コミカルな独白と現実が交錯する妙。

「猫用かにかま」の例えを通じて、贈る側の「想い」が受け取る側の「都合」よりも優先される心理を巧みに描写している点が本当に『作者さんの文章表現の引き出しの多さ』に嫉妬してしまうくらいに素晴らしい!

ユーモラスな筆致で語られる主人公の独白と、看護師たちの客観的な会話が交錯することで、彼の状態の危うさが浮かび上がります。そして、朦朧とする中で届けられた「甘いもの」、特に高級チョコレートの謎が、読後の温かい余韻として残ります。

最後に響く猫鈴の音。
前半の軽妙な筆致からの温かなオチに持っていくストーリー、ぜひたくさんの方にお勧めしたい一作。