その秘密に、名前をください。

花の記憶シリーズ第D弾（全26作品）

　
母を正当防衛で殺し、少年院に入った少女・来栖 美雨。
親戚にも見放され、居場所をなくした彼女がたどり着いたのは、
名前も年齢も聞かれずに暮らせる「忘却屋」という不思議な店だった。

　

客の情報を外に漏らせば、すべてを失う。
そんな秘密の店で、彼女は生きる術を学び、過去を封印していた。

　

だがある日、店に現れた男が告げる。
「来栖 美雨、だよな？──君を、家族として探していた」

　

亡き父の存在。名乗ることさえ許されなかった“本当の名前”。
そして迎えに来たのは、彼女のために居場所を用意し続けていた人たちだった。

　

これは、名を捨てた少女が、もう一度「名前」と「家族」を取り戻す物語。
ひとつの秘密が、ひとつの未来を照らし出す。