夏へ擲つ死の機械論

葉頼

夏へ擲つ死の機械論

リビングに死をインストールする蝉を生む4階の予感がしている


眼を閉じて真昼へ撃った予約へと笑いのようにきみを起こした


失敗で穴になっても念を波みたいにプール開きへ押すよ


明日へ生乾きで取り込む夕焼けに知らないふりして吊るす風鈴


空を一夜漬けしたように深まった思考の藍について描いて


レコードの針を嵐の静けさは側にいる真空に落とした  


毛筆を絵心は逃げ水に会う心変わりをして走らせた


顔が崩れて本となる前の置けない気だけ積み上げた一コマ


死ほど確かな氷水へ墜ちていく扇を広げ切り欠伸する


燃える眼で逃げたのは黒金魚・赤金魚の写る日傘のお陰

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夏へ擲つ死の機械論 葉頼 @mooninmugi

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