自分らしさって何!? 悩めるみんなへのエールが詰まった優しい物語

 読み終わった時、素直に思えました。
 自分のこと、もっと大切にしてあげようと。

 事故や病気等によって記憶を無くしてしまった時。今までの自分と同じ自分でいることは難しいでしょう。

 この時新たに生まれた自我のことを、今作品では『レプリカ』と呼んでいます。

 彼らは記憶を取り戻すまでの単なる『ツナギ』ではありません。悩んだり迷ったりしながら成長していくのは本体と同じ。
 その上、かつての自分の姿にまで思いを巡らせ、今とのギャップに落ち込んだり喜んだり一喜一憂する羽目に。
 
 悩んで悩んで悩み抜いた先に掴み取ったのは、愛おしさと尊厳。

 かつての自分の事を誇らしく思い、今の自分を大切にしようと心から思えた時、レプリカは役目を終え、レプリカルテの庭へと旅立っていきます。

 レプリカルテの庭は、そんなレプリカ達を優しく迎え入れてくれる場所です。


 誰もが一度は、『自分らしさ』と社会の中で『演じている自分』との狭間で悩んだ事があると思います。
 レプリカ達の悩む姿と重なりました。

 この作品は悩めるみんなへのエールが詰まった優しい物語です。
 是非、心で触れてみてください。
 お勧めです!

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