パーティ解散食堂　～元トップ冒険者たちのセカンドライフ～

これほど一行目からインパクトのある冒頭は珍しい！
笑いもありつつ一気に引き込まれる世界観もお見事でした。

トップ冒険者パーティ「金色の翼」が解散し、メンバーだったタリガとルリカは食堂を開店することに。
テーマがお料理だけあり、その描写にも力が入っています。
味覚だけでなく嗅覚や視覚にも訴える料理の描写が凄い。
語彙豊かに描かれるお料理は本当に美味しそうですし、この世界の独自の具材があるのもこだわりを感じます。

おやつのように少しずつでも、ドカ食いしても楽しめる一作です！

祝いの翼亭……その店は、伝説の冒険者パーティ「金色の翼」に所属していたタリガとルリカの開いた食堂であります。
誰しもが心地よくなれるような店構えと接客は、思わず高級料理店と勘違いしてしまうほど。
しかし、提供される料理はどれもリーズナブル！それでいて、食材の良さを存分に引き出した料理の数々に胃袋を刺激されること間違いなしです！
(飯テロをくらった後、「この食材はこの世にない！」と同じ料理を食べられないことに、大変なショックを受けることになるかもしれません！)

ファンタジー世界ならではの美味しそうな料理の数々が登場しますが、読み進むにつれて、物語は「食文化」そのものを映し出すような、とんでも…続きを読む

飯が上手そう...！！
先ず以てこの一言が浮かびますが、これに関しては私の拙いレビューではどうあっても表現出来ません。
是非とも一読し、存分にそのお腹を鳴らせてみて下さいな。（深夜に読むのは注意です！）

という訳で、今回は別視点からのレビューを綴ります。
本作で私が素晴らしいと思ったのは、「世界観の圧倒的な作り込み」です。
お店を営むのは冒険者パーティーの二人ですが、スポットライトが当たるのはやはり飯！

そして飯を食うのは――そう、お客様！！

様々な事情を抱えたお客を描くという、ある種の群像劇の様な側面を持つ本作品。
これが凄いのです！

登場人物の皆が皆、とても魅力的なんですよ！
各…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（315文字）

まるで自分も「祝いの翼」亭にいて、料理が出てくるのを待ちながら隣の人のご飯を覗いているような臨場感！！

温度や香りや咀嚼音を感じるような丁寧な描写が素晴らしいです。
なにより、タリガとルリカの仲良く楽しく働いている様子にほっこりします。

冒険の果ての幸せなセカンドライフ！！

〝解散→食堂開店〟という
切り口がまず初手から爽快──！！

初客の視点で店内の
空気・匂い・音が立ち上がり
魔力式竈や供物、通貨感まで
〝生活するファンタジー〟が
血の通った説得力を持っています。

挿絵入りメニューのアイデアも
物語的機能を果たし
注文の迷いすら楽しい演出に！

揚げ音から咀嚼、酸味の抜けまで
食描写は超一級！！！

温度差のある会話劇も軽快で
次の一皿と次の一話を
同時に〝おかわり〟したくなるはずです！

パーティーが解散して路頭に迷うのかと思いきや、美味しそうなお話が始まります！

お腹が空いちゃう擬音や、丁寧な描写で本当にお腹が空いてくるー。
パスタもミックスフライも食べたい！

突如解散したトップ冒険者パーティには訳がある。
セカンドライフとして始めた食堂には、美味しさが漂い始める。
独特の食材も使われる料理を、味わってみませんか。

読んでいて腹が鳴りました。
この小説はレシピや調味料のワードで攻めて来るのではなく、いかに美味そうに魅せるか、それを表現する文章力が素晴らしいです。
料理の知識を持ち合わせていなくても、読んでいる方の記憶の中に残っている味を、文字で思い起こさせてくれます。

その中で、しっかりと冒険も挟んでくれるので物語自体に飽きが来ません。

会話と文章のバランスが良いので、サクサク読める軽さも魅力です。
多くのレビューが書かれていることに納得できる良い作品です。

実際に異世界でパーティーが解散する理由としてホントにありそうと読んでて思いました。
人物描写もリアルで読み入ってしまいます。