dear Friend, in the Azure

七理チアキ

dear Friend, in the Azure

 浮かぶのは、揃いの表情かおで戯れた。

       「『トムヤムクンの大冒険』だ」。



「覚えてる?」、いつか見た夢、語るとも。

          回顧するのは六歳の頃。



「忘れたよ」、はにかみながら溢す笑み。

         いつの間にかに十八の頃。



 幾重にも、共に迎えた暁に、

         未来さきに語らう、ともの輪郭。



 蒼穹そうきゅうの刹那切り取り、とこしえに。

       駆け抜けた春、韋駄天のごと。



 わるい文。国の戻り路、とばり

       窓から射したる下弦の尾あり。



 砂を噛む。ながめせしまに、いたずらに。

        病に臥す君、露と知らずに。



 幼子の淡い記憶が目の奥に、

           宵の家路にこそ蘇る。



 今もまだ、あなたがここにいてほしい。

       話したいこと、この胸にまだ。



 いつまでも忘れないから、君と蒼穹そら

       ずっと一緒さ、きっと僕らは。

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