楽器の新しい『使い方』を伝授してくれる指南書のような本作を手に、ベースを携えたくなりますよ!
本作は、言葉の重低音で我々を揺さぶる、体感型のフィクションです。
冒頭から登場する主人公・草薙ナナコはいきなり度肝を抜いてきます。
七理チアキさんが持つ繊細さと、ナナコの鮮烈さ。
このふたつが混じり合って突き進む物語は、どこまでも熱く、どこまでも丁寧。
人物や風景の描写は実に細やかで、
言葉の選び方やネーミングセンスは、丁寧な構成の中でも尖っています。
そしてやはり語るべきは、最初のピークともいえるライブシーン。
これはもう、説明よりも体験していただきたいです。
汗の一滴まで感じるような臨場感を味わえること間違いなしです。
非リアルとリアルの境界が曖昧に溶け、
気づけば読者のこちら側まで言葉の熱に巻き込まれているのです。
音楽好きも、格闘技好きも、そうじゃない人も、のんべえも。
みんなで肩を組んで、いっちゃいましょう。
彼女たちが待つステージへ!
ナナコは激怒した。
必ず、かの理不尽を除かねばならぬと決意した。
ナナコには「大人6」と言われても新大久保の相場が分からぬ。
ナナコは、ハコの楽人である。ベースを鳴らし、音と遊んで暮らして来た。
けれども、身体接触に対しては、人一倍に敏感であった。
作品の内容に触れるのは、ここまでにしておこう。
さて、いきなりとんでもないことを言う。
この作品は小説ではない。
では何か。
答えは、楽曲である。
これは譜面なのだから、けして黙読してはならない。音読するのだ。
『祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり』
そう、国語の時間に音読した、平家物語の一節のように、
あなたもひとりの琵琶法師となって音読すべきなのである。
そうしなければ、この作品の真味は十全とはならない。
いいから読みたまえ。しかも、のろのろと読んではならぬ。
ラッパーのように、プロレスの実況者のように、一気呵成に勢いよく読み下すのだ。
そうすれば、この作品のバイブスが感じられるだろう。
破天荒極まる主人公とその仲間たちの、「普通」ではない「普通」を。