「好きです」たった1秒の、永遠の放課後
五平
恋に変わる1秒間
放課後。誰もいない教室の、あのシーンとした空気の中で、アタシ、ホンマに息止まっとった。なんでかって? もう、目の前に、クラスメートのケンタがおるからや。彼がこっち向いて、なんかアタシのこと見とる。アタシの頭、もう真っ白。なんも考えられへん。目の前の状況が理解できへんくて、体カッチカチになってしもうて。心臓、ドクン、ドクン、って。破裂しそうやった。
「え!? なんで!? ホンマ!? なんでケンタが目の前におんねん!? 嘘やろ!? これ夢!? いや、ちゃう、夢ちゃうやん! マジで!? ホンマに告白しようとしとるんか!? アタシが!? ど、どどどどうしよ!? なに喋ったらええん!? 早くなんか言わなアカン、でも声が出えへん! 息が、吸われへん……喉、カラッカラやん。ケンタ、アタシの気持ち、分かっとるんかな!? そもそも、なんでこんなん急に決めたん!? 昨日まで普通やったやん! なに説明したらええん!? ごめんなさいって言うん? いや、何を謝んねん!? こんな状況、ホンマどないしたらええんよぉ!? あ、目、そらしとる……アタシとケンタ、どっちもパニックやん……どうしよ、どうしよ……このまま時間止まってくれへんかな……アカン、余計焦ってきた……」
アタシの頭ん中は、なんで?どないしよ?これからどないなんの?っていう疑問符と、もうホンマにどうしようもない焦りで、パンパンどころか、爆発寸前やったねん。思考が、もう、バラバラになって、あっち行ったりこっち行ったり。混乱してるねん。まるで、頭ん中で高速回転しとる洗濯機みたいやったわ。ホンマに、頭ん中、真っ白やのに、情報だけが洪水みたいに押し寄せてくる感覚。このままやと、なんか変な声出しそうになる。冷や汗が、ツーって、背中を伝うていくんが分かった。目の前のケンタ、めっちゃビックリしとるみたいで、顔真っ赤や。うつむいとるから、どんな顔しとるかハッキリ見えへんけど、アタシと同じくらい、いや、もしかしたらアタシよりもっとパニックになっとるんちゃうかなって感じたわ。肩も、なんかちょっと震えとるように見える。視線もアタシと合わへんように、右往左往しとる。このシーンとした教室の空気が、アタシの混乱をさらに際立たせるんよ。ホンマ、最悪やけど、なんか変な汗出てきたわ。心臓の音が、ドクン、ドクン、って、やたら大きく響いとる。
あー、そうやった、そうや。思い出した。あの古書やんか。ケンタがいつも大事そうに読んどった、あの変な、分厚い本。表紙もなんか古臭くて、歴史を感じさせるような。革の装丁が擦り切れてて、ホンマに大事にしとるんやなって、その時も思ったんよ。アタシがうっかり足引っ掛けて、床にドスンって音立てて落としちまった時、中に挟まっとった古いメモ…それや! なんか、羊皮紙みたいな、いかにも古そうな紙やったわ。色も黄ばんどったし、文字もなんか達筆で、普通やない雰囲気やった。そこに、「呼び出し方」って書いてあったんよ。「いでまし、いでまし、我と汝を結ぶもの…」とか、意味分からん言葉がずらーっと並んどった。まるで、昔の魔法の本から抜け出してきたみたいやん。まさか、そんなんホンマに効くなんて思えへんやん? アタシ、別にオカルトとかスピリチュアルとか信じるタイプちゃうし。ただの好奇心と、「どうせ何も起こらへんやろ、ギャハハ」みたいなノリで、誰もいない放課後の図書室で、あの言葉、心ん中で繰り返しとっただけやったんやのに。