蒼天乃王(あらすじあり)
つばき
蒼天編
目次
一第一章 呪詛
二第二章 神々の子
三第三章絆
四 第四章英雄王子と成精鉱王女
五第五章 第四戦争
六第六章対決
七第七章運命
八第八章呪詛切り女王
九第九章蒼天乃心
十第十章光と闇
十一外伝
あとがき
蒼天乃王」
【ペンネーム】
白蛇
椿
【あらすじ】
時は平成二年、四月 友也と光天と名乗る王が日本に存在した。二人は互いに平和な夢を築くため夢を描いていた。
蒼天乃雲が空一面にあり、民が平和に暮らす、争いのない世界、そして、自分が蒼天乃王になり、人々を幸せにする夢を見ていた。二人は友だったあの頃…だがその夢は理想を超えた。
超えた夢は 二人を戦わせる夢に追い込んだ。
この物語の主人公、斎藤友也は光と闇と火を操るなど、様々な力を持つ国。それが光天国である。
その国の王の名は光天光といった。
そして王はこうも呼ばれていた。光様と。
だが青龍国はその国を許せなかった。自分の国より豊かに国を栄えさせていたからだ。
そして、人々まで幸福にさせていたその力を恐れていたのである。
友也は光天国に軍を率いて、光天をつぶそうとした。
一方、光天は友也の動きに気付いた。
光天は軍を率いて、友也と和解するため、友也にたちむかった。だが二人の強さは
五角であった。だが力は光天が上手だった。
友也は自分に危機を感じ、一次撤退を余儀なくされた。
友也は青龍家に帰還した後、次ぎの作戦を遂行することを決断した。
その作戦とは光天の娘に呪詛をかけ、光天光を呪詛で殺害することだった。
蒼天の戦が始まる
【第一章】 呪詛
ここは日本。日本には多くの町が存在する。住宅や様々な店もある。けれど今の人々はまだ知らない。町が栄える前に、貴族が日本に住んでいたことを。
これはそんな国を変え、人々を幸福に導いた王の物語である。
千九百九十年、四月二十日。
この日本は貴族が住む国であった。
日本は神の力を持つ貴族が守っていた。
東北地方を守る青龍国。彼らは関東と九州を守る貴族である。
その王は斉藤友也。優れた青龍の力を持つ王である。
彼は人々からこう呼ばれていた。青龍様と。
彼は英雄と讃えられていた。しかし、彼と同じくこの日本を守る王が存在した。
中国地方と近畿を守る貴族が岡山に存在した。
【第二章】 呪詛
ここは日本。日本には多くの町が存在する。住宅や様々な店もある。けれど今の人々はまだ知らない。町が栄える前に、貴族が日本に住んでいたことを。
これはそんな国を変え、人々を幸福に導いた王の物語である。
【呪詛】
千九百九十年、四月二十日。
この日本は貴族が住む国であった。
日本は神の力を持つ貴族が守っていた。
東北地方を守る青龍国。彼らは関東と九州を守る貴族である。
その王は斉藤友也。優れた青龍の力を持つ王である。
彼は人々からこう呼ばれていた。青龍様と。
彼は英雄と讃えられていた。しかし、彼と同じくこの日本を守る王が存在した。
中国地方と近畿を守る貴族が岡山に存在した。
光と闇と火を操るなど、様々な力を持つ国。それが光天国である。
その国の王の名は光天光といった。
そして王はこうも呼ばれていた。光様と。
だが青龍国はその国を許せなかった。自分の国より豊かに国を栄えさせていたからだ。
そして、人々まで幸福にさせていたその力を恐れていたのである。
「くそっ。よくも我が国よりこの日本を先に幸福にしたな。断じて許すわけにはいかない。」
青龍王は怒りを増していた。
側近兵は言った。
「どうします、王様。彼らは兵まで強化しています。このままでは奴らに支配されてしまいます。今までの統一が無駄になります。」
王は笑って言った。
「名案がある。生まれたばかりの姫に呪いをかけよう。そして、攻め込むのだ。これこそ我が器にふさわしい統一だと思わぬか。」
兵は答えた。
「はい。とてもすばらしい考えです。では青龍家の秘伝術を用意いたします。」
「頼んだぞ。」
しばらくして兵士は王の前に来た。王は尋ねた。
「準備は出来たか。」
「はい。ただ今用意いたしました。それでは始めます。」
「承知。」
兵士は術を唱えた。
「ああ神よ。今こそ姫に邪悪な呪いを与えたまえ。ブリーダーク!」
一方その頃、光の国で生まれた鈴は、体中に闇が大量に放たれた状態に陥っていた。姫は泣き始めた。
…おぎゃあ。おぎゃあ…
「あなた、姫の体が闇に侵されたの。もうこの国は終わりよ。」
母は姫を抱きかかえながら泣き崩れた。側にいた鈴の姉、五月は母に寄り添い言った。
「お母さん。大丈夫よ。」
「五月…。」
王は三人の側に近寄り、こう言った。
「大丈夫だ。光でどうにかする。ライトオーダ!」
王は光で姫の体を浄化し始めた。
一方、友也は第二の呪文を唱えようとしていた。
「王様。第一の闇をかけることに成功しました。」
「よくやった。姫の様子はどうだ?」
「はい。闇が放たれた事に気づき、どうやらそれを王が浄化しているようです。」
「よし、チャンスだ。第二の術を私が唱えよう。さあ準備は整った。では始めるぞ。」
友也は術を唱え始めた。
【術式】
「いにしえの青龍よ。邪悪な光を払い、姫を悪しき闇で覆うのだ! ダークレイスン!」
光天光の力が姫の中に入り込み、次第に浄化しつつあったが、第二の術が放たれた瞬間、再び闇が少しずつ姫を包み込んでいった。そして闇はだんだんと激しくなり姫をさらに包み込んでいった。
王妃は驚いた。
「あなた…こんなことって。」
王は再び大量の闇が放たれたことに驚いた。
「そんな。私の光が効かないなんて。だが安心しろ、希望はある。いつかこの子を闇から救ってくれる王子が現れる。それまではこのペンダントが守ってくれるのだ。これは王家に代々伝わる光のペンダントだ。イエス様がこのペンダントに光を入れてくださったという。これをつけていればきっと姫を守ってくれるはずだ。」
王妃は姫を見つめながらかすかに笑って言った。
「そうね。姫神様のお導きで必ずや光に守られますように。」
姫は両親に守りのペンダントをつけられ静かにすやすやと眠りについた。
王は決意した。
「王妃よ。私は兵を率いて奴らを破壊する。たとえ、刺し違えても・・・構わん。」
王の決意を聞いた王妃は言った。
「王様、それがあなたの意志なのですね。わかりました。では私はこの城と民と町を守ります。」
王は言った。
「ありがとう、王妃…。よし、兵ども。これから青龍国に攻め込む。貴様ら行くぞ! この国のイエスに誓いを立て、奴を叩くのだ!」
「はい!」
「参るぞ!」
王は岡山から二百万の兵を率いて各県を統一しながら、敵のいる東京についに入り込んだ。
一方、青龍家を守る兵はその異変に気づいた。
「大変です。王様。」
「どうした。なにか動きがあったのか、奴らに。」
「はい。光天国が攻めてきました。」
青龍王は不敵に笑いながら言った。
「意外と早かったな。いいだろう、兵を準備しろ。」
「はっ。」
友也はただちに二百十万の兵を準備した。
「出陣!」
「大変です。青龍国が二百十万の兵を率いてこちらに来ています。もう近くです。」
「大してして変わらん。なぜなら上空部隊を二百万用意してるからな。」
兵士は王様を誉めた。
「さすが王様。」
「では行くぞ。出発。かかれ。」
光天軍が青龍家の領土に攻め込もうとした次の瞬間、友也が率いる青龍軍が攻めて来た。
「くたばれ。光天国!」
「くたばるのは貴様らだ。ワァー!」
だが光天国の方が上手だった。
「くっこのままじゃまずい。撤退して態勢を整える。王よ。覚えとけ。いつかお前の国を滅ぼしてやる。ほほほ。」
青龍国の王は笑いながら兵を率い去っていった。
「終わったな。」
「はい。これでやっと平和になりますね。」
「まだだ。平和はまだ来ていない。いつか姫の呪いが解け、奴を倒せてからが本当の平和だ。」
「はい。」
彼らの闇の戦いはまだ終わっていなかった。これは全ての始まりに過ぎなかったのだった。
【第三章】 神々の子
人は、憎しみ、悲しみ、怒り、喜び、様々な感情を持っている。私達もそう。
だがこの日本は国と国が争いを続けていた。権力と国の平和の為に。それでも決着はつかず、戦争は何年も続いている中で私は育った。
「鈴、遊ぼうぜ。」
浩之は鈴を誘った。
「いいよ。何して遊ぶの、浩之君。」
拓也は浩之がタメ口を使っているのに気づいた。
「無礼者。姫に向かって失礼じゃないか。」
浩之は尋ねた。
「拓也。お前は俺に注意する。なんでだ?」
「こいつは姫だ。それなのにおまえは普通の子供と同じように会話しているからだ。」
「ごめん、拓也。知らなかった。」
「別にいいけど。謝るなら鈴に謝れよな。俺が王様に怒られるじゃないか。」
「ごめんよ、鈴。俺、鈴がそんな思いをしているなんて知らなくて。」
鈴は笑って言った。
「いいよ。姫でも私は鈴だよ。それにね、無理して姫って呼ぶ必要ないよ。」
僕たちは尋ねた。
「どうして?」
「嫌いなの、姫って呼ばれるの。私の所は城だよ。でもいつも戦争なの。そして、私の呪
のことで頭がいっぱいなんだもん。だから貴族は嫌いだもん。」
「そうなんだ。ごめんな。」
「いいよ。じゃあ私決めないよ、遊び。浩之君達と同じ遊びでいいよ。」
「分った。じゃあ王様ごっこ。」
「おもしろそう。じゃあ私は妃役。」
「いいけどそれでいいのか。」
「いいよ。でもお城ごっこならしてもいいよ。」
「本当。じゃあしようぜ。」
私達がお城ごっこをして遊んでいたその時、地面が突然揺れ始めた。
「何なんだよ。地震?」
「僕もよく分からないよ。」
「戦争よ。また青龍家が攻めて来たんだわ。」
「青龍家だってよく分からないけどまずいよ。机の下に隠れよう。」
「おう。」
私達三人は机の下に隠れた。しかし、揺れは収まらなかった。
「揺れが止まらないよ。」
その時、闇が床から解き放たれた。
「いたいよ。」
鈴は胸を押さえ倒れこんだ。
「おい。鈴しっかりしろ。おい」
鈴は意識を失った…
「鈴!」
僕は鈴を抱き抱えた。
「おい浩之、鈴はどうなったんだよ。」
「闇に犯されて眠っただけだよ。」
「目覚ますの?」
「だめだってよ。今方法を考えてるんだ。どうすれば鈴を救えるか。」
その時、声がした。
「姫を助けたいですか。」
浩之は尋ねた。
「誰だよ。」
「どうしたの、浩之。」
「声がした。女の声が聞こえた。」
拓也達は言った。
