3Dっぽいファミレスで、泣きましょう♪

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 ふんわかとしたファミレスで、働く人たちの大作戦!「店長、泣かないで!」(よく言うよ)

 「ファミ活」なピンチ劇場。

 「ふぁみかつ」

 それ聞いて、ゲーム雑誌を連想した人います?

 歳がばれます。

 さてさて、フツーの町の、フツーのこのファミレスでは今、プロレスラーのような体つきをしたたくましい店長が、肩を震わせている。

 「うう…」

 いつ泣き出しても、おかしくない。

 本社が、素っ気ないメールを送り続けてくるからだ。

 「そちらの店舗の成績、良くないようですね。がんばってください」

 本社は、悪魔団体か。

 「店長~?」

 「何かな?」

 「店のアプリからクーポン券とか出して、アピールしてみませんか?」

 「あ、自分も賛成です!」

「ダメだ!割引日をねらって来店する客が、増えるだけ」

 「…」

 「…」

 「店のにぎわいを、出そうよ!」

 「…え?」

 「客は、活気ある店に入る。働く人からの活気作戦を、やってみよう!」

 「?」

 「?」

 「 SNSとかで話題になれば、最高だね。客は、確実に増える」

 「でも、店長?」

 「具体的には、何をやるんです?」

 ファミレス活動「ファミ活」が、本格的にスタート!

 ファミコン雑誌じゃないぞ!

 「やるぞ、君たち!」

 「あ、店長?!3Dプリンターを使いませんか?」

 言ったのは、コンピューターに詳しい男性従業員。

 「3Dプリンターっていうのは、コンピュータ上で作った3D設計図を基に、プラスチック樹脂をぐるぐる巻きつけて…」

 「モンブランケーキ?」

 「真面目に聞け」

 「あら、ごめんなさい…塗装したモンブランケーキを並べれば、ウケるかな~と」

 「並べるのは、人だろ」

 すると、撮り鉄趣味の従業員も加わった。

 「立体化させるモデルの写真データは、オレが撮る」

 仕事の輪が、広がっていく。

 「次は、プラスチック樹脂を巻きつけてできた立体物への塗装だな」

 「塗装なら、自分が!プラモデル育ちの、塗装世代なんで」

 「塗装世代って…じゃあ、君にまかせたよ」

 「かしこまりました、店長!」

 結果、本物そっくりの置物店員を入れたたくさんの店員で店がにぎわう映像が SNSで拡散。

 「客がいないのに、店員が30人くらいいる店発見!」

 「しかも…モンブランケーキが、50個くらい置かれている店」

 「キモ」

 「キショ」

 あーあ、かわいそうに。

 「うわ~、オレの店が~!」

 ついに、店長が泣きました。

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