ホンマにただそれだけやったのに、それがまさか、ケンタをアタシの目の前に現れさせたんか? 信じられへん。ホンマに? これ、ホンマに現実なん? いや、現実ちゃうやろ。夢であってほしい。もし夢なら、早く覚めてくれへんかな。でも、ケンタ、おるし。目の前におるし。アタシの息遣いまで聞こえそうな距離に。ホンマに、どういうこと? まるで、SF映画のワンシーンみたいやん。でも、ここは図書室。普通の学校や。なんでアタシがこんな状況に!? 頭ん中、ますますパニックになってきたわ。
ケンタは唇を小さくブルブル震わせて、顔を手で覆いそうになっとる。その仕草、なんか、見てて胸が痛い。ケンタの戸惑い、アタシの戸惑い。同じ? いや、なんかちょっとちゃう気もする。アタシは告白しようとする側で、ケンタは告白されそうになってる側。呼ばれたケンタの方が、もっとワケ分からん状態ちゃうかな? なんて説明したらいいんやろ。ケンタが視線をアタシに戻して、なんか言いたげに口開けそうになった、あの瞬間。アタシ、もう無意識に、このケンタとの特別な関係のこと、誰にも言うたらアカンって、心ん中で強く誓っとったわ。なんでか分からんけど、直感的に「これは秘密にしなあかん」って思ったんよ。誰かにバレたら、きっと、アタシらのこの変な空間が壊れてまう。この教室の奇妙な静けさも、ケンタの突然の出現も、全部がアタシら二人だけのもの。アタシらだけの、秘密。それが、アタシらの関係の始まり、なんかな? ホンマに? なんか、変な責任感が、ズーンって肩にのしかかってきたわ。この訳分からん状況を、アタシが、なんとかせなあかんのかな? でも、どうすればいいんやろ……。心臓の音だけが、やたら大きく響いとる。
アタシの頭ん中は、まだ「なんで?」でパンパンやけど、ケンタも同じくらい困惑しとるんが分かって、ちょっとだけ安心した。いや、安心してる場合ちゃう。ホンマ、この信じられへん状況に、アタシら、ただ立ち尽くすしかなかった。ケンタは唇を小さく震わせ、手で顔を覆いそうになってる。彼の様子から、この告白しようとしてる状況がケンタにとってホンマにデリケートな問題なんやなって察したんよ。顔を隠そうとする仕草も、なんか、守ってあげたいって思うくらいやったわ。アタシは頭ん中で、なんか気の利いた言葉でも探すんやけど、全然見つからへん。この沈黙、めっちゃ重たい。空気まで凍りつきそうや。ケンタが視線をアタシに戻して、何か言いたげに口を開きかけた、あの瞬間。アタシも、何か応えなあかんって思ったんよ。
このケンタとの関係のこと、誰にも話したらアカン。これはアタシらの秘密。そう、心ん中で強く決意した。まるで、頭の中で警報が鳴り響くみたいに。この非日常が、アタシらの日常を侵食していく感覚。なんかゾワッとしたけど、同時にワクワクもしたんよな。今まで平凡やったアタシの日常が、一気に色づいたみたいで。アタシは、ケンタがいつも大事そうに持ってる古書に目をやる。あの黄ばんだ羊皮紙のメモ…何か秘密が隠されとるんちゃうかな? ケンタが古書をアタシから遠ざけようと、咄嗟に手を動かす。その時、ケンタの手首に編み込まれた紐と、石みたいなのがついた小さなお守りが巻かれとるんが見えた。それ、アタシが落としたメモと同じ、変な模様が描かれとるみたいやったわ。ケンタ、そのお守りを、まるで命綱みたいにぎゅっと強く握りしめとる。そこまで大事なもん、なんやろ?
