第22話 心霊調査

 俺と安住は深夜の公園に来ていた。


 

「本当にここであってるのか?」


「はい、調べてきましたから」


「そうか。そう言われれば雰囲気があるような……」



 ここに来た理由、ふたりで心霊スポットに行ってみたいという話になって安住が近場を調べて現在にいたる。


 ただの公園なんだろう、でも深夜に来るとどうやっても怖い。



「それで、ここはどういう評判なんだ……?」


「えっとですね、女性の霊が出ると言われてます」


「まあ、ありがちなやつか」


「その霊はたびたび全裸で見つかるそうです」


「は……?」



 想像以上の心霊体験だった。



「良かったですね佐伯さん」


「何もよくねえよ」


「もし霊に佐伯さんがレ〇プされたら私も加勢しますよ」


「それどっち側にだよ」


「それはもちろん……」



 話しながら歩いていると話声が聞こえてきた。



「え……」


「まぁ、俺ら以外に人が来ててもおかしくないだろ?」


「まだ何も言ってませんけどね」


「う、うるさいぞ」


 

 どうやら公園のわきにある駐車場から人の声がしている。


 そーっと近寄ると向こうから男女2人組が歩いてきた。



「……こんばんは」


「あ、こんばんは」



 大学生くらいのカップル?



「君たち、こんな時間にどうしたの?」



 お互い様な気がするけど答えておこう。



「えっと——」



 言いかけた瞬間、女性の足元の異変に気付いた。


 スカートの下に、ぴたぴたと水滴の跡がついている。



「…………」



 つい無言になってしまった。



「んん?」


「怖いものみたさで来てみたんです」



 黙り込む俺の変わりに安住が答えた。


 すると、相手カップルは納得と安堵の表情に変わった。



「あぁ~なんだ、良かったぁ。君たちもそういう目的か」



 まずい……俺たちは多分勘違いされている。


 そして噂されてる霊の実態はこいつらだ。



「今日はその、出ました?」



 自分と同じ目的で来たと思っているため、興味津々で聞く安住。



「それはもう普段よりいっそう出たよ」


「え、ここって普段からそんな出るんですかね?」



 小声で俺に耳打ちする安住。


 当然、あちらと安住の言ってる意味は違う。



「あ、あぁ。そうらしいな」



 乾いた声で相槌をうつ。



「……ん? えっ!」



 相手カップルに目を細める安住。



「ど、どうした!?」



 さすがに気づいたか……!?


 だとすると、どうこの場を乗り切れば……!



「これって。佐伯さん見てください」



 指さす方を見ると、相手カップルの停めていた車の窓。


 携帯の明かりで照らすと、


 車の窓や扉に人の手形がいくつも付いていた。



「これ、明らかな心霊現象ですよ。霊です霊!」


「うわぁっ! …………いや」



不気味な絵面と深夜という状況からビビってしまったが、これは……。

 


「あぁ、それはさっきまでここでこんな風に」



 あちらの女性がイキイキした顔で説明し始めた。


 車に手を付いてセ〇クスしていたという意味だろう。



「えぇ! 大丈夫でしたか……。それはその時についた手の跡ですよね」



 体勢が“バック“そのものだが、安住は気づいていない。


 もういっそ置いて逃げてやろうか。



「その時、動画とか撮ってました?」


「うん、バッチリね」


「佐伯さんバッチリ映ってるそうですよ。見せてもらいましょう」


「いや、それはどう……なんだ? やめといた方が」


「えぇ? ビビりすぎじゃないですか。見ましょうよ」



 不服そうに俺を見る安住。


 バッチリ映ってるのが別のモノなんだよ……。



「いや、僕も刺激が強すぎると思うし……ちょっと見せられないかな」



 もめているとあちら側も気まずそうにしてきた。



「それもそうですね、でも2人は事前にお清めとかしたんですかね?」



 こそこそと囁くように聞いてくる。

 


「お清め……? どういうこと?」



 当然あちらは青〇をしにきているだけだ。


 聞かれていたようで今度こそ勘違いがバレる……!



「あぁ、えっと塩をこうぱーっと撒いたり」


「あっ、それはもう……ね?」



 ふたりは顔を見合わせて「言わなくてもわかるでしょ?」という反応。



「そうですか……実際お清めはあまり効果ないのかもしれませんね」



 まき散らした“シオ“は別の方だと理解してるのは俺だけだろう。


 

「あの……」



 奇妙な状況に放心していると、にこやかに2人が切り出した。



「もし2人が良ければ、これから一緒に……どう?」


「はい?」



「一緒に」というのは……。



「へ? 一緒にって……?」


「すいません。急用ができたので……」



 想像以上に頭がおかしい人たちだった……。


 このままこの場に滞在するのはまずい。



「怖いからってその言い訳はバレバレですよ」


「前々から決まってたんだよ、こればっかりは!」


「前々から決まってた急用ってどういうことですか……」


「いいからっ!」



 ばっと手を掴んで引き返す。


 理解が追い付いてない様子の安住を引っ張っていく。




***




「はぁ……今の人達ってつまり、そういうことだったんですね」


「あぁ、そうだよ。ずっと気づかないからどうしようかと」


「すいません」


「謝らなくていいよ」



 まあ同族だと違和感に気付きにくいんだろうか。



「なんか今失礼なこと思ってません?」


「思ってない思ってない」




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