不可逆の針

OROCHI@PLEC

不可逆の針

 時計ときの針は戻らない

 これを知っている人はいる

 けど、これを理解してはいない

 今は確かに過ぎ去って

 それが戻ることはない


 楽しかった青春あおのはる

 友とくだらない話をし

 互いに夢を語り合い


 熱く燃える恋をして

 君と口付けを交わした後

 そっと抱きしめたあの夜に

 時が戻ることはない


 幸せだったあの日常

 そこに確かに君がいて

 愛をいっぱい注いでくれて

 話をいつでも聞いてくれた


 当たり前だと思ってたけど

 それが実は幸せだった

 今はもう手に入らない

 心の底からの幸せだった


 あの幸せな日常に

 時が戻ることはない


 時が戻ることはない

 お金をかけても

 命を捨てても

 泣いて悔やんで

 神に祈っても

 何をやっても巻き戻らない


 心臓がトクンと鼓動する

 その度に少し壊れてく

 この時がまた過ぎていく

 死へとゆったり向かってく


 同じ景色は二度は見れず

 同じ夢もまた二度は見れない

 時の流れは不可逆だ


 世界は少しずつ壊れていく

 時計ときの針は戻らないから

 私たちもまた壊れてく

 自分もいつか過去になるから


 だけども世界は終わらない

 少しずつ治されているから

 私たちもまた終わらない

 新たな命に姿を変えて


 過去は思いとしてだけ残り

 私たちにあるのは今と未来のみ


 だけど私は信じたい

 一度だけ、針が戻ると

 いつかまたあの夢を見れると

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