教室を出る時、ケンタはどこか嬉しそうな、でも不安げな表情しとった。その表情見て、アタシの心はざわついたんよ。彼は、この関係をどない感じとるんやろ? 喜びと同時に、なんかを恐れとるような影が見える。あの目が、なんか、遠いとこ見てるみたいで。帰り道、ケンタ、いつもより口数少ない。アタシもなんか言葉見つからへんくて、沈黙が続く。でも、この沈黙、別に嫌な感じちゃうねん。むしろ、アタシらの中に、言葉にならん「何か」が通じ合っとるみたいな、変な感覚があったんよ。ケンタが時々、不安そうに手首のお守り触る仕草見せて。その仕草見て、アタシの胸はぎゅっと締まったわ。彼が、この告白されそうな状況に対して、アタシとは違う、もっと深い不安を抱えとるんやなって感じ取ったんよ。その不安が、アタシの心にも伝わってくるみたいやった。ケンタがこの状況にどれだけ怯えとるんか、想像したら、なんか、守ってあげたいって気持ちになったんよな。ケンタが、もっと笑えるように、アタシに何ができるんやろ?って。この謎を解き明かしたい、って強く思ったんよ。
ケンタとの放課後は、ホンマ、アタシらの日常になりつつあったんや。二度目の放課後、学校の屋上。昼休みが終わって、みんなが教室に戻っていく、誰もいなくなる時間帯。アタシ、ちょっと緊張しながら、ケンタに「ねえ、屋上行かへん?」って誘ったんよ。数秒後、屋上の扉が「ギー」って軋む音立てて開いて、ケンタがちょっと焦った顔して、でも律儀に現れた。アタシが誘ったら、ケンタはホンマに来る。その事実、アタシ自身もまだどこか信じられへんかったけど、なんか、「さて、今日はなに話そっかな?」みたいな、ちょっと余裕と期待が芽生え始めてたわ。ケンタの焦った顔、なんかクセになりそうやった。
ケンタは頬を膨らませてアタシを睨むけど、その表情はなんか諦めとる感じと、ホンマにちょっと嬉しいみたいな顔しとるんよ。アタシは思わず心ん中で笑う。「また二人になってもうたなぁ?」ってアタシが心ん中で問いかけたら、ケンタ、顔真っ赤にするねん。アタシが心ん中で「だって、ケンタとホンマは話したいんやもん」って言うとる。ケンタが「もう、からかわんといてや……」って言うてるみたいに見える。その反応がめっちゃ可愛くて、アタシ、ますますケンタをからかいたくなったわ。屋上にはアタシら二人きり。心地よい風が吹き抜けて、街の喧騒も遠くに聞こえる。なんか、アタシらだけの世界みたいやった。この非日常感が、ホンマに心地よかった。空の青さも、いつもより澄んで見えたんよ。
他愛ない話をする中で、アタシはケンタの新しい一面をホンマに知っていくんよ。普段は物静かなケンタが、好きな本の話になったら、途端に目がキラキラして、めっちゃ熱く語り出すんや。「この本の主人公はね、すごく勇敢で、どんな絶望的な状況でも、決して諦めない強さがあって……その姿に、僕はいつも勇気をもらうんです……」。彼の熱い語り口。アタシ、ホンマは本とか興味なかったけど,ケンタのおかげでちょっと読んでみようかなって思うようになったんよ。彼の言葉一つ一つに、魂がこもってるみたいで。アタシが心ん中で「へえ、その本、面白そうだね」って言うたら、ケンタが照れくさそうにアタシに差し出した、あの古い本。表紙が擦り切れとって、ケンタがホンマに大事にしとるんやなって分かった。彼の指先が触れた時の、ひんやりしてて、でもあったかい感触。あの時、アタシらの心の距離、ホンマに縮まったんやなって感じたわ。なんか、胸の奥がキュンってしたんよ。胸の奥が温かくなるような、優しい感覚。