「うん、聞こえた。微かな声が。」
再び声が聞こえた。
「あなたたちには私の声が聞こえます。力を持って生まれてるから。この日本を救うために。」
「この声は巫女の声だ。うわさで聞いたことはあるけど、力を持つ者にしか聞こえないと。」
再び声がした。
「存じていて下さってありがとう。聞いて下さい。今、国は青龍家を止めるためにこの地で戦争をしています。今や姫を守る人はいません。どうか助けて下さい。」
「いいけど。僕らに力があるの?」
「はい。」
「俺らに鈴を守る力があるのか。僕にできるかな。」
僕たちは不安になった。
巫女は言った。
「できます。」
「僕たちが?」
「はい。私は光の神、紗綾玲那。玲那とお呼びください。」
そして、巫女はついに姿を現した。玲那の姿はとても美しく、背には光の羽を生やし、手には剣と盾を持っていた。
浩之は尋ねた。
「君はどこを守ってるの?」
「私は姫の城を守る巫女です。」
「なるほど。理解したけど僕らは何をすればいい。」
「姫の呪いを解いて下さい。」
「分った。けどやり方が分らない。」
「安心して下さい。私が力を貸します。」
「ありがとう。僕やってみるよ。」
「では、私と一緒に唱えてください。」
「うん。」
「目を閉じてください。」
「分かった。」
僕は目を閉じた。
「では一緒に唱えてください。」
【術式】
「いにしえの光。僕は浩之。汝の命によりいにしえの光を解き放て。イルーライト!」
いにしえのが、鈴に解き放たれた。
巫女は言った。
「これで大丈夫。目を開けてください。」
僕は目を開けた。ふと首元を見るとペンダントが掛けられていた。
「浩之すげえ。魔法のペンダントだ。しかも剣の形している。」
拓也達は驚いた。
「本当だ。僕も初めて見たよ。」
巫女は言った。
「それを姫に掛けてください。そしてこう言ってください。姫の邪悪な呪いを浄化したまえ。ライトフェアリー!」
「わかった。」
浩之は鈴に鍵の呪文を唱えた。
「姫の邪悪な呪いを浄化したまえ。ライトフェアリー!」
その瞬間、鈴の体がペンダントの光に包まれていった。鈴から邪悪な呪が消えていった。そして、鈴は目をさましした。
「あれ。私どうしたの?」
「鈴。」
浩之君は私を抱きしめた。
「どうしたの、私?」
「なんでもない。」
「うん。」
拓也達は言った。
「何でもないわけじゃないだろ。浩之は、お前が闇に犯されたから浩之が助けたんだ。感謝しろよな。」
「ありがとう、浩之君。」
「うん。鈴ちょっといいかな。」
「いいよ。何?」
僕は鈴にペンダントを掛け、祈りの言葉を告げた。
「鈴の呪いを払いたまえ。ライトフェアリー。」
「これで大丈夫だ。」
「ありがとう。」
「おう。」
「姫様。」
「あなたは玲那様。」
「はい。私はあなたが生まれたときからあなたを守っていました。」
「そうだったの。今回も助けてくれたのね。」
「いいえ彼です。私は手助けをしただけです。」
「そう。でもありがとう。」
「…はい。」
妖気が漂い始めた。
「この妖気、青龍家だ。」
「お前、感じるのか気配?」
「うん、ものすごい邪悪な青い竜の気配がするよ。」
「お前よく気配がわかるな。」浩之は言った。
「感知することができるんだ。」
「すごい。」
紗綾は言った。
「姫様、これを。」
「これは?」
紗綾は鈴に短剣を差し出した。
「これはお父様が神棚に祀っていた短剣…」
「はい。これをお使いください。光天様はあなたに授けると言ってました。使い方はあなたのイメージでと。」
「私にできるかな。」
きっと大丈夫よ、あなた様なら。」
「分りました。父の命、私が引き受けます。」
神は微笑んだ。そして、神は浩之に言った。
「あなたにはこれを差し上げます。」
「この短剣は何?」
「これは光の力を宿した短剣です。あなたには鈴様を守る力があります。」
「俺にそんな力が…。これで鈴が守れるのか?」
「はい。使い方はあなた次第です。その剣で鈴を守りなさい。」
「分った。ちょっと試していいか。」
「いいですよ。」
浩之は地面に短剣を突き刺した。剣が光った。
拓也達は拍手して浩之に言った。
「短剣も使えるんだ。」
「俺も不思議だよ。でも光っているだけじゃいけないし、ちょっと呪文唱えて見るよ。」
「おう。」
浩之は考えた。
「よし、呪文が決まったよ。いくよ。」
「うん。」
浩之は術を唱えた。
「ゼアールライト発動!」
その瞬間、短剣が光った。そして、光の剣に変わった。そして、盾が現れた。
「これが僕の力。生まれつき持っていた力なのか。」
「すげえ俺はこれだ。セイテスライト。」拓也は魔法を唱えた。
その瞬間、空に光が放たれた。
「すげえな。」
「俺は浩之のように力持ってないから。浩之は感知能力も持っているけど。俺はこれしかない。」
「でもすげえ。」
「あとこれもできるよ。クナンソードライト!」
呪文を唱えた瞬間、花の剣と光の剣が現れた。
「すげえな俺ら。」
「それはお互い様。」
「二人ともすごいね。」
鈴は笑って誉めてくれた。
「鈴は俺らの後ろに着いてくればいい。」
「うん。」
「お待ちを。あなたも戦うのよ。」
神は鈴を引き留めた。
鈴は言った。
「私も? でも私、力はないわ。」
「大丈夫です。姫だから。」
「いいえ。私は一人の人間です。」
「何が言いたいのですか。」
「もし戦うのなら姫ではなく人として戦います。」
「分りました。」
「ありがとう。」
「はい。」
「浩之君、拓也君、私も戦うわ。ただ条件あるんだけど聞いてくれる?」
「もちろん。」
「ありがとう。」
「うん、それで条件ってなに?」
「私を姫じゃなく人として見てほしい。私は人として戦うわ。」
「いいぜ。俺らがサポートする。人として鈴を見るよ。だから一緒に行こうよ、戦地へ。」
「うん、ありがとう。浩之君、拓也君、私も 戦うわ。」
「よし、皆で倒そう。」
「おう。」
浩之は言った。
「妖気があるのはあっちだ。急ごう。」
「ラジャー!」
僕らは陽気がある方へ向かった。国王は兵軍を率いて青龍家の領土に入った。激しい戦いが続いていた。
浩之達も戦地に到着した。
「着いたな。」
「うん。」
拓也は尋ねた。
「鈴、その短剣。」
「お父様が下さったの。私に強くなれと。だから私は戦うわ、二人と一緒に。」
「ああ。そして平和にしよう、三人の手で。」
「おう。」
一方、青龍家と光天国は激しい戦いを繰広げていた。
「この時を待っていたのだ。さあ滅びるがいい、光天!」
バン!
「敗北は貴様らだ。ハーッ!」
「王様、きりがないです!」
「一度、退勢を整えるために姫路に行こう。そこで追い詰めよう。」
「はっ。引くぞ! 退勢を整えるぞ。」
「はいっ。」
「私についてこい!」
「はい。」
光天王は兵を率い、姫路に向かった。そして、姫路にたどり着いた王は姫路城の庭に入った。
一方、その動きに青龍家は気づいていた。
「王様。奴ら姫路に集結したみたいです。いかがいたしましょう。」
友也は兵士に言った。
「すぐ出発だ。やつらが集結している場所に向かい、叩こう。まずは京都に進入し、兵庫県姫路に向かうぞ。行くぞ。」
「はっ」
友也は兵を率いて、京都へ向かった。
一方、浩之達はその動きに気づいていた。
「戦場が変わった。ここにはもういない。」
「どういうこと?」
「光天国軍は姫路にいる。そして青龍軍は姫路に侵入しようとしてる。」
「そうか。じゃあ急ごう。」
「ああ。」
「間に合えよ。」
僕たちは姫路へと向かった。
一方、青龍軍は京都に到着した。そして、兵庫へと向かった。光天国軍はその異変に気づいた。
「王様。大変です。奴らは京都からこちらに進入しています。もうじき近づいてきます。あっ、もう来ました!」
「光天、覚悟!」
青龍家は光天軍に襲いかかってきた。
「戦闘用意! 開始!」
「わー! 食らえ! ライトレスアーファイアリーライト!」
兵達は光の術剣で敵に攻撃した。青龍家は押されていった。
「くっ、魔術剣だと。ふざけんな!」
青龍兵を率いる隊長は光天王に立ち向かおうとした。
「今だ! 光様!」
「おう!食らえ! ライトソードフラワー!」
「くっ、まだだ。ブルーライトダーク!」
隊長の力は跳ね返された。そして、次々に軍は倒されていった。
青龍家は押されていった。
「友也様。このままではやられます。」
友也は言った。
「撤退するぞ。」
「はっ! 撤退!」
兵は王とともに青龍国へと退却していった。
「光様。なんとか乗り切りましたね。」
「いやまだだ。ただならぬ妖気を感じる。この気配は青龍家。どうやら別部隊も用意してたのか。鈴がいる。すぐ岡山に向かうぞ。」
「はい。」
天光国は兵を率い、岡山に向かった。果たして鈴は無事なのか。鈴達は悪魔を倒すことが出来るのであろうか。
【第三章】 絆
幼き私達は日本を守る為戦う事を決意した。そして、悪魔にたち向かったのである。そして、私達は姫路についたときはすでに戦いは終わっていた。
「鈴、何か感じないか。」
「感じる…微かだけど。でもここには邪悪な気配はしないわ。もしかしたら岡山に向かってるのかも。」
「なるほど。俺にも感じるが光の気配だけだ。おそらく岡山に邪気が集結してるはずだ。」
「行こう。」
私達が岡山に戻った途端、青龍家の別部隊が攻めてきた。
「浩雪君、これって?」
「ああ待ち伏せだな。」
王は兵を率い、天光家の二百万の兵にたち向かった。
「よう。お前らガキの相手は俺たちがする。さあ、さっさと殺してやる。レイトンソード!」
前線の原隊長が強力な青龍剣で斬りかかろうとした。
浩之は剣を抜いた。
「あいにく僕は死ぬ訳にはいかないんだ。わー!」
浩之は原隊長と激しい戦いを始めた。
「浩雪君!」
「鈴、ここは俺に任せろ。そっちを頼む。お前にはやることがあるだろう。」
「うん。そっちは任せるわ。」
「おう。」
私達は気配が感じられる方向に向かった。
「ここなのか。」
「うん。それよりなに、この死体。」
俺と鈴の前に現れたのは呪でやられた光天国の兵士の死体だった。
「ひどい切り方しやがる。」
「いったい誰が?」
「あの軍勢だ。」
「あれは青龍国。」
「あれ? まだ残りの兵がいたのか。」
「違うわ。あれは別の軍よ。用意していたんだわ!」
「なんてやつだ。」
青龍国兵は私達の姿を見ていた。
「どうします。我々三人であの二人のガキをかたづけようか。」
