緻密な描写、空気感が素晴らしい。
まるで、そこにいるかのような描写力です。
独自の世界観、風習の描写もグッとくる。
本作の主人公はある鍛冶屋の跡取り娘ハノカが家出したことから始まります。
泣きごと言うな系のお堅いお父様。
お堅いけど、個人的に気になる魅力をお持ちの御方。
優しい祖父は「灯に寄り添う子」とハノカさんを評します。
ハノカさんは礼儀正しく、少し控えめで、慎ましい大和撫子を思わせる性格。
彼女の歩く先を最後まで応援したいですね。
なかなか図太くも、面白いネッカ様に食べ物をねだられて、その供え物まで指定される始末。
だけども、憎めない火霊様。でも、やっぱり口が悪い狐様。そこが良い!!!!
マユラ君という弟子もできて、順風満帆!
ぶっきらぼうだけど、師匠を心配する心はあるし、可愛いところがあるぞ!
だが、主人公ハノカにだけ見える黒いモヤがあって……?
和風・鍛冶・ファンタジー!
優しく寄り添う女性主人公が好きな方におすすめします!
和の情緒に包まれた鍛冶ファンタジー。
名門を出て自分の道を探す心優しい女鍛冶師・ハノカは、人の心の痛みを“色”や“声”として視てしまう力を抱えています。
彼女の前に現れるのは、火霊ネッカ。
青白い狐火と毒舌を携えた“導き手”でありながら、要所で差し出す言葉は鋭くも温かい。
そんなネッカとのやり取りをはじめ、日常で出会う人々との交流、そしてほんのり漂う恋の気配──。
物語は「魂を打つ鍛冶」を通じて、痛みや悲しみに寄り添う姿を描き出します。
派手な戦いではなく、“魂を打つ”という核心へと確実に辿り着く。
痛みの核に触れ、それでも灯を選ぶハノカの姿が心を打つ、おすすめの物語です。
名門鍛冶場の跡取りながら家を飛び出した女の子、ハノカ。その理由は決して鍛治師であることが嫌になったわけではなく、家の炉に灯る炎に違和感を感じた『自分の心』に嘘をつけなかったから。心優しくおっとりした性格ながら揺るぎない芯を持つ、職人気質のハノカに好印象を抱きました。
そんなハノカはたどり着いたとある郷の鍛冶場を継ぐことになります。そこで出会うのがまんまる可愛い狐のお姿ながら口の悪い火霊・ネッカさま。戸惑うハノカにずけずけとものを言う様は若干ハノカが可哀想になりますが(笑)、他人の陰気や邪気(心の闇のようなもの)が見えてしまうことに苦しんでいたハノカに力を貸してくれます。
ハノカ視点の文体もほんわかとしていて、優しい雰囲気が作品に合っていると感じます。悩みながらも前を向く主人公・ハノカを応援したくなる作品です!
小さな選択の積み重ねが、やがて大きな覚悟へと育っていく。
本作は、日常の温もりと、見えざるものとの対峙が交差する中で、ひとりの少女が「守る強さ」を探し続ける物語です。
澄んだ山の空気や鍛冶場の熱気、仲間との軽妙なやりとり。そうした細部が積み重なり、現実感のある手触りを与えながら、ふとした瞬間に心を揺さぶる試練が訪れます。選ぶたびに胸を締めつけ、けれどその先には必ず新しい光が差し込む。
読み進めるほどに増していくのは、「この子の歩みを見届けたい」という気持ち。炎に映し出されるのは、ただの成長譚ではなく、読者自身の心にも重なるような“覚悟の物語”です。
作家性という言葉があります。
緒とのわさんのこの作品には、間違いなく書き手の持つ豊かな心が滲み出ています。
スローライフと言う言葉で括るのは勿体ないほど、丁寧な筆致で見事なもの。
心情も風景も、この作品だからこそ味わえる描写です。
やさしさ、あたたかさ、そういった表現もできますが、私はずばり「豊かさ」だと思っています。
作者の持つそれが作品に浸透し、作品世界を織り上げていく。
読者を急かすことなく、それでいてじっくりと進む展開をしっかりと読ませる。
とても春から執筆を始めたとは思えない高いクォリティは必見です。
万人受けする作品は意図して狙うとかなり難しいのですが、この作品は間違いなく年齢性別問わず誰もが楽しめる、そして読むことが楽しく、読後に心地よい気持ちを残す、そんな作品です。
未読の方、勿体ないですよ?
🦊 【 和風スローライフ×鍛冶×ヒューマンドラマ 】🔨
名門鍛冶師の家系に生まれながら、
"青い神火" にどこか違和感を覚え、家を出た少女・ハノカ。
彼女が辿り着いたのは、山奥の静かな「穂音の郷」。
そこで彼女は、🔨鍛冶師としてだけではなく、“人の心”と向き合う職人と
して成長していく。
第一章は、比較的静かな展開が続きますが、
第二章(四年後)からは、ハノカがちょっぴり大人に(色んな意味で)。
そして、手のひらサイズのふわふわ毛並み――
魅力的なマスコット(?)、火霊の熱火 「ネッカ🦊 」 が登場!!🔥
口は悪いけれど、どこか憎めないネッカと、
優しくて真面目なハノカのやり取りが絶妙で、癖になる掛け合いが魅力!
そして、少しだけ大人びたハノカ、弟子との関係性、
ほんのり恋模様と、動き出す日々……
少しずつ物語が深く、展開していきます。
“心を救う火を打つ”というテーマはやや抽象的ですが、
作品を読み進めるほどに、ハノカの想いと、
鍛冶というテーマに真剣に挑んでいる作品であることがわかります。
"優しすぎる"彼女が人の心とどう向き合い、人の痛みをどう🔨打ち直し、
希望へと変えていくのか――
彼女が打つ“次の一打”、
その先に何が待っているのか、読むごとに楽しみになる物語です!
“心の色が視える”というファンタジー設定も、作品世界を優しく彩る、
和やかな和風スローライフ作品です🐈。
落ち着いたヒューマンドラマや、テーマ性のある物語が好きな方におススメです。
気になった方は、ぜひハノカと一緒にのんびりと「穂音の郷」を
訪れてみてください🍃♪