アタシらは屋上で何時間も話した。本の感想を心ん中で語り合ったり、他愛のない学校生活の話をしたり。ケンタは、アタシが知らん物語の世界を、まるで目の前で起きとるかのように鮮やかに語ってくれた。彼の言葉一つ一つに、アタシはホンマに引き込まれていったわ。日が傾き始めて、空がオレンジ色に染まっていく。なんか、夕焼けがめっちゃ綺麗やったんよ。帰り際、ケンタが満足そうに頷いたんよ。その仕草は、アタシの心を温かく満たして、この時間がホンマに貴重なんやなって実感させた。もう、このケンタとの時間が、ずっと続けばええのになって、心ん中で強く願ったんよ。このケンタとの関係が、アタシにとって、ホンマにかけがえのないものになっていたんやな。毎日が、ケンタのおかげで、ちょっと特別に感じられたんよ。
ケンタとの放課後はホンマに何度も続いたな。場所も色々。教室の誰もいない放課後、体育館の裏、そして誰もいない音楽室……。アタシがケンタに話しかけるたび、彼はいつも頬を染めて、なんかちょっと照れとるけど、どこか楽しそうにも見えるんよ。その表情見るたび、アタシの胸はホンマ温かくなったわ。アタシら、次第に学校の色んな隠れた場所を、「アタシらだけの秘密の場所」って認識するようになってったんや。この特別な関係が、アタシの日常を、なんか非日常へと変えていくんよ。毎日が、ちょっとドキドキするようになった。ケンタのちょっとした仕草、全部がアタシにとって特別やった。
ある日、アタシはケンタが普段読んどる文学作品とは、ホンマに全然違う、意外なジャンルの本を読んどるんを見かけた。え?って思ったわ。それは、クラスの男子の間でめっちゃ人気のアクションファンタジー小説やったんよ。ケンタが手にしとるのが、普段の彼のイメージからは想像もつかんような分厚いハードカバーやったから、アタシ、ホンマに驚きを隠せへんかった。「ケンタ、SF小説も読むんや?」ってアタシが心ん中で呟くと、ケンタは途端に顔真っ赤にして、慌てて本を隠そうとするんよ。彼はちょっとだけ唇を動かして、なんか言い訳探してるみたいやった。その可愛らしい反応に、アタシは思わず心ん中で笑ってしもうた。
アタシが心ん中で「なんか、ケンタらしくないね」ってからかうと、ケンタはさらに焦って、もうしどろもどろになってる。アタシは心ん中で「そういうこと、言わんといてや……」って彼の仕草から読み取った。その可愛らしい反応。アタシ、ホンマ心が惹かれていったんや。彼の知らん一面を、もっともっと知りたい。そう思ったんよ。彼の全部を、知りたくなった。彼の癖、好きなもの、嫌いなもの、全部。もう、ケンタのことばっかり考えとったわ。
誰もいない音楽室で、ケンタが恥ずかしそうに口ずさんだ童謡。あのちょっとかすれた歌声。彼の歌声が、シーンとした音楽室に響いて、なんか胸が締め付けられるような感覚になったんよ。あの瞬間、アタシはハッキリ分かった。この気持ち、もう友達ちゃう。「好き」っていう、特別な感情や。ケンタの存在が、アタシの心のど真ん中に入り込んできたんよ。ケンタ、アタシの日常にホンマに必要不可欠な存在になっとったんやな。彼なしの生活なんて、もう考えられへん。アタシ、この感情が「好き」っていう気持ちに変わりつつあるんやなって、少しずつ気づき始めたんよ。二人きりの時間の中で、アタシとケンタの距離は確実に縮まっていった。体育館の裏で他愛もない時間を過ごしたり、そんなこと全部が、アタシにとってかけがえのない時間やった。もう、ホンマに、ケンタが全てやった。
放課後、ケンタと別れて帰り道を一人で歩きながら、アタシ、胸の高鳴りを感じとった。彼の笑顔、焦る顔、歌声。その全部が、アタシの頭ん中で鮮明に蘇る。アタシ、ケンタがアタシの日常にホンマに欠かせへん存在になっとるんやって実感したんよ。そして、この彼との秘密が、アタシの人生にどれほど大きな影響を与えとるんか、やっと分かった。もう、アタシの世界、ケンタでいっぱいや。他のことなんて、どうでもよかった。