「そうだな。では任せるぞ」
「はい。」
兵士が私達のところにきた。
「よお、神の姫様。我の綬の内輪よ。」
「私は綬の内輪じゃないわ。」
「それを証明する奴がいるわけ?」
「いないわ。けど私はあなたを倒し、城や民を救う。」
「あがくのもいまのうちよ。死になさい。ファイアリー!」
青龍兵は火の力を解き放ち襲いかかろうとしていた。
「こんなところで死ぬ訳にはいかないわ。フラワーライト!」
鈴は花の光で兵士の火の力を包み込んだ。
火の力を使う青龍兵と戦闘になった。しかし、鈴の力は火により消された。
「くっ、どうして?」
「我には聞かぬ。さあそろそろケリをつけよう。最後に名を名乗っておこう。我は青龍家の兵、理欄。王が掛けた呪いを持つあなたを迎えに来た。」
「私はあなたのいる国には行かない。私はあなたたちを倒してこの日本を救うまでよ。くらえレイアーフラワー!」
花ふぶきの力を解き放った。
「効かぬわ。ファイアリーサンダー!」
鈴の力は火の雷の力により無効化された。
「しまった!」
「死ね、姫!」
鈴に襲いかかろうとした。
バン
「俺の存在を忘れるなよな!」
「食らえ。ライトソード!」
「くっ!」
「鈴、今だ!」
「うん。行け、フラワーライトスノー!」
鈴は理欄に術を掛けることに成功した。一方、浩之は剣の光で前原術剣を跳ね返した。
「ちっ、なかなかやるじゃないか。」
「おまえもな。あいにく僕は死ぬ訳にはいかないから。鈴を守る為に。」
「ほう。いい目をしてるな。」
「お前に鈴は渡さない!」
「ほう。だが終わりだ、ここで。」
「…終わりじゃない! 鈴を守る。そのためにお前をここで倒す。」
そして拓也と鈴は理欄との戦闘が続いていた。
「傷を負わしたことは誉めてやろう。だが無駄だ。ファイアーブル!」
「効かないよ。ライトエリア!」
「くっ。リメンバーブルー!」
青き光を解き放った。
「諦めないぞ、僕は。鈴を守るために。ハーッ、食らえ! セサミーブルーライト!」
光は青い闇を照らし理欄ごと払い始めた。
「なんだと、このガキ。我ごと力を破るとは。揺るさん! あー」
青き灰になり空へと消えていった。
だが彼は力を振り絞り再びよみがえった。
「私を倒したことは誉めてやろう。しかし、私は簡単には倒せない。最後に聞く。貴様は何がしたい。」
拓也は言った。
「貴様を倒しこの世界を救ってやる。」
理欄は言った。
「坊主よ、いい心がけだ。だが死んで貰う。クーブルーソード!」
青き光で攻撃してきた。
「諦めない。フラワー睡蓮!」
花の剣で敵の能力を跳ね返した。
「拓也君。大丈夫?」
「うん。なんとか。そっちは無事?」
「一応。けどこいつはやばいな。」
「うん。」
「さあ終わりにしましょう、少女よ。ファイアーダークボルト!」
急に空が暗くなり、闇雲が現れ闇の稲妻が私に攻撃してきた。
「こんなところで死ぬ訳にはいかない。フラワーレインズ!」
鈴は花の結界を張り敵の攻撃を無効化した。
「今よ! 拓也!」
「おう。食らえ。ライトニングブレインソード!」
光術切り裂きソードで敵の攻撃を受け止め、敵を切り裂いた。
「何? この私を破るとは。アーッ」
敵は光に包まれ消えた…
「なんとか倒したよ。拓也君のお陰だよ。」
「いや。鈴が頑張ってたから。」
「でも拓也くんが来てくれなかったら私、死んでたよ。ありがとう。」
「おう。」
一方、浩之は追い詰められていた。浩之は光りの粉の結界で敵の攻撃を無効化した。
「はあはあ。なかなかやるじゃん。」
「けど次で僕はもう終わりね。君は?」
「くそ!」
「終わりじゃない。ライトブレイク!」
「君、だれ?」
「僕は吉岡。よろしくね。君が危なそうだから手伝いに来たんだ。」
「そう、ありがとう。」
「礼はあとでしろ。行くぞ。」
「おう!」
「食らえ。ライトフェリー!」
「効かぬ。レイアレスティー!」
青龍兵が放った闇が浩之達に襲いかかってきた。
「そんな簡単には死なないぜ。バリアライト!」
吉岡は敵の闇の力を跳ね返した。
「浩之。あいつの力を無効化するだけじゃ倒せない。だから最強の力を唱えて、ヤツを倒そうと思う。力を貸してくれればいい。僕に続いて言えばいい。僕が術を唱えるから僕に会わせて一緒に唱えて。」
「わかった。」
「ちっ、貴様。ガキめ。」
「行くよ。」
「うん。」
僕たちは祈り術を込めた。
【祈り術】
「主の神イエスよ。汝に襲いかかるいにしえの的を払いたまえ。主よ。汝を救いたまえ。我らは主に誓いたもう。ライトラーメン。」
空からイエスが現れ敵に光を照らした。
「わあ、まぶしい。くそ、この場でやられるとは。わあっ」
兵士は光りに包まれ空ヘ消えた。
「終わったのか?」
「ああ。そうみたいだな。闇が少し残ってるがじきに消えるはずだ。」
「そうみたいだね。でも吉岡がきてくれなかったら僕は死んでたよ。本当にありがとう。」
「いいよ。僕も守りたいものがあるしね。」
「守りたいもの。誰?」
「秘密だよ。」
「ほう。君たちが私の娘を助けたのか。」
後ろから声がした。僕らが振り返ると光天家が立っていた。
「誰?」
「知らないの浩之? 光の国の城光天城の王だよ。」
「光天様。」
「光天様て? 光の王国の?」
軍は言った。
「紹介します。我々は光天国です。そしてこの方は光天国の王様です。」
「すみません。」
「よい。お前は知らないであろう。だが横にいる園児は知ってるようだな。」
「はい、王様。母から聞いていました。」
「そうか。母は元気か?」
「はい、元気です。」
「ならよい。危ういところだと思っていたが、お前達が倒してくれたようだな。我が娘を守るために。」
「はい。」
「一つ礼を言う。かわいい坊やよ。娘を守ってくれてありがとう。お前が娘を助けたことは確かだ。園児なのにたいした強さだ。伸びがある。」
「ありがとうございます。でも僕は戦いたくて戦ってる訳じゃないんだ。」
「では聞くがお前はなんのために戦っているんだ?」
「わかりません。僕が何の為に戦ってるのか。」
王は浩之の肩に手を添え笑って言った。
「幼いから無理もないであろう。だが簡単な答えはあるであろう。」
「あります。」
「申してみよ。」
浩之は言った。
「鈴のためです。」
王は誉めた。
「よく言った。幼いが上出来だ。なら鈴の友達として支えてくれるかな。それが私からのお願い事だ。」
「はい。」
「感謝するぞ。これからもよろしくな。」
「はい。」
「では失礼する。」
王様は兵を率い、園児達の前から去っていった。
「いいのかよ、引き受けて。」
「いいんだよ。俺がしたいから。」
「ふーん。」
後ろから声が聞こえた。
「二人とも大丈夫?」
「鈴、拓也、無事だったんだ。」
「うん。私達二人で倒したんだ。」
「すごいね。」
「こいつがいなかったら俺は死んでた。こいつがが来てくれなかったらあいつを倒せてなかった。」
「そうなんだ。でも浩雪君。彼を指差しちゃだめ。失礼でしょ。」
「ごめん、鈴。」
「いいよ。私からも礼を言うね。ありがとう。」
「うん。」
「名前なんて言うの?」
「吉岡啓介。」
「吉岡君ね。私、鈴。そういえばよく教会で会ってたね。」
「そうだったな。」
「いま思い出したわ。よろしく、吉岡君。」
「ああ。」
「そういえばあなたも強いの?」
「もちろん。僕も君を守るために戦ってるから強くないと。だから僕は鍛えてきたんだ、園児だけど。」
「そうなんだ。じゃあこれからも私のために兵士として青龍家と戦ってくれる?」
「僕たちも君と同じでまだ園児だよ。」
「それは分かるけど。私はただお願いしてるだけだよ。」
「そうなんだ。わかった。理のためなら僕たち何でもするから。なあ、拓也?」
「うん。」
「ありがとう。これからもよろしくね。」
「おう。」
浩之は言った。
「そういえば鈴。さっきお父様が俺たちのところに来たんだ。」
「お父様が? それでお父様はなんか言ってた?」
「いや、何も。」
「そう。じゃ帰ろう。」
「うん。」
僕たちは自分の家に帰還した。
一方、青龍家は城に戻り作戦を行い始めた。
「くそ。このままでは光天家にやられる。」
「どうします。奴らを皆殺しにするしか方法がありません。」
友也は激怒した。
「貴様は子供の命を奪えというのか。」
「それは…。」
「我らは光国の姫、鈴に青龍の呪の呪いをかけた。まだ勝ち目はある。だが子供らは強い。いずれ我らにたち向かう敵となろう。それまで時を見よう。そして、その時が来たら戦おう。」
「はい。」
一方、光天家では穏やかな気配が少しずつ近づいていた。
「こんばんは、鈴。」
「こんばんは。どうしたの?」
「鈴の無事を案じて来たんだ。」
「そう、ありがとう。」
「うん。鈴君に聞きたいことがあるんだけどいいか。」
「いいよ。拓也とはどんな関係。」
「友達だよ。」
「俺にはそんなふうに見えないよ。もっと別の関係に見える。」
「そんなんじゃないよ。あの時拓也君が来てくれなかったら私、闇に犯されてた。」
「そうか…。 あともう一つ聞くが、聞いてもいい?かな鈴。」
「いいよ。なに?」
「最近変わりないか。ほら闇とか?」
「うん。それは大丈夫。ねえ私モテモテね。だって皆私が好きだもん。そう思わない?」
「それは…」
「吉岡君だって拓也君だって浩之君だって同じじゃない?」
「僕はあの二人とは違う。」
「どう違うの?」
「好きの意味が違う。」
「浩之君は私のこと、友達として好きなの?」
「それは…僕は…」
「待て。言うなよ。」
拓也が突然僕と鈴の前に現れ、僕に短剣を抜いた。
「ちょっと拓也君。短剣を下ろして。」
「だめだ。浩之君は私と話してただけだ。」
「うるさい。鈴は口挟むなよ。これは男の問題だ。黙って見てろ。」
「拓也君。」
「拓也…どういうつもりだ。短剣を下ろせ。」
「嫌だね。君に言われる筋合いはないよ。それに鈴に好きって言っていいのは僕だけだ…。なのにお前は鈴に告白しようとした。僕は君を許すことができない。」
「拓也。やめるんだ。」
「君に何が判るんだ。浩之、ここで死ね。」
「拓也。やめろ。お前とは戦いたくない。」
「うるさい。はー!」
拓也は短剣で浩之を切り裂こうとした。
見ていた鈴は泣きながら訴えた。
「お願い、拓也君。短剣を捨てて。お願い、殺さないで。お願い!」
僕は殺されると思い、目を閉じた。
バン!
