第3話 クレナとセツナ③

ある日。


(女)

こんにちは、中尉です。

本日の訓練結果を報告に参りました。


(セツナ)

・・・は?


(女)

訓練所所長、クレナ・マンコスキ大佐閣下に報告書を提出に参りました。


(セツナ)

へっ?

クレナならその辺の酒場で呑んだくれてますよ?

それに怪我が原因で除隊したし……


(女)

クレナ・マンコスキ大佐閣下は、怪我で除隊された後も、訓練所の顧問としてご活躍されています。

お酒を飲まず、常に自主トレを欠かさないと聞いております!


(セツナ)

いやいやいや、それ、なんかの間違いだから。

毎日、酒場通いで呑んだくれてるし、この家に専用姦り部屋作って、毎日ボクを姦ってるし。

昨日も失神するまで姦られたし(照)


(女)

それは違います。

大変申し訳ありませんが、そのような事はしておらず、この訓練所の顧問として働いているばかりです。

もし、何か間違いがあるようでしたら……


(セツナ)

ま、まぁ、時々昼間、酒場に居ない事もあるみたいだし、それでかな?


(女)

この報告書は、必ず閣下にお渡ししなければならないのですが……


(セツナ)

なら、ボクが預かるよ、渡しとくから。

そのうち帰ってくるだろうし。


(女)

了解しました。

では、大変失礼いたしました。


(セツナ)

いえいえ。


(女)

では、訓練所の教官の仕事がありますので、これにて失礼いたします。


(セツナ)

はい、ご苦労様でした。



またある日……


(女)

訓練所長、クレナ・マンコスキ大佐閣下の部下です。

今日は閣下に会いに来ました。


(セツナ)

ありゃりゃ、クレナは酒場に行ってるよ。


(女)

酒場ですか?

あの偏屈な大佐が行くとは思えないですが……


(セツナ)

結構言うねぇ〜(笑)

その偏屈の溜まり場の酒場だよ。


(女)

偏屈者の溜まり場の酒場ですか……


(セツナ)

うん、一癖も二癖もある偏屈連中の溜まり場。

クレナはいつも誰かに絡んでるよ。


(女)

偏屈な大佐が酒に溺れて他人に絡むとは……まさか、あの人が居るのでしょうか?


(セツナ)

あの人?


(女)

はい、クレナ・マンコスキ大佐です。

訓練所所長として、常に厳しく指導する為に酷評されています。


(セツナ)

いや、だから、クレナ・マンコスキ大佐のいきつけだって、その酒場。

ってか人の話、聞いてた?

まぁ、クレナは筋金入りのドSだけどね。


(女)

あの方は、偏屈者の溜まり場の酒場に通われていたのですね。


(セツナ)

そうそう。


(女)

失礼しました。

では、早速行ってきます。

ありがとうございます。


(セツナ)

気をつけてね。



しばらくして……


(女)

クレナ・マンコスキ大佐は、酒場で見つかりました。


(セツナ)

でしょ(笑)


(女)

しかしですね……


(セツナ)

ん?


(女)

マンコスキ閣下は飲み過ぎて気を失っています。


(セツナ)

だろうね、いつもの事だよ。


(クレナ)

・・・どういたしまして!ってか、うるせぇ〜んだよ!


(セツナ)

あら、気がついた?マンコスキ大佐(笑)


(クレナ)

えっ?あれ?ここどこだ?私は……


(セツナ)

おかえりなさい、マンコスキ大佐(ニヤッ)


(クレナ)

そっちの名前で呼ぶな!(涙目)


(セツナ)

いつも通り、呑んだくれて寝てたよ(ため息)


(クレナ)

飲んでるのか?私の記憶では……


(セツナ)

それも分からんぐらい飲んだんかい!(ため息)


(クレナ)

うっ……私は、また失態を……


(セツナ)

今更!いつもの事やん。


(クレナ)

本当に申し訳ございません。

こんな事になって、ご心配をおかけしました。


(セツナ)

丁寧語!ってか、丁寧語喋れたんだ!(驚)


(クレナ)

あっ、知ってはいけない事を知ってしまいましたか!


(セツナ)

クレナが丁寧語喋った!明日、世界が滅ぶ!


(クレナ)

馬鹿な事を言わないでください。


(セツナ)

いや、いつも、ワレがシャレがのクレナが丁寧語で喋るんだよ?

天変地異の前触れやん!


(クレナ)

世の中には色々な現象があるのです。

気にする必要はありません。


(セツナ)

わぁ〜!スルーしたぁ〜!!


(クレナ)

もう一度言いますが……


(セツナ)

ひゃい(怖)


(クレナ)

この度、不適切な行動により、訓練所所長の職を解任されました。

現在、無職です。


(セツナ)

だろうね、ショックからおかしくなったのね(ため息)


(女)

訓練所で酔って、上官と揉み合いになったのが悪かったですね。


(セツナ)

訓練所でもやったんかい!ってその前に、訓練所で酒飲んだ?!


(クレナ)

嘘だ!私はそんな事……


(セツナ)

やったんだね。

酒場だけにしとけって言ったのに(ため息)


(クレナ)

すみません、我慢できなくて……

でも、上官とはいえ、男に手を上げられたのは生まれて初めてだったんです!


(セツナ)

アンタ、男より強いもんね。


(クレナ)

そうなんです!


