人間が記憶をなくした際に出来る別人格レプリカたちの物語です。
レプリカは元の人格が戻るときに行き場をなくしてレプリカルテの庭にたどり着きます。そこで自らの行く先の選択をし、未来へと進んでいくことになるのですが……
非常に難しい設定を巧みに書き上げているという印象でした。それはやっぱり作者傘木さんの力量かなと思います。もうね、ものすごく面白いんですよ。ストーリーやキャラクター作りもそうですし、なにより無駄な文章もない。
完璧な筆致で書き上げているそれくらいの完成度だと思います。
本当に感銘したというか、わたしのこのレビューで皆さまに読んでもらえるか心配なんですけれど、読まなきゃ損! それくらいの物語だと思います。
無料でこんな作品が読めちゃうなんてすごいぜカクヨム!
心理描写に主軸を置いた物語です。丁寧な心の描写にも注目してください。
読みやすくて面白いよ、ぜひ!
読み終わった時、素直に思えました。
自分のこと、もっと大切にしてあげようと。
事故や病気等によって記憶を無くしてしまった時。今までの自分と同じ自分でいることは難しいでしょう。
この時新たに生まれた自我のことを、今作品では『レプリカ』と呼んでいます。
彼らは記憶を取り戻すまでの単なる『ツナギ』ではありません。悩んだり迷ったりしながら成長していくのは本体と同じ。
その上、かつての自分の姿にまで思いを巡らせ、今とのギャップに落ち込んだり喜んだり一喜一憂する羽目に。
悩んで悩んで悩み抜いた先に掴み取ったのは、愛おしさと尊厳。
かつての自分の事を誇らしく思い、今の自分を大切にしようと心から思えた時、レプリカは役目を終え、レプリカルテの庭へと旅立っていきます。
レプリカルテの庭は、そんなレプリカ達を優しく迎え入れてくれる場所です。
誰もが一度は、『自分らしさ』と社会の中で『演じている自分』との狭間で悩んだ事があると思います。
レプリカ達の悩む姿と重なりました。
この作品は悩めるみんなへのエールが詰まった優しい物語です。
是非、心で触れてみてください。
お勧めです!
人生にはさまざまな選択があります。
例えば、新たな一歩を踏み出すのか、それとも現状にとどまるのか。
あるいは、思いを届けるのか、それとも、思いを秘めたままにするのか。
そんな人生の大きな岐路に立たされた時、誰かのひと言が迷える人たちの背中を押し、勇気を与えるかもしれません。
こちらの作品は、そうした人生の選択を迫られた人たちに贈る応援歌のような物語です。
『レプリカルテの庭』とは、いったいどのような場所なのか。
そもそも、今作に登場する『レプリカ』とは、どのような人たちなのか。
そして、主人公は迷えるレプリカたちに救いの手を差し伸べることができるのか。
なかなか上手に伝えるのは難しいのですが、読ませていただいて、全編を通して作者様の温かい眼差しが感じられ、さわやかな読後感を味わうことができました。
少しでも気になった方は、一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。