誰かが短剣を受け止める音がした。僕が目を開けると、あの時俺を助けてくれた吉岡君が立っていた。
「吉岡!」
「君たちやめろよ。争いをする君達、僕嫌いなんだ。それに僕も鈴のこと好きだよ、拓也と浩之と同じように。けど決めるのは鈴なんだから。僕たちが決めるんじゃないんだしね。違うか?」
「そうだな。ごめんよ。鈴。」
「うん。」
「ただこれだけは言える。今一番幸せだということだ。そう、ここに友達といるから。そう思えた…。」
「ねえ、吉岡君。もう喧嘩収まったの? お願い、喧嘩はやめて。」
「喧嘩じゃない。男だけの取り合いだ。」
「誰の?」
「鈴しかいないだろう。」
「もしかして、二人とも私のこと好きなの?」
「当然だ。」
「私、好きな人いるよ、三人。」
「誰だよ。」
「拓也君と吉岡君。」
「やっぱりいるじゃん。ライバルがよ。」
「もう一人は?」
「言わないよ。中学生になったらその子に言うよ。」
「わかった。俺らにも教えろよな。約束だよ、鈴。」
「うん。」
僕たちは鈴と指切りをした。
あれから月年が過ぎた。
私達は小学生になった。
吉岡君は違う学校に。拓也と浩之、雄介君は同じ学校になり、私達は、クラスは違うが仲がよく、いつも一緒であった。
理由は、戦いはまだ終わっていないからである。
「おはよう。鈴。」
「おはよう。あれから 敵が攻めてくることはないの?」
「ないよ。って、浩之。なんで後ろからついて来るんだよ。」
「ごめん。鈴がお前に取られるのが怖いだけだ。」
「なんだと。お前に鈴は渡さない。」
「なんだと。」
その時、地面が揺れた。
ゴロゴロ。
「なんだ。この揺れは。地震?」
「違うぜ。ものすごい妖気を感じる。闇だ。」
「きゃーッ、浩之君、助けて!」
鈴は地面から吹き出た闇に引きずられていた。
「鈴! させるか! ブルーセレクト!」
青き光で鈴を救おうと探検の力を闇に放った。しかし、闇はそれを吸収し跳ね返した。
「なに! 俺の力を跳ね返すとは。これは前と違う!」
「確かに。呪の気配が違う。もしかして別の敵の仕業かもしれない。」
「だとしても戦わないといけないだろ。」
「だな。それより鈴は?」
浩之は辺りを見渡した。鈴はロッカーの前に倒れていた。
「鈴、大丈夫か?」
僕たちは鈴の傍に駆け寄った。
「鈴、しっかりしろ!」
「……。」
「浩之、鈴は?」
「息はある。ただ闇に呑まれ意識を失っているだけだ。それに脈も動いてるし。だから鈴はまだ生きてる。」
「浩之…、俺はお前の奇跡に託す。」
「おう。だから鈴は俺が助ける。お前はここで待っていろ。俺になにかあったらその短剣
で助けてくれ。」
「わかった。浩之はどうするんだよ。」
「鈴を助ける。鈴は俺が好きなんだ、たぶん。だから助けに
行く。それに鈴の力を感じる。俺には分かるんだ。」
「お前には敵わないさ。行ってこい。そして必ず戻ってこい。
夢の闇に負けるなよ。お前が死ねば鈴も危ないんだから。」
「ああ。やつの力は弱まってる。さっき俺が力で無効化した
し。だから今がチャンスだ。」
「死ぬなよ、浩之。奴の力は外で弱めることはできても夢で
はそうはいかない。気をつけろ。」
「おう。」
「行くぜ。…闇の地面の扉を開きたまえ。青き光よ、セリ
ナーブルー!」
浩之は地面に光を解き放った。その瞬間、闇の扉が開いた。
「これが闇の扉か…。」
その時、闇が浩之に襲いかかった。
「危ない! 精霊バリア!」
拓也は浩之に結界を張った。結界は闇を跳ね返した。
「助かったぜ。」
「礼はいい。この結界は長く持たない。俺が食い止めてる間に飛び込め。」
「わかった。」
「気をつけろ。」
「ああ。必ず戻る。」
「浩之。必ず鈴とともに帰ってこい。約束だ。」
「おう。」
二人は拳をぶつけた。そして浩之は短剣を抜き、握りしめて闇の中に飛び込んだ。その瞬間、闇が浩之に再び襲いかかった。
「こんなところで死ぬわけにはいかないんだ。ブルーバリア!」
浩之は精霊の結界で敵の攻撃を跳ね返した。
「助かった。けど鈴の姿がない。ただ俺を襲ってきた闇が消えた。」
「浩之。大丈夫か?」
「ああ。闇の気配はしない。鈴の気配を感じる。この闇の向こうにいる可能性が高い。俺はこの先に行く。」
「わかった。必ず戻れよ。」
「おう。」
「じゃあまたな。」
「うん。」
僕は心の中で思った。
鈴を助ける。鈴は俺が好きなんだ。待ってろ、鈴。すぐ助けるから。
浩之は闇の中に走り、飛び込んだ。
「どれくらい眠っているんだろう?」
私は夢の闇の中にさまよい続けていた。
「ここはどこ? 夢の中?」
私は闇の空間に立っていた。辺りは闇ばかり。
遠くから声が聞こえた。
「さあいらっしゃい。我が源の元へ。我は王の力でできた成精鉱王女未来よ。あなたはもうここで生きるの。私とともにこの世界を支配しあの光から。あなたは呼ばれたの。私が闇であなたを呼んだ。あなたは私の道具。」
声が強くなった。闇のほうから聞こえたそれは女の声だった。
私は恐怖を感じていた。
「なんで夢なのに声が聞こえるの?」
しかし、私は闇に引きずられ、ついに女性のもとにたどり着いた。
「あなたが未来?」
「そうよ。さあ私は全て話したの。覚えてる?」
「はい。でも私はあなたのいる場所には行かない。」
「そう。でもそれは私の配下により変えられた。あなたはこの友也の下部の道具になるの。あなたがいる世界には平和がない。」
「そんな!」
私は崩れ落ちた。未来は私に近づき座った。
「未来様。私は…。」
「もう大丈夫。私とともに友也を守るの。それであなたの運命が決まるのよ。それがあなたの運命。」
「私の運命が?」
「そうよ。」
私は近づいた。
「さあ。」
私は少女にもたれた…。
「…。」
果たして鈴の運命は。鈴は闇の支配から逃れ得られるのか。
【第四章】 英雄王子と成精鉱王女
これは幻想でもない空間。あるのは闇のみ…私は闇の中にいる。もう希望もない。幸せにもなれない。絶望。
そうは思いませんか?
私は暗闇でそう思い少女にもたれた。その少女から何も闇の気配を感じなかったからだ。私は未来の手に触れようとした。その時、声が聞こえた。
「駄目だ。そいつに触れるな。」
私は我に返り、少女から離れた。そして後ろを振り返ると。浩之が立っていた。
「浩之君。」
「鈴、大丈夫か?」
「どうしてここに?」
「君を助けに来た。」
「私を? でもあの人が助けてくれるって。」
「あいつは敵だ。お前を支配しようとしている。」
「そんな!」
「間違いない。君は闇の力で意識不明状態だ。」
「私が?」
「つまり、理の心は夢術に取り込まれたんだ。それで俺は鈴を助けるため君の中に漂う夢術に力を解き放ったんだ。」
「じゃあ浩之君は?」
「このなかだ。」
「俺の本体は眠っている。」
「なるほど。理解したけど脱出は?」
「あいつを倒してからな。」
「わかった。」
「俺から離れるなよ。」
「うん。」
未来は言った。
「よくも邪魔をしてくれたわね。お仕置きをさせて貰わないとね。」
「お前が奪った鈴を取り返しに来た。」
「私の道具をよくも邪魔したわね。これ以上邪魔をしないでね。ブールルト!」
闇を解き放った。
「鈴、俺の手を離すなよ。」
「うん。」
「いくぜ。ブルーライトフラワーズ!」
浩之は闇の王女の力をはね返した。
「私の力を跳ね返すとはいったい何者なのかしら。」
「倒したの?」
「まだだ。簡単には倒せない。まずあいつの力を知らないと。一つ聞く。あいつの名前を知ってるよな。」
「うん。」
「なんて名前だ。」
「鉱王女未来。」
「やつは未来って名前なんだな。」
「うん。」
「能力は?」
「それは分らない。だだ浩之君が来る前、少し感じたの。」
「何をだ。」
「微かな闇の光よ。その光が少し見えて、その光の先から声が聞こえたの。私の運命を変えてくれるといってくれたからついうれしくて手を伸ばそうとした。その少女が闇だと知らず。これだけじゃ足りないかな?」
「いいや、十分だ。これでやつの能力がわかった。」
「本当?」
「ああ。やつは青龍の神を光に変え、それを剣に込めている。その神の力は光、花、氷、火、水の力が出る。さらに融合術を唱えれば闇の光ができる。」
「じゃあ私が誘い込まれたのは。」
「おそらくだが、融合術に掛けられたのだ。」
「そうだったの…。」
パチパチ…
「見切ったことは誉めてあげるわ。だがそれもここまで。ここで終わりにしましょう。さあ一緒に祈りましょう。」
「終わりにはしない。終わりはお前だ!」
「どういうことかしら。」
「おまえは青龍の神の力を光に変え、それを剣に込めてるんだ。貴様の剣には花と光、そして氷、火、水の四つの力が備わっている。また闇は五つ目の能力で備わっている。」
「さすがね。でも見抜いたところで貴様らに勝ち目はないわ。」
「いいや。俺の剣は属性ではない。だが俺の剣は光の神の持つ黄金薔薇の剣から作られた剣。これには闇を浄化する力が流れてるんだ。」
「たとえ流れても私には勝てない。言ったでしょ。食らいなさい。ダークレバーズ!」
闇が浩之に襲いかかってきた。
「言ったはずだ、俺には闇が効かないって。食らえ、ライトソード!」
浩之の放った光は闇の力を跳ね返し、浄化した。
「なんですって? この私の力を跳ね返すとは!
