最終話:(コギト・エルゴ・スム)我思う故に我在り」

「あのね・・・バカみたいに思うかもしれないけど・・・私でいいんだよね」


「なにが?」


「だからエッチ・・・私でいいんだよね」


「エッチ?・・・」


「そうだよ前から私を抱きたいって思ってたでしょ?」


「思ってないよ」

「ウソだ・・・私与四郎の気持ち分からないとでも思ってる?」

「正直に言って・・・私とエッチしたい?」


「それは・・・したい〜ものすごくしたい・・・めっちゃしたい」

「これでいいか?」


「くっついていい?」


「ああ、いいよ」


彩葉は与四郎の腕に自分の腕をからませて寄り添った。


「幸せ」


「僕もだよ」


「ずっとこうしていたい・・・」


気持ちいい風が吹いていた・・・先日までのことがウソのように平和だった。

彩葉の髪が風になびいて与四郎のほほを撫でた。


「彩葉・・・急いで帰ろう?」


「そんなに急いで帰ってエッチしたいの?」


「そうだよ・・・ってか雨が降りそうだからだよ」


「与四郎・・・からかうと面白い」


「そう言う性格は直したほうがいいぞ・・・」


彩葉はクスって笑ってまた与四郎に寄り添った。

それ以上ふたりには言葉などいらなかった。

抱き合えばお互いを感じることができる。


恋というものはそういうものなんだろう。

よく考えてみたら、これまで彩葉と一緒に暮らしてきたけど、こんなに彼女と

接近したことはなかった。

与四郎がはじめて味わうこの感覚。


与四郎が過去に出会った女性はただのフレンドリーな関係・・・きっと恋じゃ

なかったんだろう。


「あんたたち・・・もう帰るの?」


「あ、姉ちゃん・・・いろいろありがとう、お世話かけました」


「いいのいいの・・・これを機に私もしばらく日本で暮らそうと思って」

「日本にだって富豪はいるからね」


「あ〜泥棒は辞めないんだ」

「私の転職だし・・・それにおばあちゃんになるまでは、まだまだイケるでしょ?」


「だから時々三人であって焼きの句パーティやろうよ」


「いいね〜セフレのお姉さんがいてくれると心強いもんね、与四郎?」


「彩葉・・・セフレじゃないって・・・なだ言ってるよ」


「それじゃ〜ね・・・気をつけて帰りなさいよ」

「私の住処が決まったらまた知らせるから・・・」


「うん・・・じゃ〜姉ちゃん」


「ありがとうお姉さん」


「彩葉ちゃん私と組んで夜の街を飛んでみない?」


「姉ちゃん彩葉を危険なことに巻きこまないでくれよ」


「分かってるわよ」

「あんたたちラブラブだもんね、彩葉ちゃんを危険な目には合わせられないわね」

「彩葉ちゃんは与四郎君といたほうがいいよね」

「あなたは未知の存在だから・・・これからの成長楽しみにしてる」

「まだまだ自分ってものの存在を分かってないだろうからね」

「Cogito, ergo sum(コギト・エルゴ・スム)我思う故に我在り」


「なにそれ?」


「哲学者デカルトのもったいつけた言葉・・・」


「どういう意味?」


「自分で調べな」


意味不明な言葉を残して姉ちゃんはラボに帰って行った。


「帰ろう彩葉・・・」


僕は時々、彩葉ことを夢に見るんだ。

彩葉がバッドピーポーのヤツラに連れて行かれて研究材料にされてしまう

嫌な夢・・・。

で、ふと目が覚めて慌てて彩葉が僕の横にいるか確かめる。

彩葉の可愛い寝顔を見ると安心して心に誓う・・・絶対君を離さないって。


僕は寝てる彩葉を抱きしめる。

急に僕に抱きつかれて彩葉はびっくりして目を覚ます・・訳わからず何事って

顔をする。


そんな切ない僕の想いをよそに彩葉はメイドカフェで客に怪我を負わせて

店をクビになった。

聞けば、客が彩葉のスカートをめくって尻を触ったってことだった。

しかも彩葉は客に向かって悪口雑言・・・とても放送できない言葉を口走った

らしい。


まあ・・・悪いのは客でも僕力はよくないよな。

それに客を挑発するような短いスカートを履いてる方が悪いんだって彩葉に

言ったら・・・与四郎が好きだって言うから短いスカート履いてるのに文句言う

のか?って逆にくってかかられた・・・。


相変わらず物言いが汚い・・・少しはしとやかになったのかと思ったけど彩葉は

なにがあろうと変わらないんだ。

それだけ彼女は純粋・・・言葉を飾ろうとか心を飾ろうとか思わないんだ。

彼女は自由で自分に正直に生きてるだけ・・・自分の存在をしっかり分かってる・・・我思う故に我在り・・・それが僕の愛するメイドロイドなんだ。


おしまい。



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はちゃめちゃメイドロイド・彩葉。 猫の尻尾 @amanotenshi

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