このケンタとの関係が、アタシの日常に彩りを与えて、ケンタっちゅう存在が、アタシん中でホンマにかけがえのないもんになりつつあるって実感しとった。でも、同時に、この特別な関係がいつまで続くか、そしてこの「好き」っちゅう感情を、どないしたらケンタに伝えられるんやろ?って、新しい悩みがズーンってアタシの心にのしかかってきた。アタシは、ケンタとの関係を、もっと深く、もっと確かなもんにしたいって、ホンマに願っとった。この特別な関係の終わりがいつ来るんか、漠然とした不安も抱えながら、アタシは次なる放課後を心待ちにしとった。アタシの心は、なんか甘くて切ない気持ちと、未来への不安でごっちゃごちゃになっとったわ。この新しい感情が、アタシとケンタとの関係をどない変えていくんか、期待もあるけど、正直、怖い気持ちもあったんよ。このままずっと、この気持ちを抱え続けるんかなって思ったりもしたけど、やっぱり、伝えたい。そんな葛藤が、アタシの頭ん中を駆け巡った。もう、ホンマに、このままじゃアカンって思ったんよ。
アタシとケンタの特別な関係は、周囲にはバレてへんかった。アタシら、まるで学校っちゅう舞台で、二人だけの秘密の劇を演じとるみたいやったわ。誰もアタシらの秘密には気づかへん。でも、アタシ自身のケンタへの態度、少しずつ変わってきとったんよ。授業中にケンタを目で追ったり、休み時間に彼の席の近くをウロウロしたりすることが増えた。もう、ケンタのことばっかり考えとるから、自然とそうなってまうんよな。アタシの友達も、アタシの変化に気づき始めてて、時々ニヤニヤしながらからかいの視線向けてきたりするんよ。「あんた最近、なんか雰囲気ちゃうやん?」って言われるたび、ドキッとしたわ。顔に出てまっとるんかなって、ホンマ焦った。
友達の視線を感じながら、アタシは「お前、最近ケンタのことばっかりやん」って声が心の中で聞こえてくる。アタシは「そんなことないよ」って否定するけど、その言葉が空虚に響くねん。バレバレやん、って自分でも分かっとる。ケンタも、アタシに対して以前より気軽に、心の中で言葉を交わしてくれるようになってた。アタシが「なあ、これ、読んだことある?」って心の中で尋ねる姿を想像する。ケンタがアタシに新しい本を差し出す。それは、アタシが最近興味持っとったジャンルの本やった。ホンマ、アタシのこと分かっとるんかなって思うくらい。アタシはその本を受け取りながら、彼の指が触れたことに胸がドキドキした。ケンタとの触れ合い、もうそれだけで幸せやった。アタシら、本の話だけやなくて、日々の些細なできごとや、将来の夢についても心の中で語り合うようになってたわ。ケンタとの時間、アタシにとって何よりも楽しい時間やった。彼の仕草一つ一つが、アタシの心をホンマに温かくしていくねん。この関係、永遠に続けばええのにって願わずにはいられへんかった。でも、心のどこかで、この特別な関係がいつか終わりを迎えるんちゃうんかって、不安が募っとったんよ。アタシ、ケンタがアタシが話しかけた時に、応えてくれるんが、どれだけ嬉しくて、どれだけ特別かを感じとった。もう、この時間が宝物みたいやったわ。ホンマに、ケンタがいてくれて、良かった。
でもある日、嫌な予感がしたんよ。いつものように彼と二人きりで話してる時、彼がなんか顔色が悪いように見えたんや。その頬はちょっと紅潮しとって、額には汗が滲んどるんがハッキリ見て取れる。アタシが「ごめん、顔色悪いかな……」って心の中で言うたら、彼はちょっと驚いたような顔しとる。アタシが「大丈夫? 無理せんでええんやで」って心の中で心配するねん。彼はちょっと頬を赤らめながら、心の中で「うん、大丈夫。ありがとう」って言うとるみたいやけど、その表情には微かな震えが混じっとった。アタシ、ケンタが無理しとるんちゃうんかって、不安が拭いきれへんかった。