「お前の力は俺には効かない。なぜな俺には貴様の弱点を見る目があるからだ。」
「おのれ! 死ね、ソードダーク!」
未来は闇の禁術で浩之に攻撃した。
「バリア!」
浩之は結界を張り、闇を無効化した。
「鈴。いけるか?」
「いけるよ。」
「よし、行け鈴!」
「うん!」
「奴を花の力で包み込み、禁忌目録の力で破壊するんだ。」
「わかった。やってみる。」
「……。」
「防げたところで私に勝てるわけがない!」
「そんなことはない。世の中には強く願い、諦めない意志を持ち戦う人がいるんだから。私と浩之君のようにね。」
「食らえ。ハランフラワーソード! これで終わりよ!」
花の吹雪が敵を包み込んだ。
「くっ、言ったはずよ。勝てないって。浄化発動! 禁忌無限精霊光、禁忌目録発動!」
王女は私に力を跳ね返した。
「無駄じゃない。まだ諦めるわけにはいかないんだから! フラワースイートファイアーフリード!」
火の力を解き放った。
「私には火は効かないのよ。属性だから。ハー、食らいなさい。フォーディライト!」
鈴の力が跳ね返された。鈴は吹き飛ばされた。
「きゃー!」
浩之は鈴に駆け寄った。
「鈴! 大丈夫か。鈴!」
「熱い。体が焼けそう。私の力が効かないなんて。」
「待っていろ。リライトフォーティ…」
浩之は鈴の傷を癒やし、火の力を浄化した。
「ありがとう。」
「ここであいつを倒し、夢から帰らないといけないからな。」
「そうね。もう少しだね。」
「ああ。鈴、まだ戦えるか?」
「うん。いけるよ。」
「よし。禁忌であいつの力を食い止めるんだ。」
「わかった。禁忌目録発動。 ライト!」
鈴は光の禁忌術を解き放ち、未来の闇の火を包み込み、浄化した。
「何? 禁忌だと。私以外で使えるとは。まあいい。なかなかやるわね。私の力を浄化する姫がいたとは。誉めてやろう。」
「……。」
「だがその花の光は通用しないわ。たとえ花でもね。 ハーッ、ライトスノー!」
鈴の花の光を跳ね返した。
「これで終わりよ。」
「いやまだだ。終わりはお前だ。食らえ! 青薔薇氷期スノーベールソード!」
「まだよ。ダークハード!」
王女は闇の禁忌目録を発動させた。
「だから効かないって言ってるだろ。ハーッ!」
僕は剣を握り走った。
「行けーッ、浩之君!」
そして、僕は敵に剣を突き刺した。
「なに。ああっ」
「食らえ、王女! スノー青薔薇ライトフリーズ!」
「ああーっ」
王女の体から鈴の力が抜けていった。力は鈴の元へ戻った。
「なぜ君は強い…?」
浩之は未来に言った。
「強くない。ガキだから俺は。守りたい大事なものを守るために戦ってるんだ、この短剣で。」
「そうか。お前の守りたいものは何だ?」
「この国と彼女を守ることだ。」
「そうか。それは間違っている。」
「どういうことだ?」
「あなた方が行っているのは主より邪悪なものです。じきに我が国の王が正すでしょう、いつか。地獄で見ていてください。」
「……。」
「最後に聞く。お前たち青龍家の目的は何だ?」 未来は言った。
「光の神を破壊し、我が青龍家の支配下に置くこと。あと花の破壊だ。」
「それだけか。」
「ええ。」
鈴は尋ねた。
「あなたの目的はわかりました。あなたはなぜここに私を呼んだのですか。」
未来は言った。
「……わかりません。私は気がつくとここにいたから、命じられて。」
「誰に?」
「斉藤友也。」
「まだ戦いは終わってないんだな…。」
「はい。主は言っていました。この岡山を我が物にすると。」
「統一か。」
「はい。私はその手助けにと言われここに来ました。」
「そうか。」
浩之は言った。
「お前は記憶を操作されて生まれたんだ。君は本来いた場所の記億を書き換えられたんだ。」
「そんなばかな。」
「まあそんなことをするのは青龍家ぐらいだが。」
「そこまで我が国を知っているとは。でも神は我らを仏より愛してくださった。それは主。イエスが私たちにされていることは救いの道です。」
鈴は言った。
「それは違います。主は私の光天国をあなたがたから救ってくださったのです。」
「馬鹿な。神は我らに…。でももうよい。神は私に記憶より大事な命をくれた。これこそ神よ。ああイエスよ、我を地獄より天へ導き給え。」
王女は手を広げ叫んだ。王女は氷の結晶となり消えて行った。
「終わったね。」
「ああ。帰るぞ。」
「でも帰れない。出口もないし。」
「出口は作る。鈴俺の手をしっかり握ってろ。脱出術を唱えて脱出する。」
「わかった。」
私は彼の手を握った。心の中でこう思った。
浩之君の手、温かいな。
「絶対に離すなよ。」
「うん。」
「行くぜ。」
浩之は術を唱えた。
「光の扉よ。我が汝、浩之の名によりそのいにしえの光の扉を開きたまえ。オープンライトドアーズ!」
光の渦扉が開いた。
「行こう。」
「うん。」
私と浩之は雄介のいる地上に戻れた。
「戻れたみたいね。」
「ああ、そうみたいだな。だが僕らが目を開けないと。」
「そうだね。あれ? 私、体が光ってる。どうして。」
「鈴の意識が戻りかけてるんだ。」
「私の?」
「そうだよ、鈴。俺は君を助けるために君の夢に入った。けど僕にできることはここまでだ。僕も戻らないと。」
「そうだね。また目が覚めたら会える。」
「ああ、会えるよ。」
「うん。またあとで。」
「ああ。」
パチ
「浩之!」
「雄介…。」
「よく戻ったな。おまえすごくうなされてた。」
「そうか。どれだけ眠ってた?」
「一時間以上だ。」
「そうか。…実は敵と戦ってた。」
「そうだったんだ。途中で闇に染まりかけたからちょっと浄化しておいたぜ。」
「ありがとう。それで鈴は?」
「それが、意識が戻りかけてるんだ。」
「何だって? 本当か?」
「ああ。」
僕は眠っている鈴を見た。そして、声を掛けた。
「鈴。しっかりしろ。鈴!」
「浩之君…私…。」
鈴は目を開けた。
「鈴! よかった。」
「助けてくれてありがとう。」
「うん。」
僕の頬から涙がこぼれ落ちた。
「鈴…。」
雄介君が私に飛びついてきた。そして雄介君は私を抱きしめた。
「雄介君…。」
「よかった。鈴が無事で。」
「心配してくれてありがとう。」
「おい、鈴から離れろ。」
「なんだよ。嫉妬かよ。嫉妬の理由はなんだよ。」
「私の好きな人だからよ。」
「浩之が?」
「なんで? 決められたからか?」 鈴は顔を赤くして言った。
「違う。好きだから。そうでしょう?」
「ああ。それに俺が王になるのは中学を卒業してからだ。鈴は俺の妃になる。高校卒業するまでだ。定めなんだ、俺が第二王になることは。」
雄介は言った。
「早い。お前らその先は離れるんだよ。」
「わかっている。けれどそれが運命だ。あいつらが消えない限り。覚悟の上だ。」
「仕方ないな、それは。俺らもいずれなるんだよな。」
「ああ。それと俺の鈴だ。それだけは忘れるなよ。」
「どういうこと?」
「友達だろ?」
「そうだね。」
鈴は気になり尋ねた。
「それは鈴…。」
「おーい。お前ら。」
「拓也君、吉岡君。」
「無事か、よかった。城から知らせが来たんだけど、終わったみたいだな。」
「まあね。」
「戻ろう。」
「うん。」
私たちは城に帰還した。
一方、青龍家では新たな作戦を練ろうとしていた。だが友也は自分が作り上げた作戦を破られ、怒りと悲しみがあふれ出していた。
「くそ。俺らの邪魔をするとは。」
「どうします?」
「時を待ち、倒そう。奴らの敗北する日はすぐ来るだろう。今の戦力は弱いが我が軍は着々と成長している。時を待ちこの軍を使い、奴らを倒し平和を取り戻すんだ。光天よ。あがくのも今のうちだ。ははは!」
【第五章】 第四戦争
時は流れ、この日本は新しい世界を迎えた。だが青龍家と光国の戦いはあの時代から四度目を迎えたのである。
「ついに我らの勝利が来た。この日を迎えた。今こそ我らの力を光国に見せ勝利の旗をあげよう。」
「はっ。」
「決行は明日だ。今日の夕方に出発する。皆準備を進めよ。」
「承知しました。」
一方、光国の王光天国王は浩之を騎士として迎えていた。
「おはよう、浩之。立派に大きくなったな。」
「ありがとうございます、王様。これも王様が私にできることを与えて下さったからです。」
「礼は無用だ。娘も喜んでいるからな。」
「はい。一つだけ言っておきますが、私は鈴のことが好きだからやっています。それだけは忘れないでいただきたい。」
「ありがとう。娘もお前を好きだしな。感謝する。」
「ただし私が王となるには条件があります。承知いただければ幸いです。」
「いいだろう、申せ。」
「では申し上げます。もし他に彼女ができても王として迎えていただきたい。そして鈴にも自由を与えていただきたい。」
「なるほど、わかった。条件をのもう。」
「ありがとうございます。では失礼します。」
「待て。もう一つだけ頼みがある。」
「何でしょうか。」
王は言った。
「お前は幼い頃から修行を受けておるな。長年見ていたが強くなった。」
「ありがとうございます。これも王様にご指導いただいた修行の成果です。」
「そんなお前に頼みがある。近々戦争があるのは存じておるか。」
「存じています。」
「…お前が受験で忙しいのは分かる。だがお前は王になる。その先も未来も娘と一緒になれぬ未来もわかる。だからこそ王になり、鈴と結婚をしてこの国を守ってくれぬか。この戦争で私に何が起こるか分らぬからだ。それを同じ運命を他の者にも伝えるつもりだ。それまでは普通に学園生活を送ってほしい。できるか?」
「はい。王様の願いは引き受けました。ですが運命の人に会うかもしれないということを付け加えておきます。先ほどの条件を叶えていただけるならば、王にするのはやめていただきたい。」
「わかった。そなたの条件をのみ、そなたを王にする。」
「ありがとうございます。では行ってまいります。」
「…鈴を守れ。」
「承知いたしました。」
浩之は学校へ向かった。
一方、青龍家国王友也は鏡に手を当て語りはじめた、笑いながら。
「戦力はそろった。さあ明日が楽しみだな。そなたを倒すのが。ははは。」
僕は学校に向かった。
「おはよう、浩之。」
「おはよう。」
「お前いつもより遅いな。そうか、二人とも俺が遅いとよくわかったな。」
「王に呼び出しを食らった。明日の戦争で何かあれば、鈴のことを頼むって言われたんだ。」
「そうなんだ。だいたい見当はつくよ。」
「なんで?」
「勘だよ。それに友達だろ。野球組だし。」
「そうだな。」
「他にもなんかあったのかよ。」
「家の用事。」
「お前の仕事。鈴のお付き兵だろ?」
「正式に言うと護衛兵だ。」
「そうなんだ。傍にいなくていいのか?」
「いいよ。鈴も俺も学生だ。つきあってるとか思われるのは嫌だし。遠くから見張っていればいい。」
「まあな。けど好きなんだろ?」
「うるさい!」
教室についた。鈴と俺は同じクラスだ。
「おはよう。朝、なんで一緒にいなかったの?」
「鈴、おはよう。実は蓼太達に捕まったんだよ、途中で。」
鈴は笑って言った。
「仲いいね。」
「皆、部活同じだから。鈴も仲良い友達いるじゃん。」
「うん、部活のね。」
「鈴が楽しければいい。」
「ありがとう、心配してくれて。浩之君は大丈夫なの?」
「まあな。鈴は俺がいなくて平気か。目を前にやられたから。」
鈴は言った。
「大丈夫。浩之君は私のこと気にしなくていいから。」
「気にするよ。」
「なんで?」
「鈴が好きだから。」
鈴は言った。
「知ってた…。でもそれももう終わりでしょ。」
「終わりでもいい。終わりでも鈴を守れるならそれでいい。」
「浩之君、ありがとう。」
「うん。」