(セツナ)

認めるんだ……(遠い目)


(クレナ)

相手は上官でしたが、男女差別が激しいこの国では許される行為ではありません。

それが悔しくて……


(セツナ)

半殺しにしたと(ため息)


(クレナ)

半殺しにはしてません。

胸骨を数本、複雑骨折させたぐらいです。


(セツナ)

それ、半殺しだよね。


(クレナ)

もう戻るところなんてないと思い、酒場で過ごす日々です。


(セツナ)

前からだろ、今更だよ(ため息)


(クレナ)

お酒が入るとどうしようもなくなるのは自覚しているので、この際、酒を控えて修行を始めようかと……


(セツナ)

無理だからやめとけ。

早速酒場に入り浸っているんだ。

それに家買ったやん。

ボクには"無限通販"があるから、食い扶持には困らないよ。


(クレナ)

家は買ったが、金策の為に商売する気はないので、就職しなければなりません。


(セツナ)

一人前に就職する気はあるんだ……

ってか、そろそろ丁寧語やめてくれん?怖いから。


(クレナ)

はっ、私は……


(セツナ)

だろうね、クレナが正気で丁寧語は喋らんわな……


(クレナ)

おい、ちょっと待て。


(セツナ)

で、就職するって、どうするん?

いつもの酒場でウェイトレスでもやる?

セクハラしてくれるから、殴り放題だよ。


(クレナ)

あのな……

こう見えて、オレは男に免疫が低いんだ。

できるだけ接したくない。

できれば女性しか居ない職場が良い。


(セツナ)

だからチームは女ばっかりだったんだ。

ってか、よくボクを入れたね。


(クレナ)

そりゃあ姦り甲斐があったからだ。

ネコのふたなりなんて逃すわけないだろ。

でも、良かったろ、ハーレムだ。

男ってのは、そういうのに憧れんだろ?


(セツナ)

それ偏見……でもないのか?男連中は?


(クレナ)

そうに決まってる。

でも、オレらはいつでも食えたから、絶好調だったがな。


(セツナ)

戦場で姦りまくるのはやめような。


(クレナ)

いつも担いで撤退したろ(ニヤッ)


(セツナ)

動けなくなるまで姦るのが異常だよ!戦場だぞ(ため息)


(クレナ)

戦場は人を狂わせる。

アドレナリン、バンバンだからな、ラリってくるぜ。


(セツナ)

カッコつけようとして台無しな(ため息)


(クレナ)

まぁ、お前は特別だしな。


(セツナ)

えっ?


(クレナ)

なんでもねぇ〜。


(セツナ)

女だけの職場ねぇ〜。

レズ専門の風俗嬢。


(クレナ)

やっぱ、お前とはよく話する必要があるな。


(セツナ)

どうする?


(クレナ)

あゝまぁ、そうだな……

家賃代わりと称して、しばらく泊めろ。


(セツナ)

何が家賃だよ。


(クレナ)

あゝ?ナニだ、決まってんだろ(ニヤッ)


(セツナ)

それ、アンタが姦りたいだけやん(ため息)


(クレナ)

嫌か?(ニヤリ)


(セツナ)

嫌……ではない(照)


(クレナ)

ほらみろ(ニヤリ)


(セツナ)

ってか、同棲する為に買ったんでしょ?この家。

しかも専用姦り部屋作ってるし。


(クレナ)

あゝ、そうだった、悪ぃ〜悪ぃ〜(笑)


(セツナ)

で、ホントに何かするの?


(クレナ)

ナニか?するぞ(ニヤッ)


(セツナ)

それは知ってる。


(クレナ)

そうだなぁ……無職ってのもアレだしなぁ……


(セツナ)

料理上達したんだから、弁当屋でもやる?


(クレナ)

弁当屋か、いいなぁ……やるか!


(セツナ)

んじゃ、店買うね。

どれにする?コレも良いし、コレも良い。


(クレナ)

そうだなぁ……弁当屋だ、あまりデカいのは要らんだろ。

作って、売り切れば終わりだ。


(セツナ)

あっ、追加無し?


(クレナ)

追加は無しだ、一気に作って、一気に売る。


(セツナ)

なるほどね。


(クレナ)

これが手頃じゃね?


(セツナ)

あゝ、そうだね、コレにしよう。

家の隣りの空き地に出すね。


(クレナ)

おぉ、頼むわ。



早速ポチって、店を出した。


(セツナ)

で、どんな弁当を作る?


(クレナ)

どんな弁当、ねぇ〜。


(セツナ)

肉体労働系向けにガッツリ系、女性中心にヘルシー系、マッチョやアスリート向けにタンパク質メインとかは?


(クレナ)

良いねぇ〜、それで行くか!

で、材料の安定供給だが……


(セツナ)

その為の"無限通販"!


(クレナ)

だな。


(セツナ)

価格は相場より"ちょい安"ぐらいが良くない?売り切るんだから。


(クレナ)

だな、さっさと売り切って、酒だ。


(セツナ)

やっぱり飲むんだ。


(クレナ)

当たりめぇ〜だろ!


(セツナ)

懲りてないんだ……


(クレナ)

あっ……



その後、弁当屋は大盛況で、メイドの数も増やして対応するぐらいになった。


(クレナ)

こんな普通の生活をするようになるとはな。


(セツナ)

嫌か?


(クレナ)

いや、悪くない。

ただ、昔のオレからじゃ想像もつかなかったって事よ。


(セツナ)

良かったやん。


(クレナ)

あゝ、お前のおかげだ。



クレナとセツナは第二の人生を幸せに暮らしていったのだった。

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元軍人クレナとセツナの共同生活 なぎさセツナ @setsuna_tereshia

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