『Tropical Therapy』──魂に休暇を与える処方箋

 最近の創作生活は、まるでシステムの檻に閉じ込められているように感じる。

 同じ毎日の繰り返し、PV 数も伸びず、心はもうどこか遠くへ飛んでしまったかのよう。

 でも現実の重さに引き戻される。新しい物語を書こうとしても、頭の中はぐちゃぐちゃで、


「どうしてこんな状況になったんだ」と自分に問いかけるばかり。

「もっと人気の作品を書きたい」という焦りが、かえって重荷になっていたのかもしれない。


 だからこそ、プレイリストから〈Tropical Therapy〉が流れてくるたび、救われるような気持ちになる。

 自然と口ずさみ、少しずつ呼吸が整っていく。


 この曲はまるで人生の「一時停止ボタン」。

 永遠に逃げるわけではなく、まずは混乱から少し距離を置いて、深呼吸し立て直す時間をくれる。


 もし〈Renegades〉が革命の叫び、〈NASTY〉がストリートの反抗なら、

〈Tropical Therapy〉は自分への「一度落ち着こう」という優しい声。

 休息もまた生きるために必要なもの。


 ONE OK ROCK はこの曲で、

「どんなに強くても、自分を癒す時間が必要だ」と教えてくれる。



 曲の冒頭ではこう歌う:


「また同じシステムの中の一日。魂はもう空に飛んでいる。」

 日常への倦怠感と、心だけが現実から離れてしまう感覚が一瞬で伝わる。


 さらに続く:


「ウイスキーを一杯飲んで落ち着きたい。荷物を下ろさなきゃ、人生は重すぎるから。」

 このイメージこそ、この曲の核。重荷を降ろして、身軽になろうというメッセージだ。


 サビでは、解放のイメージが一気に広がる:


「今夜こそ楽園へ飛びたい。頭の中はそれだけでいっぱい。

 この自分で作った混乱から抜け出させて。自由になりたい、トロピカルな癒しを!」

 これは現実逃避ではなく、心を再起動するための儀式のよう。


 そして特に好きなのは:


「魂が導いてくれる、悪魔に見つからない場所へ。」

 ここでいう「悪魔」はプレッシャーや不安の象徴。

 心を安全な場所へと連れていく羅針盤のような言葉だ。



 私にとって〈Tropical Therapy〉は、単なる軽快なバカンスソングではなく、心の再起動の儀式だ。

 創作も生活も、呼吸できる余白が必要なのだと改めて思い出させてくれる。


 ときには戦うことばかりに必死で、立ち止まることを忘れてしまう。

 でも休むことも、生きるための大切な一部。


 この曲を聴きながら、私は心の中で「自分だけの楽園」を思い描く。

 そこには批判も数字のプレッシャーもなく、自由な発想と新しい地平線だけがある。


 みなさんはどうだろう?

 創作や仕事で行き詰まったとき、どんな方法で自分なりの「トロピカルセラピー」を見つけている?

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『ONE OK ROCKを語る』 雪沢 凛 @Yukisawa

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