僕は思った。
たとえ、鈴が消えようとしても俺は鈴を守る。学校が違っても。この先の未来に何が起こっても。この腐った世界の幻想を壊してやる。
一方、青龍家と光天国の激しい戦いが始まっていた。
「切り裂け。ライトンエルージョン!」
光天は友也を光で切り裂こうとした。
「そう簡単には死なない! ルーダーク! 防壁!」
友也は青龍の光の壁で光のハイ光線を防いだ。
「はあはあ…。なかなかやるじゃね。えか。」
「貴様こそやるじゃないか。だがこれで終わりだ。ハーッ!」
私達の運命はどうなるのか。崩壊か平和か。
【第六章】 対決
風が吹いていた。邪悪な妖気が漂い、地面が揺れ始めた。
「なんだ? この揺れは。」
「みんな。机の下に隠れて。」
「うん。」
私たちは机の下に隠れた。しばらくして揺れは収まった。
「みんな無事?」
「うん。」
「よかった。他のクラスは?」
「今、健太から連絡がきた。他のクラスも無事だって。」
「そうか。よかった。ただ闇の気配を感じる。」
クラスメイトたちは言った。
「闇? 私たちには感じないけど…。」
浩之は言った。
「君たちは無能力者だから感じないが、鈴は昔から感じ取れる力も持っている。他にもあるが。」
「すごい!」
クラスメイトは誉めた。
「ありがとう。」
「感心している暇はない。次の揺れが来るぞ。」
「次の揺れが!」
「ああっ!」
クラスメイトの咲希は言った。
「地震。」
「わからない。けどここは危ない。」
「そんな。」
咲希は不安に陥った。周りにいる人も不安状況に陥った。
「とにかくみんな落ち着け。鈴、この揺れは何だ? みんな不安になっているぞ。机の下にて言ったが。みんな動けない状態だ。」
「わからないけど、みんな机の下にとりあえず隠れて。私が感知して地震の原因を突き止めるから。隠れて!」
「わかった。鈴はどうする?」
「気配を感じ取ってから隠れる。」
「わかった。」
クラスメイトたちは机の下に隠れた。
「鈴、どうだ?」
「うん。」
私は目を閉じた。そして、術を解き放った。
「汝の揺れ私の命に答え、今こそ姿を現したまえ。カレーン!」
私は目を開けた。
「見えたわ。」
「で、どんな気配なんだ?」
「闇の青龍の気配がする。」
「感知できるか?」
「やってみる。揺れが収まってからね。さっきの揺れの衝撃でちょっと厳しいから。次の揺れが収まってからなら、たぶんできると思う。」
「わかった、頼む。」
「うん。」
その時、再び揺れた。
「また地震だわ。机の下に入ろう。」
「おう。」
私たちは机の下に隠れた。 しばらくして揺れは収まった。
「みんな、もう大丈夫よ。」
「よかった。」
「できるか、鈴?」
「うん。じゃあ始めるね。」
「ああ。」
私は術を唱えた。
「いにしえの力よ。私の問に答えたまえ。」
ピカー
光が解き放たれた。
「汝の命に応えその妖気を感知したまえ。ライトフリア!」
私は目を開けた。
「鈴、何か見えたか?」
鈴は言った。
「この先の東の方向で光天国と青龍国軍が戦争してる。そこに吉岡君もいる。」
「吉岡が!」
「うん。」
浩之は鈴に尋ねた。
「現状は悪いのか?」
「軍が押されてる。吉岡君が危ない。私が守らなきゃ。」
「待て、俺も行く。」
「私一人で行くから。浩之君はみんなをここで守って。」
「俺も行く。お前を守らなきゃ。」
「みんなを見捨てることはできない。」
浩之は涙をこぼしながら言った。
「じゃあどうすればいいんだ。」
その時、拓也、昌樹が教室に来た。
「拓也君。」
「俺と持田で行く。」
「拓也…。」
「昌樹、浩之とともにここを守ってほしい。」
「わかった。」
「鈴はこの国の姫だ。鈴には俺たちがいる。必ず守る。」
「二人ともありがとう。昌樹君も。」
「おう。」
拓也は鈴に剣を差し出した。
「鈴。この剣で吉岡を助けろ。きっと役に立つはずだ。」
「拓也君、これは?」
「湖魔剣だ。その剣には光の力が宿ってる。俺の力だ。受け取ってくれ。」
「ありがとう。」
私は剣を受け取った。
昌樹は浩之に言った。
「浩之、ここには大切な仲間がいる、俺たちの。そしてそれは鈴を守ることと同じだ。」
「同じ?」
「ああ。だからここで一緒に守らないか。」
「昌樹…わかった。」
「行こう。持田、準備はできたか?」
「おう!」
「じゃあ行こう!」
「浩之君、みんなをお願い。」
「おう。」
「行ってきます。」
「…鈴…。」
私は後ろを振り返った。
「大好きだ。」
「私も。」
私は拓也たちと学校を出て東の戦地へ向かい、ユラーズと戦っていた。
「ライトンへフィールソード!」
「効かぬ! ダークフォレスソード!」
「まずい! ライトサーベル結界!」
結界防御でなんとか交わすことができた。
「はあはあ。なかなかやるではないか。」
「それはどうも。」
「…。」
「こいつ強い。どうすれば倒せる。前より強くなってる。くそ! このままじゃ俺がやられる…。」
一方、光天王は友也軍に接近していた。
「ファイアーライトソード!」
「くたばれ! ライトソード! これで終わりだぁ!」
「終わりはお前らだ! ダークソード!」光天軍と青龍軍は激突していた。
一方、光天王は友也王と激しい戦いを行っていた。
「青龍ソード!」
青き刃が光天王の体を突き刺そうとした。
「無駄だ。ライトフィアーヌバリア!」
敵の攻撃を跳ね返した。
「何? 次はこちらだ。サードフィーズライトソード!」
光の剣で突き刺そうとした。
「効かぬ。バーリアダークソード!」
「わあーっ、なんだ?」
光天王の攻撃を無効化した。光天王は傷を負い倒れ込んだ。
「くそ。ここまでか。」
「もはや終わりだな、光天。」
「くっ …。」
果たして王の運命は? 軍の運命は? 吉岡の運命は? この戦場の未来は?
【第七章】 運命
戦地の戦いは幕を終えようとした。
「そろそろ終わりか。」
「まだだ。勝利は我のものだ。」
「違う。この光国のものだ。貴様はなぜ光を恐れる?」
「我には光がない。家族も頼れん。」
「気持ちはわからん。だが我を頼れば貴様にも光がくるはずだ。」
「黙れ!」
闇が解き放たれた。
「わあーッ」
「ルートライト!」
「だがこの世界は光と自然があるから俺たちは生きていられる。違うか?」
「…くっ、ダークレイナー!」
一瞬で闇が解き放たれた。そして闇が消えた。
友也は消えて行った。
「待て!」
「おやめください、王様。」
王は後ろを振り返った。眼鏡を掛けた青年が光の剣を持ち、立っていた。
「君は…鈴の幼なじみの?」
「望田です。ご無沙汰しています。王様。」
「どうしたのだ?」
「鈴が家族を助けたいと言ったので。」
「娘が?」
「はい。私はサポートに来ました。」
「そうか。ありがとう。」
「はい。」
「娘はなんと言っていた?」
「お父様を守るようにと。」
「鈴が?」
「はい。」
「娘には敵わぬな。」
「王様。一つだけお伝えしておきますが、友也に光の平和を理解することはできません。やつには奴のやり方がありますから、簡単に王の話を信じることは難しいと思います。少し時間が必要です。」
「そうだな。 ところで鈴は無事か?」
「無事です。」
「よかった。君は学校へ戻れ。」
「いいえ。私は王様が城に帰還されるまでお供いたします。鈴から頼まれましたので。」
「わかった。では参ろう。」
「はい。」
王様は望田とともに城に帰還した。
一方、学校では浩之がみんなを守っていた。 浩之はみんなに知らせた。
「今、望田から連絡があった。」
「なんだって?」
生徒たちは驚いた。
「王様の援護に成功した。ひとまず安心だな。」
「そうだな。」
「…。」
その時、学校が揺れ始めた。机も窓も植物も。
生徒達は騒ぎ始めた。
「なに? 地震?」
「みんな机の下に隠れろ。俺を信じろ。」
昌樹が言った。
「浩之君が私たちを守ってくれる。みんな、隠れよう!」
「うん。」
みんなが机の下に隠れた瞬間、術を唱える声が聞こえた。
「ダークレイタストーンシャー!」と。」
昌樹は言った。
「敵を退けられたのか?」
「ああ。今は王様の帰還護衛をしてるそうだ。」
女の声が聞こえた。
「この声、敵だ!」
「何だって?」
「昌樹、助かりたいなら俺から離れるなよ。。今みんなを移動させるのは厳しい。やつの餌食だ。」
「ああ。」
僕たちは手を握った。そして剣をかまえた。
再び女の声がした。
「ふふふ。私たちの術中にはまったわねえ。」
「やはり貴様らの仕業か。」
「だったらなにかしら。」
「出てこい。ここで貴様を討ち、平和を取り戻す。」
「お断りよ。私はあなたのいうことなんか聞かないわ、浩之お・う・じ。だってあなたたちはここにいる生徒と死ぬのだから。」
「なに?」
「ダークサンダー!」
青龍家の手下は闇を解き放った。
「邪悪な気配がする。感じないか?」
昌樹は言った。
「ああ。俺も感じる。闇の気配だ。」
「苦しい、息ができない…。」
生徒が次々と倒れ始めた。
「みんな、しっかりしろ!」
「……。」
浩之は昌樹に言った。
「みんな闇の影響で意識を失いかけてるんだ。」
「なんだって! これは青龍国の仕業なのか?」
「ああ。昌樹、お前闇は平気か?」
「ああ。俺は光の力を持ってる。頼りになるぞ。ちょいと力を貸してもらう。」
「いいぜ。まずこの闇を浄化する。」
「頼む。」
「おう。行くぜ。ライト!」
浩之が光を解きはなった瞬間、闇が、消え敵がついに姿を現した。
「手下じゃない。お前は青龍家の女王。」
「ふふふ私の正体を見切ったのは誉めて差し上げましょう。だが貴様らは私たちの術中にはまったわねえ。」
「やはり貴様らの仕業か。ここにいる友達が皆苦しんでるのは。」
「ふふふそうよ。だってあなたたちに我らの国を支配されるのは困るのよ。だからこの女王が排除してあげるわ。どう? うれしいでしょ。私のお陰で平和がくるのだから。」
僕たちは女王に言った。
「うれしくない。俺らは貴様の国を支配していない。平和は手を組めば作れる。」
「…。」
「これ以上話しても無駄だ。どうするんだ、浩之。これではきりがない。ここでこいつを倒し、策を練らねば。」
「わかった。」
二人は剣を握った。
「さあ話は終わり。新しい平和作りの始まりよ。」
一方、吉岡は兵とともに危機に陥っていた。
青龍軍が尋ねた。
「どう導いてるの。あなたたちは闇より我らに光ばかり送る。私たちの国はぼろぼろなのに。私たちは闇の提供が必要なの。けれどあなたたちはしてくれなかった。」
「君らが勝手に思い込んでるだけだ。」
「あなたたちには分らないようだな、我らの気持ちが。ここで殺すしかなさそうだ。」
「…くそ。このままここで死ぬのか、俺たちは…。」
吉岡の軍は諦めかけていた。吉岡は兵に告げた。
「そんなことさせない。」
「生きがいもここまでだ。氷期ダーク!」
氷の結晶が空から放たれた。
「くっ。」
「リミットライトー!」
光の結晶が放たれた。そして、闇の結晶が消えた。
「みんな大丈夫?」
それは鈴と拓也の力だった。
「鈴、拓也、来てくれたのか。」
「もちろん。助けに来たのよ。」
「ありがとう。みんな、援護隊がきたぞ。」
「おう、姫様。」
鈴は吉岡君に言った。
「話はあとよ。まずはここを突破しないと。」
「そうだな。まずはあいつを倒す。」
拓也は吉岡君に言った。
「俺は鈴と兵士で突破口を開く。開いたら連続でなんとかなる。お前は全速で走り奴を倒せ。お前の剣ならいけるだろう。」
「ああ、わかった。なんとかやってみるよ。」
「おう。」
鈴は旗を揚げて言った。
「じゃあ作戦開始。」
果たして、浩之と昌樹や生徒の結末は。吉岡達の戦争の結末は?
