左目を傷めた主人公が越してきた山奥の屋敷。そこには金魚、インコ、猫が化けた三人の妖が棲んでいた――
金魚の紅玉は愛らしく甘えてくる少女。インコの翡翠は完璧な家事をこなす青年。白猫の真珠は口は悪いが守ってくれる少年。彼らとの穏やかな日常は、まるで夢のように心地よい。
でも、ちょっと待って。
この「優しさ」、ちょっと重くない?
紅玉の「誰にも邪魔されたくない」、翡翠の「主は僕のもの」、真珠の「他の奴に懐くな」――
三人の過保護すぎる執着が、じわじわと不穏さを増していく。
一話10分の日記形式で描かれる、怪異退治と日常生活。「こもり声」を封じる儀式、客間に棲む何か、夜の電話の正体――
和風ホラーの美しさと、人外たちの溺愛が絶妙に混ざり合う。
そして最大の謎は、なぜ三人は主人公のことを「知っている」のか。文机の意匠、主人公の過去、前の主との関係――
読み進めるほど、この屋敷に隠された秘密が気になって仕方ない。
癒されたいけど、ちょっとゾクッとしたい人に最適。この絶妙なバランス、クセになります。
屋敷の主である"私"は、左目を悪くしてから左目が色を感知しにくい状態となり、代わりに左目で人ならざる者を感知し見ることができるという、奇妙な体質になっていた。
そんな中、屋敷に棲まう妖がいることに気付く。金魚、鸚哥、白猫。それらは"私"を主と呼び慕ってくる。あやしげで不穏でありながらも、奇妙な同居生活が始まり―――。
名は告げずに警戒しつつも、まるで友人や家族のように日々を過ごしていく中、時に不穏な台詞が耳に入ってきたり。美味しそうな料理が出てきたり。他にも妖がいるようですが、"私"は「ああ、いるなぁ」くらいの感覚で接していくのです。
台詞まわしがおしゃれで、読んでいて気持ちが良く、しかし相手は妖であるというあやしさもちゃんと忘れさせない。巧みな文章とストーリーにすごく惹かれます。
ゆったりとした時間、この不思議な空間で綴られる物語を、ぜひ堪能ください。
屋敷で暮らす「私」と三人の人ならざる者達が織り成す、ほのぼのと美しくもどこか不穏な雰囲気が魅力の作品です!
メインキャラクターの「私」と紅玉ちゃん、翡翠さん、真珠君がそれぞれ個性的で、誰一人欠けてもいけません。みんな推せます。
日記形式や一話完結型の作品は冗長になりがちですがこの作品は全くそれがないのが凄いです。
作者様の造詣の深さもあり、「次はどんな不思議な体験が起こるのだろう」と、読み進めてしまいます!この和テイストで幻想的な雰囲気づくり⋯正直どうやって物語を動かしているのか、インタビューに伺いたい気分です🎤
エピソードには作者様が実際に体験されたこともあるとのことでとにかく説得力のあるリアリティさが段違いなのですよ⋯!
是非皆様にオススメしたい作品ですね(*´ω`*)
「気になるぞ!」という方は読んでみて下さい!