【声劇台本】神の過去【三人用】
TaNu²¹(たぬ)
第1話
【タイトル】神の過去【三人用】
【作】TaNu²¹(たぬ)
【時間】約6〜8分
【登場人物】
□ ヒナタ (人間)
■ ライ (神)
❀ ルイ (神の使用人)
▼ セリフ ▼
❀「ライ様。人間がまた命乞(いのちご)いに来ましたが追い払いますか?」
■「いや。話くらいは聞いてやろう。通せ」
❀「かしこまりました」
□「ライ様……。助けてください……!!」
■「……なにをだ?」
□「ひっ……!!」
■「私が何故(なぜ)怒っているかは、わかるな?」
(小声で)
❀「はぁ……。今日は雷雨かな……」
□「わかっております……!ですが怒りを抑えて頂きたい……!」
■「怒りを抑えろ?貴様ら人間が私に何をしたのか忘れたわけではあるまいな?」
□「それは、だいぶ過去の事で……!」
■「今更、私の助けが必要だと?ふん。笑わせるな。自分たちで起こした争いだろう?」
□「それはそうですが……!!もう、貴方様(あなたさま)しかいらっしゃらないのです……!!他の神たちは話を聞きもしません……。ですから、どうか!!」
■「人間は本当に愚(おろ)かだな。ルイ」
❀「……御意(ぎょい)」
□「やめてくれ……!!これ以上、村を燃やさないでくれ……!!やめろぉぉぉぉ!!貴様ぁぁぁぁぁ!!」
❀「主様(ぬしさま)には触れさせない」
■「ルイは、流石だな。私ひとりでも相手はできるのに」
❀「人間の分際で、主様(ぬしさま)に触れられるのが嫌なだけです」
■「本当に、私のことが好きだな」
❀「当たり前です。というか、この人間 気絶してますがどうします?」
■「人間界にでも返しとけ」
❀「本当に主様(ぬしさま)は、お優しい」
■「優しいわけじゃない。思うところがあるだけだ。……人間とは本当に愚(おろ)かだな」
❀「そうですね。話し合ってもこうなるのですから、憐(あわ)れむしかないですね」
■「まあ、これで少しは考えてくれればいいのだが。そうもいかないだろうな」
❀「人間とは、本当に大バカ者で自己中心的な生き物ですからね」
■「ああ。ただ……」
❀「ただ、なんです?」
■「こうやって失敗を繰り返して成長するのも人間だなと思ってな」
❀「そうですね。………そうやって、お思いになる主様(ぬしさま)はやっぱり優しいですよ」
■「ははっ。お前は私を褒めるのが好きだな」
❀「当たり前って言ってるじゃないですか」
■「……なあ、ルイ」
❀「はい。なんでしょう?」
■「今の人間を見て思い出したことがあってな。少し昔話(むかしばなし)に付き合ってくれるか?」
❀「もちろんです」
■「私はな。ひとりの人間に気に入られていたんだ」
(過去)
□「ライ様っ!」
■「おや。また来たのか」
□「ライ様に見せたいものがあったんです!!」
■「見せたいもの?私に?」
□「はいっ!これです」
■「これは……髪飾り?」
□「そうです。ライ様は 髪が長いので似合いそうだなと思って!」
■「そうか。ありがとう」
□「えへへ。頭撫(な)でられちゃった(笑)」
■「あのな、ヒナタ」
□「なんですかー?ライ様」
■「もう私のところには来るな」
□「なんでですか!? 自分、何かやらかしました!?」
■「落ち着け。そうじゃない」
□「じゃあ、どういうことですか……?」
■「私は神と崇(あが)められ、お前は人間だ。その違いはわかるな?」
□「……はい」
■「人間と違う存在は、人間に恐怖心を与えてしまう。するとな、人間は攻撃し始めるわけだ」
□「だからなんですか?」
■「お前は私に懐いてくれてるが、他の人間達はそうじゃないんだ。私の瞳の色が違うのに気づいてはいたか?」
□「言われて気がつきました」
■「片目は視力がとても悪いんだ。これは人間達が私を襲いに来たときに出来たケガだ」
□「そんな……。村の人たちは、そんなことをするほど悪い人たちじゃないです!!」
■「信じろとは言っていない。お前にとって村の人間たちは大切な存在だからな。だからこそ、もう私に関わらないでほしいんだ。戦争になる前に」
□「わかりました……。最後に……いいですか?」
■「なんだ?」
□「私を……私の命を……」
■「何をする!?やめるんだ!!」
□「止めないでください……!!生きてても、もう関われないなら……!!この命はいらない……!!」
■「すまぬ……。お前の命を奪うことなど……できるはずないじゃないか……」
□「なら自分で!!」
■「……ああ、わかった。なら最期くらいは……幸せな夢を見せよう」
□「ライ……様……?なんだか……急に……眠たく……なって……き…まし…た……」
(※泣いてます)
■「……ああ。おやすみ……ヒナタ……」
(今に戻る)
❀「その人間は、亡くなられたんです?」
■「いや。私の記憶を消しただけだ。ただな。そのあとは案の定、戦争が始まってしまってな……。私も随分(ずいぶん)と巻き込まれた」
❀「やっぱりそうなったんですね……。主様(ぬしさま)を巻き込むなんて……!!」
■「落ち着け。こうしてまた会えたから、私は嬉しいよ」
❀「……え?」
■「昔話をした子供が大人に成長しただけだ。なんも不思議じゃない」
❀「いや。え?さっき昔話をしていた人間が、あの気絶した人間?全然、可愛気(かわいげ)がないですね……」
■「まあ、環境もあるだろう。あそこの村は餓死する人間が多いし治安も悪い。ああなるのも仕方がない」
❀「なんだか不思議な縁(えにし)ですね」
■「そうだな。今度こそ、あの人間には幸せになってほしい」
❀「争いごとも無くなればいいですね」
■「ああ。そうだな……」
▲ セリフ ▲
【声劇台本】神の過去【三人用】 TaNu²¹(たぬ) @tanu21
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