なんか、胸騒ぎがしたんよ。この特別な関係のせいで、彼が苦しんどるんちゃうんかって。その時、ケンタの手首に巻いとる古いお守り。あれが、あの時、かすかに光り出したんよ。彼の顔色と連動しとるみたいに見えた、あの変な光。ただのお守りちゃうんか? なんか、ホンマに不思議な力が宿っとるみたいやん。このアタシとケンタの関係、もしかしたらなんか限界があるんちゃうんか? 終わりが来るん? 漠然とした不安が、アタシの頭ん中を支配し始めた。胸の奥が締め付けられるような、嫌な予感。もう、このままじゃアカン。この秘密が、いつかアタシらをバラバラにするんちゃうかって、ホンマに怖かった。
アタシは、ケンタがアタシが話しかけた時に、応えてくれるんが、どれだけ嬉しくて、どれだけ特別かを感じとった。このまま、この関係がずっと続けばええのにって、ホンマに強く願うんよ。でも、同時に、この形やなくて、もっとちゃんとした関係になりたいっていう気持ちも芽生えてた。アタシの心ん中で、ケンタへの気持ちは日に日に募っていくねん。この秘密の関係は、アタシにとってホンマにかけがえのないもんやけど、いつか終わりが来るんちゃうんかっていう不安も、どうしても拭いきれへんかった。ケンタの顔色の変化やお守りの光を見て、この現象の限界が近づいとるんやって漠然と察してたアタシは、ケンタへの募る想いを、いつか伝えたいって強く願うねんけど、その言葉が彼を傷つけたり、関係の終わりを早めたりするんちゃうんかって、葛藤に苛まれた。もう、どうしたらええか分からへんかった。この気持ち、ホンマに伝わるんかな……。ホンマに。
ある日の放課後、アタシはケンタに、アタシが借りてた本を返した。アタシは心ん中で「この本、ありがとう。めっちゃ面白かったよ」って伝えた。彼は心底嬉しそうに目をキラキラさせてる。彼の表情から「え、ホンマ!? 読んでくれたん!?」っていう喜びが伝わってくる。その笑顔見るたびに、アタシの胸はぎゅっと締まって、なんか切ない気持ちになったんよ。アタシの心は、この彼との特別な関係がいつか終わってしまうんちゃうんかって、不安でいっぱいやった。以前よりも、ケンタとの時間の中に、なんかちょっとしたぎこちなさを感じることが増えとった。アタシの表情がなんか浮かないことに、ケンタも気づいとるみたいやったな。彼もなんか、アタシのこと、心配してるんかな……。その優しさが、またアタシの心を締め付けるんよ。
アタシらはいつも通り、教室の片隅で他愛ない時間を過ごす。でも、アタシの心は、ある疑問でパンパンやった。それは、ケンタがいつも手首に巻いとる、あの古びたお守りのことや。それ、アタシが最初に落とした古書に挟まっとったメモと同じような、変な模様が描かれとったんよ。ただのお守りには見えへん。なんか、特別な意味がありそうやった。んで、前回の彼の体調の変化も、頭ん中をグルグルする。アタシは意を決して、ケンタに心ん中で尋ねてみた。「なあ、ケンタ。もしこの関係ができへんようになったら、どないする?」アタシが心ん中で問いかけると、彼は途端に顔色を変えたんよ。手に持っとった本を落としそうになって、慌ててそれを掴んどる。その焦りよう、尋常じゃなかった。アタシの問いかけが、彼にとって、どれだけ重い言葉やったんか、その時分かった。
彼は焦った様子で、アタシから視線をそらす。その反応に、アタシはケンタもアタシと同じように、この秘密の時間がホンマに大事やと思ってくれとるんかなって、確かめたかったんよ。でも、彼はそれ以上なんも言わんと、なんか浮かない顔しとった。その目には、深い不安と悲しみが宿っとるように見えた。彼の唇が小さくブルブル震えとるんにも気づいた。なんか、見てられへんかった。彼の、その悲しい顔、アタシが原因なんかなって思ったら、ホンマ胸が苦しかった。
