あぁ讃岐

白川津 中々

◾️

「うどんが食べたい」


男として、彼女のその願いを叶えないわけにはいかなかった。

webで速攻新幹線のチケットを取り、荷物をまとめて準備完了。彼女の手を引き駅。乗車。席はもちろんグリーン席である。「ちょっと全然意味分からないどこ行くの」という彼女の疑問は全て無視。サプライズの心意気だ。道中駅弁を食べたりカタイアイスクリームを食べたりしながら岡山到着。そのままマリンライナーへ乗り込み高松へ。ここまでくると流石に彼女の方も勘付いたらしく「まさか香川いくの?」などと不粋なクエスチョンを投げかけてくるもやはり無視を決め込みソシャゲのログインボーナスなどを受け取りながら無事入県。降車後はレンタカーで市街から山へ。コンビナートが立ち並ぶ風景を横目にひたすら進み、随一の名店へ到着。一杯頼み実食。美味の極みに鳥肌が立つ。濃厚な小麦と凝縮された出汁が渾然一体となった食の芸術。薬味も具材もないシンプルな構造はまさに侘び寂びの世界である。十分堪能し、さぁ帰ろうという頃、彼女から別れたいとの申し出。理由を聞くと「普通丸亀とかはなまるじゃん。エキセントリック過ぎて無理」との返答。なるほど、どうやらそれが常識という鎖らしい。俺は彼女の願いを受け入れ、一人寂しく新幹線。二度と香川には行かぬと誓い、夜は蕎麦を食べようと心に決めたのだった。

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あぁ讃岐 白川津 中々 @taka1212384

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