【第八章】 呪詛切り女王
女王が浩之に襲いかかってきた。
「切り裂け、闇切り!」
「俺に任せろ。ライトバリア!」
昌樹は光の結界で闇を跳ね返した。
「はあはあ。これじゃ不利だ。」
「なんとかしないと。ただあいつには弱点がある。」
「なんだ、その弱点は?」浩之は尋ねた。「感情がないんだよ。」
「なんだって?」
昌樹は言った。
「またくるぞ!」
「死になさい。 死闘中施術切り!」
浩之は女王に言った。
「簡単に死ねるか! 食らえ、光カ六銀切り!」
浩之は光の剣で切ろうとした。
「させない! ダーク波動秘伝切り!」
浩之は不意に現れた女王の兵、清清愛にいきなり切られた。
「わーっ!」
「浩之、大丈夫か?」
「俺たち…もう終わりだ。女王から救えないんだ。」
浩之の頬から涙がこぼれ落ちた。
「くそ!」
昌樹は立ち上がった。
「俺がやる。」
「無駄よ。ここで終わりよ。死ね、呪詛八道切り!」
女王と清清愛が浩之に襲いかかってきた。
「まずい…させない! 湖小間剣ライトウハレーズ!」
昌樹は敵の攻撃を跳ね返し、剣も跳ね返した。
「よくしのげたわね。でも次で終わりね。ねえ清清愛。」
「はい、女王様。」
「くっ、このままじゃ…もう終わりなのか?」
その時、少女の声が聞こえた。
「浩之君、昌紀君。」
「鈴。どこに?」
「私は離れてるけど、昌樹君たちの心の波長を通して話してるの。」
「心…俺たちの?」
「そうよ。浩之君、昌紀君、諦めないで。立ち上がって彼女たちを倒して。」
「無理だ、倒せない。あいつの力は闇だ。強烈な連繫剣の力なんだぞ。」
「知ってる。でも大丈夫。一つ方法があるわ。融合剣よ。」
「融合剣?」
「そう、融合剣で倒すの。浩之君と昌樹君は契約術を使えるでしょう?」
「ああ。」
「その契約術で二人の力を融合させ、女王たちを倒すの。」
昌樹は言った。
「そうか。体内にお前を取り込み契約術で、互いに唱えて、契約剣を使えば奴を倒せるということか。」
「そうだよ、浩之君。私たちは婚約者でしょ? どうか私を信じて。」
「ああ。信じて俺たちやってみるよ。ありがとう、鈴。」
「うん。」
鈴の声は消えていった。
「やろう!」
「おう!」
二人は融合術を唱えた。
【融合術】
「霧の神よ。汝の命に応え、光を与えたまえ。そしていにしえの時の力を解き放ち、浄化せよ。セーラライト!」
昌樹は青き光の剣の姿に変わった。
「行くぞ、友よ!」
「おう!」
「ふふふ。さあ、あなたたちの墓場ができたわ。」
女王が地面に使ったのは。闇のゲートだった。
「これは私と清清愛が作ったあなたたちの墓場よ。これに入ればあなたたちは闇に染まり、死ぬ。さあ、入りなさい。その前に清清愛、浩之たちを破壊しなさい。墓場に入れるのはそれからよ。」
「はい。では抹殺開始、行きます。主剣精霊ダークソード、これで終わりです。はーっ!」 清清愛は闇の精霊剣を浩之たちに突き刺そうとした。その時、
「ぐっ!」
浩之は清清愛の剣を掴んだ。
「死ぬわけねえだろ。俺はあいつのために、この戦争を終わらせるためにここにいるんだ。てめえにはわからないだろうな、この人斬り女。食らえ、禁術剣融合術セレンザードライトソード!」
浩之は昌樹と融合術で敵を切り裂いた。
「なに!」
「融合解除。昌樹、今だ!」
「おう。食らえ、精霊ライトオブミラージュソード!」
「あー? この私がやられるとは! この私が、なぜだ?」
「お前は俺らが死ぬと思い、切り裂こうとした。だがあいにく俺は死ぬわけにはいかない。あいつの婚約者だからな。」
「墓場には行かねえな。それにあいつを守らなきゃいけないからな。」
「くっ、お前らがいる限り平和など、この世界には来ない。それを忘れるな。女王様、あとは任せました! わーっ…」
清清愛は光の廃となり、闇のゲートに消えていった。
「清清愛…清清愛がやられるなんて。よくも私の部下を殺してくれたわね。この場で成敗するしかないわね。これ以上貴様らを許すわけにはいかないわ。」
昌樹は剣を構え浩之に言った。
「…浩之、油断するな。」
「ああ。で、どうする? 連繫プレイして倒すか。俺は第二禁術剣を唱える。時間をできるだけ稼いでくれないか。だいたい五分。できるか?」
「ああ、やってみる。」
「…。」
「そろそろ終わりにしましょう。これで死になさい。食らいなさい、ライトンダークソード!」
女王は浩之に向かって突っ込んできた。
「行くぜ、ライトーソード!」
浩之は光の剣を女王に向けて突っ込んだ。剣と剣がぶつかりあい、激しい戦いが続いた。
一方、昌樹は禁術を唱えていた。
【禁術】
「契約術第二禁術発動。いにしえの闇を解き放て。精霊よ、我が主、昌樹の命に応え、いにしえの剣の光の呪文を解き放て。ライトオブレアスレイソード!」
光の剣の力が解き放たれた。
「浩之、さがれ!」
「わかった。」
浩之は昌樹の後ろに下がった。
「なに? 時間稼ぎだと! しまった!」
「食らえ、第二の力を。ソードスレイ!」
昌樹は解き放った剣を握り女王に突っ込んでいった。
「これで終わりだ!」
「まだよ。ダークソード!」
「効かぬ。はーっ!」
「きゃー! 何? あーっ!」
ついに女王を切り裂いた。
「…この私が敗れるとは…王様…お許しください…。」
「…一つ聞く。なぜ青龍国は光天国を襲う?」
女王は言った。
「恐れているのよ、光を。ただそれだけ。私も光は嫌いです。だから光天国を滅ぼす計画を立ててるの。ただそれだけ。」
「なぜ光を恐れる必要がある。光があるから闇もあるんじゃないのか。」
「確かに。けれど我らの国は闇だけを欲しがる人もいるのよ。あなたたちはそういう人の声は聞こえないのですか。」
「…それは…。」
「…」
女王は語りかけ、そして灰となり、青い空に向かって消えて行った。
「…俺たちは何を見ているのかな。昌樹…。」
昌樹は言った。
「これから皆で考えて築いていこう。昌樹だけの問題じゃない。」
「確かに奴の言ってることは間違ってはいない。俺たちはある程度は知ってるが、知らないこともある。これはみんなの問題でもあるからな。」
「そうだな。ありがとう。」
「おかえり、望田。」
「ただいま。昌樹たちも無事でよかった。だが教室がめちゃくちゃだぜ。ちょっと戦闘があったが、倒したから安心してくれ。」
「ならいい。生徒は?」
「みんな無事だ。じき目を覚ますと思う。俺たちも無事だけど。」
「全員無事ならいい。あとは鈴たちか。」
「うん。」
浩之は心の中で思った。
…鈴、無事でいてくれ…
一方、鈴たちは戦闘態勢に突入していた。
「あなたたちの仲間はみな死んだわ。王は撤退し、女王たちも死んだわ。それでも戦う気なの?」青龍軍は言った。
「我らの王はまだ生きてる。王がやっていることは間違いない。王の命令は正しい。」
王兵たちは剣を握り始めた。
「もはや戦うしかないな。」
「そうね。拓也君、吉岡君、動ける?」
「ああ問題ない。」
「わかった。みんなよく聞いて。兵は立って私の元に続き奴らを攻撃せよ。吉岡君と拓也君は私の補佐を。」
「わかった。」
拓也は言った。
「つまり俺の力を鈴の光の術に融合させるってわけだろう?」
「そうよ。」
「了解。じゃあやろうか。」
「おう。」
「行くわよ、みんな!」
「おう!」
果たして鈴たちは平和の道を切り開くことができるのか。
【第九章】 蒼天乃心
私達人間は互いに喧嘩したりすることがある。逆に互いに助け合ったりもする。
だが恐れを感じている人もいる。もしそんな人がいたら私たちは救う道があるのだろうか。
いよいよ鈴の中学時代最後の戦いが始まる。幕が開ける。
【道】
「闇よ。切り裂け。ライトライトセイティスソード!」
吉岡は敵の力を無効化した。
「防壁術発動。いにしえの光ダークライト!」
青龍国兵は吉岡君の力を無効化した。
「なに? ここは鈴に任せる。鈴、頼む!」
「わかった、拓也君。」
「おう。」
「きたわ。行くわよ。花術発動、フラワーレイ!」
「まだだ、ライトオブロード!」
鈴たちは青龍国の兵と戦いを繰り広げていた。
「ファイアリーライトソード! これで終わりだ、青龍兵!」
光天国兵は光の剣で青龍兵軍を切り裂こうとした。
「あまいぞ。そんな力で我らに勝てると思うなよ。食らえ、ダークレイトレスティソド!」
青龍兵は闇剣で切り裂こうとした。
「く、まだだ。吉岡隊長、今です!」
吉岡は兵士たちに告げた。
「わかった。行くぜ。食らえ、ライトエリーゼ!」
吉岡は光の術で青龍軍の力を跳ね返した。
「やったか?」
「こんなことで我らが死ぬとでも思うなよ。ダークラザー!」
青龍軍は禁術闇を解き放った。
「何? これでも駄目なのか?」
「隊長、こっちに来ます!」
「させない、ライト!」
光で闇を無効化した。
「残念だが無効化できてもその闇はすぐ消え、狙ってる人を対象に襲うんだ。」
「なに?」
僕が振り向くと闇は消え、その闇が再び現れて鈴に襲いかかってきた。
「鈴、危ない!」
「…。」
私は目を閉じた。
目を開けると、呪を浴びて立っている父の姿があった。
「お父様! どうして?」
「娘よ。お前に死んで欲しくない。お前は大切な娘だ。最後にお前を守りに城からここまでこれてよかった。お前を守れて良かった…。」
「お父様…。」
「家族とこの世界を頼む。」
鈴は父に言った。
「できない、私には。お父様がいないと…。」
光天王は娘に言った。
「鈴よ。もうお前は大丈夫。私は彼に託した。」
「お父様…。」
「これをお前にあげよう。」
父はペンダントを鈴に渡した。
「それは禁術の力だ。融合術。鈴よ、拓也とこれを使い、軍を倒すのだ。」
「わかったわ、お父様。」
「拓也、鈴を頼む。」
「はい。」
「ありがとう。そして娘よ、強くなるんだよ。」
「駄目よ。お父様行かないで。お父様行かないで、お父様。」
父は闇の灰になり空へと消えた。
「お父様…。」
「鈴…」。
「…拓也君。吉岡君を呼んで。それと兵は離れたところで待機させて。」
「わかった。何するんだ?」
「三人で禁術作戦を開始する。父が目の前で死んだことを刻み、戦うわ。」
「わかった。一つ聞くけど鈴、どうするんだ?」
鈴は答えた。
「父の分まで最後まで戦うわ。父が夢見た幸せを手に入れるために。」
拓也は言った。
「鈴…わかった。俺もお前が行く道へ行く。俺も鈴の道に光と闇が一つになった平和あるのならこの先もついて行く。」
鈴は笑って 言った。
「拓也君、ありがとう。」
「おう。」
吉岡君が鈴のそばに来た。そして抱きしめて言った。
「俺も一緒に戦う。お前の道を作るのが俺の仕事だから。それに鈴、俺たち友だちだろう。一緒に戦おう。」
「吉岡君、ありがとう。」
「拓也君、ありがとう。」
「おう。」
「うん。」
「二人ともありがとう。そのためにもここを突破して帰ろう。浩之君たちがいる場所に。」
「おう。」
鈴は言った。
「二人に告げる。兵もよく聞いて。」
「はい。」
鈴は宣言した。
「これより最後の作戦を開始する。」
「おーっ!」
光天軍は一つになった。
「話は済んだかね、ガキども。」
拓也は言った。
「ああ、済んださ。青龍軍隊長さんよ。光天王の仇を取る作戦がな。」
「…。」
鈴は最後の作戦を開始することにした。果たして鈴たちの戦争は終結となるのか?
【第十章】 光と闇
父が目の前で死んだ。その光景を見た鈴は立ち上がった。
「…お前が隊長か。」
「そうだ。我は青龍騎士隊長クロードだ。貴様らはもう敗北が決まってる。我が国の勝利が決まる。」
鈴はクロードに言った。
「お生憎さま。まだ終わりではないわ。」
クロードは鈴に剣を向けて言った。
「あがいても無駄だ。行くぞ、兵ども!」
「はい。クロード様!」
クロードは光天軍に向かっていった。そして攻撃を仕掛けた。
「我が騎士隊の力を思い知るがいい。食らえ、ダークソルトレイオブジェクト!」
闇吹雪が鈴たちに接近していた。鈴は拓也に指示した。
「禁術をやるわよ。作戦は私が伝える。まず、術を唱えている間に契約剣術で融合術を発動させ、敵の闇の力を跳ね返して。いい?」
「わかった。行くぞ、鈴!」
鈴は言った。
「はい。では作戦開始!」
「これで終わりだ! はーっ!」
クロードが放った闇の吹雪が近づいてきた。
「今よ、拓也君!」
「おう。融合術発動。第三解放!」
拓也は術を唱えた。
【融合剣術】
「いにしえの力よ、我が剣にいにしえの精霊の力を与えたまえ」。
光が解き放たれ、光の剣が現れた。拓也は剣を握った。
そして敵に向かい走り攻撃を仕掛けた。
「クロード。終わりだ! 食らえ!ライトニングソード!」
拓也はクロードを切り裂こうとした。しかし、クロードはそう簡単に切れる男ではなかった。
「効かぬと言ったろう。食らえ、レボルトバリア!」
クロードは特殊結界で拓也の攻撃を跳ね返した。
「やるな。だが俺は時間稼ぎだ。」
「なんだと?」
クロードは驚いた。
「嘘は言ってないぞ。お前の結界には穴が空いてるんだ。」
「くそっ。」
拓也は笑って言った。
「命拾いしたな。さようなら。」
クロードは怒りに狂った。
「くそ!」
拓也は吉岡に言った。
「吉岡、あとはと頼む。」
彼は笑って言った。
「おう!」
一方、鈴は禁術の力を唱えていた。
【禁術発動】
「かの者に答え給え。いにしえの光の花の力を解き放て。そして我が命に従い、いにしえの邪悪な敵を払いたまえ。」
一方、吉岡は、契約術を唱えた。
【契約術】
「契約術発動! 闇よ! 我が剣に闇と光の力を与え給え! いにしえの花を解き放ちたまえ! スレート!」
闇が解き放たれた。そして、光の花の剣が現れた。
吉岡は剣を握り、走り始めた。
「いくぜ、クロード。これでお前らは終わりだ! 切り裂け、ライトニングダークプリンスソード!」
敵の力を切り裂いた。
「拓也、止めだ。今だ、行けーっ!」
「おう。食らえ、フラワーライトセイティールソード!」
クロードを切り裂いた。
「わあっ…この我らがここで終わりなど…あり得ぬ。食らえ、ザフトダーク!」
闇の破壊光線が飛んできた。
「そう来ると思ったわ。禁術解放、ディライトフラワーハレィションー!」
花の破壊光線で敵の力を破壊し、そしてクロードが率いる兵軍も破壊した。
「わーっ!」
ついに青龍軍は鈴軍に敗北した。
「なぜだ? なぜ我々が負けるのだ?」
鈴はクロードの傍に駆け寄った。そして剣を向けて告げた。
「それは我らを恐れているからです。」
「恐れているから勝てなかったか?」
鈴は言った。
「けれどあなたはもう戦うことはできないはず。」
クロードは言った 。
「確かに、君の言う通り私には恐れもない。もはや生きる希望もない…。」
鈴は言った。
「一つだけあります。ただあなたには罪を償っていただきます。」
「…。」
クロードは何も言わなかった。まるで罪を認めたような表情をしていた。
「クロード・リア隊長。あなたを私の父殺害罪で逮捕します。」
クロード隊長は鈴により逮捕された。
「終わったんだな。」
鈴は拓也に言った。
「そうね…。」
吉岡君は笑って言った。
「これが終わったら卒業か。」
拓也は言った。
「いや、卒業前に結婚式らしい。」
吉岡は落ち込んだ表情で言った。
「ああ。浩之と鈴のだな。さびしいけどしかたないな。鈴、おめでとう。」
鈴は笑って返事をした。
「ありがとう。でも奴らを倒すための結婚だからしかたないよ。」
二人は頷いていった。
「そうだね。」
鈴は言った。
「ただ、守るって言ってくれたからついて行くだけ。」
拓也は言った。
「鈴、この先もやつらと戦い続け、平和の世界を築くんだな。」
鈴は言った。
「そうだね。私たちの未来は変わる、きっと。」
吉岡は言った。
「うん、じゃあ行こう。その前に言いたいことがある。」
鈴は尋ねた。
「何?」
吉岡君は鈴に告白をした。
「好きだ、鈴のことが。叶えられるなら、叶えられている。でも無理だから今、言う。」
拓也はその様子を見て慌てて言った。
「俺も鈴が好きだ、この先も。」
鈴は笑って言った。
「ありがとう。じゃあいつか迎えに来て。どっちかが私をね。」
達也たちは言った。
「ああ、約束するよ。俺たち。だからそれまで友としてお前を死なせないからな。」
鈴は言った。
「ありがとう、約束ね。」
二人は笑って頷いた。
「うん。」
私は拓也たちと指切りをした。
私たちが戦いを終えて学校に戻ったのは三日後のことだった。
「みんな、ただいま!」
クラスメイトたちは喜んだ。
「おかえり、鈴。お疲れさま。」
鈴はクラスメイトに言った。
「みんな無事でよかったわ。」
クラスメイトは言った。
「ありがとう。昌樹君も皆を守ってくれてありがとう。」
昌樹は言った。
「いいや、俺一人じゃどうにもできなかったけれど、あいつがサポートしてくれたから。」
浩之は黙って頷いた。
「…。」
吉岡たちは浩之に近づき言った。
「浩之…。」
浩之は二人に言った。
「吉岡、拓也、おかえり。」
二人は言った。
「ただいま、浩之。」
浩之は笑って言った。
「おかえり。鈴を守ってくれてありがとう。」
吉岡は言った。
「いいや。俺、拓也と鈴が来てくれなかったら死んでたよ。むしろ感謝するべきだと思ってる。」
浩之は笑って尋ねた。
「吉岡…あっ、鈴は?」
吉岡は答えた。
「ああ、さっき昌樹と話してから外に出ていったぜ。」
浩之は笑って言った。
「ありがとう。」
俺は鈴のところへ向かった。外に出ると桜が咲いていた。 そこに鈴が立っていた。
「鈴…。」
姫が後ろを振り返ると、浩之が立っていた。
「浩之君。」
僕は鈴のところへ行った。
「鈴、おかえり。」
彼女は笑って言った。
「ただいま。」
鈴は微笑んでいた。眩しかった。僕は鈴を抱きしめた。
ガサッ
「浩之君…。」
僕は彼女に言った。
「すごく心配した。お前が死んだのかと思い不安になった。けど鈴は勝ってきた。正直言うとほっとしている。本当によかった。」
彼女は涙をこぼしながら笑って言った。それは嬉しい涙だった。
「ありがとう。私も浩之君が無事でよかった。浩之君と昌樹君の声、聞こえたよ。」
彼の頬から涙がこぼれ落ちた。それは嬉しい涙だった。
彼は笑って言った。
「ああ、俺も。俺らを導いてくれてありがとう。」
鈴は笑って頷いた。そして僕に告げた。
「…うん。私たちつながっているんだね、みんな。」
彼は言った。
「ああ、当たり前だよ。…好きだよ、鈴。俺と結婚してくれないか。」
「私も好き。でもこの未来は形だけ。高校卒業まで私は違う人とともに歩むことになるかもしれない。それでもいいの?」
僕は言った。
「それでもいい。これから傍で守るから、君を。それにこの戦場はまだ続く。でも俺、守るから。学校違っても。」
鈴はうなずき言った。
「わかった。私も守っていい? それが約束。私たちの誓いは永遠に続く。どんな困難があっても。それは理解してほしい。」
彼は言った。
「わかった。その約束守るよ。」
彼女は俺の手を握り言った。
「ありがとう。」
彼は告げた。
「王様に挨拶しないと。」
彼女は俺に父の死を告げた。
「父は死んだわ。」
彼は驚き、尋ねた。
「王様が? なぜ死んだんだ?」
彼女は戦場と王のことを僕に話した。
「私を守って死んだの。父は最後まで王の役目を果たした。灰になって消えても父は私たちの心の中にいる。」
彼は悲しみの視線で言った。
「そうだね。」
鈴は浩之に言った。そしてペンダントを差し出した。
「父からあなたに渡して欲しいって。これを。」
僕は王様から鈴に託された贈り物を受け取った。中を開けると二つの指輪が入っていた。
「これは?」
鈴は言った。
「父が残した魔法の指輪よ。」
浩之は尋ねた。
「王様は何のためにこれを?」
鈴は答えた。
「城の人の話によれば、国を守るために作られた指輪らしいわ。」
浩之は頷いた。彼は言った。
「この指輪に誓い生きていこう、高校卒業するまで。あいつらと戦いながら平和を築き、一緒に岡山を青龍家とともに造る世界を。次の人につなぐまで。」
鈴は笑って頷いた。
「うん。」
私達は互いに誓いを立てた。
人は大人になり初めて気づくことがある。時間がかかるけれど、変えていくのが私たちではないだろうか。これはそんな社会の道に向かう少女が、愛と平和の道に気づく物語。
終わり
【外伝】 光天と友也。
俺は斎藤友也。現在、二十六歳。青龍国の国王である。
俺には兄弟がいる。正彦、乙夜だ。
子供の頃、俺らは母と共に普通の生活をしていた。
城には住んでいなかった。あのころは楽しかった。だがある日、家族の幸せは突然消えた。父が消えたからだ。
月日が流れ、俺は岡山に来た。母と弟と共に。
生活は不安定。心の中は孤独だった…。
孤独な思いを抱え、野原を歩いているときれいな花畑を見つけた。
俺は花が大好きだった。
「なんて綺麗な花畑だ。東京の蒼天村ではみたことがない。」
感動のあまり俺は座り込んだ。その時、後ろから声が聞えた。
「君はどこから来たんだい?この岡山の村の人間じゃないね。」
「誰だ。」
俺は剣を握り、立ち上がった。振り返ると青年が立っていた。
俺と同じ年ぐらいの青年だった。
俺は彼に尋ねた。
「剣を向けてすまぬ。君は誰?」
「いやいい。いきなり声をかけた僕が悪いのだから。俺は光天光天光という。」
「光天、よろしく。けど名前が変わった名前だなあ。俺は斎藤友也。友也でいい。」
「よろしく。友也。俺のことは光と呼んでくれ。」
「ああ。よろしく光。」
俺と光は握手をした。俺と光は花畑に座って空を見ながら話をした。
「友也。岡山は初めてか?」
「ああ。」
「家族は?」
「いる。けど父はいない。消えたんだ。今は弟、二人と母と暮らしてる。」
「大変だね。」
「君は?」
「家族はいるが。母は嫌いだ。家事もできない母親だからね。弟もごはん食べさせてもらえないから近所の家に食べに行ってるよ。けど父は好きだ。仕事もできるし。なんでもできる。」
「お前も苦労しているな。光。」
「まあね。でも空を見ているとさ。家族が嫌いなことも忘れるんだよ。友也。」
「確かに。きれいな空だ。」
「なあ。友也。あの白い雲。なんていうと思う?」
「わからない。」
「蒼天雲だ。願いをかなえる雲ともいうが平和の雲ともいう。」
「平和の雲。」
「俺はな。友也。あの雲のような蒼天の世界を作れる王になりたいと思う。民や貴族。すべての人が幸せにできる世界を作りたいのだ。」
「それはいい考えだ。俺もしてみる。」
「じゃあ一緒にいつか。この夢を叶えよう。友也。」
「ああ。約束な。光。」
俺と光は指切りして、野原で別れた。
俺と光天はこの頃、友だった。
あの夢はまだ続く。忘れられない夢だから。
すべてはここから始まった。
END
次週は新章でスタート
光天家の次女、光天鈴十四歳。
父と母に定めを与えられながら耐え、国を守ろうとする。しかし、純粋さを忘れず、岡山の平和を守るため邪悪な青龍軍団を倒すとの誓いを立てるのであった。
まだ闇の眠りから醒めない岡山の空に、彼女の誓いが響いたのであった。
蒼天乃王(あらすじあり) つばき @tubaki0525
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