彼が、震えるみたいな小さな声でなんか呟こうとする。アタシの心ん中で「もしかして、アタシに飽きてもうたとか……?」っていう言葉が聞こえてくる。アタシは心ん中で「ちゃう! そんなんちゃう!」って、慌てて強く否定した。そんなこと、絶対にありえへんから! 焦るアタシに、ケンタは悲しそうな目を向ける。アタシら、お互いの気持ち、ホンマは伝えたいのに、なんかうまくいかへんくて、ちょっとすれ違ってしもうた。いつもと違う、めっちゃ重たい沈黙が、二人を包んだんよ。空気まで冷たくなったみたいやった。んで、あの時、彼の手首に巻かれとったお守りが、以前よりもハッキリと、淡い光を放ったんよ。その光、まるでアタシらに警告しとるみたいやったわ。ケンタはお守りの光に気づいたみたいで、それをぎゅっと強く握りしめた。彼の顔には、なんか諦めと悲しみがごちゃ混ぜになった表情が浮かんどった。そして、小さく唇を動かして、心ん中で「もう、すぐや……」って呟く声が、アタシの耳に響く。その声が、アタシの心臓を掴んだ。
ケンタの手首のお守り。んで、彼の動揺、あの光、そして「もう、すぐや……」っちゅう言葉。アタシ、このケンタとの特別な関係に、ホンマに終わりがもう間近に迫っとるって直感したんよ。もしかしたら、彼はこの関係の「終わり」を、最初から知っとるんかもしれへん。その不安が、アタシの胸をぎゅっと締め付けた。もう、息苦しいくらいやった。帰り道、アタシはケンタのことが心配で、いつもより口数が少なくなった。彼も、なんか寂しそうにうつむいとった。アタシの心は、ケンタへの気持ちと、彼が抱える謎への不安でパンパンになったわ。このままじゃアカン。アタシは、ケンタとの関係を、んで彼の謎を、もっと深く知りたいってホンマに願うねん。でも、彼がホンマの気持ちを打ち明けてくれるには、アタシ自身も変わらなあかんって悟った。この次の放課後、アタシは自分の気持ちを全部伝えることを、心に固く誓ったんよ。後悔なんかしたないから。絶対、今度こそ。
すれ違ったままの数日……いや、そんな時間、実際にはなかったはずや。たった1秒の頭ん中で、記憶がそう錯覚させるだけ。このままじゃアカン。アタシ、ホンマに後悔したくないねん。ケンタが抱える謎、んで彼との関係の終わりへの予感。全部、アタシが受け止める覚悟を決めた。せやから、伝えなあかん。アタシの、この、ホンマの気持ちを。この告白は、アタシ自身のためでもあるし、何よりもケンタの、あの悲しそうな顔を見たくないからや。彼の隣に、ずっといたいねん。ずっと、一緒に笑っていたい。
アタシは決意を固めて、ケンタに告白することにした。今回も、アタシがケンタとよく話した、あの教室や。放課後の人気のない時間を選んで、心臓を落ち着かせながら、ケンタを見つめる。指先が、なんか冷たかったんも覚えてる。汗ばむ手のひら、じんわりと湿っとる。彼が目の前に現れたあの瞬間。彼の目には、なんか決意したみたいな強い光が宿っとるみたいに見える。アタシの心臓が、ドクン、ドクンって、耳ん中で大きく、ホンマに速く脈打つ。もう、自分の鼓動しか聞こえへん。全身の血が、頭に上っていくみたいやった。
アタシが心ん中で「アタシ、ケンタに言いたいことあんねん」って強く思う。彼は、アタシの心ん中の言葉を察したみたいに、ちょっと焦ったような、でも覚悟を決めたような顔しとる。もし、アタシの告白が、この不思議な関係を終わらせてしまうとしたら? ケンタが、アタシの目の前からいなくなってしまうとしたら? そんな不安が、アタシの喉をギューって締め付けて、言葉が出えへんようになる。口の中がネバネバする。アタシが「好きです」って言うたら、この秘密の関係は終わってしまうかもしれへん。それでも、アタシら、新しい関係築けるんかな? 不安や。ホンマに、めちゃくちゃ怖い。足まで震えてきた。膝がガクガクしとるんが分かる。でも、ケンタを失うことのほうが、もっと怖いねん。彼が目の前から消えてまうことだけは、絶対に嫌や。この不思議な現象に、アタシまだ「なんで?」って疑問持っとるけど、それよりも彼への気持ちが勝ってきとる。もう、止まられへんねん。感情が、アタシの中で嵐みたいに暴れまわっとる。頭ん中、ぐちゃぐちゃやけど、伝えたい気持ちだけは、ハッキリしとる。この胸の苦しさ、全部吐き出したい。
アタシは、ゆっくりと、でもハッキリと自分の気持ちを心ん中で伝え始める。ケンタが、アタシの心ん中の言葉に耳を傾けとるみたいに、彼の瞳が揺れ動くんが見えた。アタシは、この瞬間を、んで彼への気持ちを、ホンマに後悔したくないって心に誓った。この関係が最後になるかもしれへん。それでも、アタシは彼に、アタシのホンマの気持ちを伝えたい。言葉にできへんほどの感情が、アタシの胸に込み上げてくる。まるで、胸が張り裂けそうになるくらい。でも、言葉はまだ喉の奥に引っかかったままや。口の端がピクピクと動く。
ケンタを目の前に、アタシはもう一回、心ん中で言葉を紡ごうとする。喉は震えとるし、声は出そうで出えへん。呼吸もなんか、浅なっとる。これまでの思い出、彼への募る気持ち、んで、彼が抱える謎への不安。全部がごっちゃごちゃになって、アタシの心を支配しとる。アタシは、この告白が、アタシらの関係を、んで彼の未来を、大きく変えることになるって悟っとった。それでも、アタシは、彼に伝えたい。この感情に、嘘はつけへん。アタシは、この言葉に、アタシの全部を賭ける覚悟を決めた。ケンタの瞳に、アタシの決意が映っとるみたいに感じた。もう、後戻りはできひん。アタシの全身が、告白するために存在してる、みたいな気分やった。
アタシ、ケンタを見つめる。深呼吸する。喉はまだ震えとる。もう、後には引かれへん。アタシの心ん中の言葉が、なんか、せき止めとったダムが決壊するみたいに、ゆっくりと、口から流れ出した。胸の奥から、温かい、だけど少し苦しい感情が、せり上がってくるみたいやった。顔も、きっと真っ赤になってる。
ケンタが、アタシが彼に話しかけた時に、応えてくれるんが、ホンマに嬉しかった。アタシにとって、ケンタとの時間は、何よりも大事なもんやったんよ。毎日が、ケンタのおかげでキラキラしとった。ホンマに、ありがとうって言いたい……。
最初は、ただの偶然やと思ってた。こんな変な現象、信じるわけないって。でも、ケンタと話したり、一緒に過ごしたりしとるうちに、どんどんケンタのことが、もっと知りたくなった。ケンタがどんなこと考えてるか、どんな夢持ってるか、全部知りたかった。
アタシ、一歩、ケンタに近づく。もう、後ずさりなんてできひん。彼が目の前に、ホンマに、おる。彼の顔は、困惑しとるけど、なんか、微かな期待も混じっとるんが見える。彼の目が、アタシの目から離れへん。
ケンタが焦ったり、怒ったり、嬉しそうに本の話する姿が、全部、全部、アタシにとっては愛おしかった。ケンタの一挙手一投足が、アタシの心に響いてた。この気持ち、もう、誤魔化しきひんねん。アタシにとって、ケンタは、もう全部やねん。
(口から息を吸い込む音が聞こえるような間。声が震え、詰まりかける。)
なあ、消えんといてや……。
そして、最後の言葉を、喉の奥から、肺の底から、絞り出すように声に出した。考えるより先に、口が、自然と動いた。この言葉だけは、止められへんかった。
……好きです
(その瞬間、ケンタの顔に、微かな微笑みが浮かんだような気がした。そして――時計の針がカチリ、と進んだ。)
「好きです」たった1秒の、永遠の放課後 五平 @FiveFlat
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます