未来への選択

奏那の気持ちが落ち着くころには季節が変わり春になっていた。休みをもぎ取ってどうしても行きたいところがあったらしく休みをとれた日はどこかに行く予定を立てていた。

「安定しているな。椅子さんよ、ありがとうよ。」

「これが仕事なので、ところで明日の行き先とかは知っていますか。」

聞いた瞬間にバッグに入れられてしまった。聞きそびれてしまったけれどまあ後で聞けばいいやとなっていた。

「じゃあ行ってきます。」

その声は未来に向かって言っているそんなような気がした。戻ってよかったと思って見送った。そんなことを考えて誰もいない部屋を見ていた。帰って来たのは夜になっていた。

「ただいま。桜綺麗だったな。これでおしまい。」

そんなことを言っていた。机に置かれた傘は出来事を話してくれなかった。いつもならこんなことがあったんだと話してくれるのに。

「今日は桜を見に行ったんですか。どうでしたか桜は。」

「…時計がよろしくって言ってた。」

その言葉にすべてが繋がった。最後に二人で最初の桜を見に言ったという事を想像できた。

「あの子が決めたことですか。」

「いいや、二人で決めたことらしい。二人の未来を考えて出した答え。だから最後に桜を見たいって休みを無理に取っていったんだ。ありがとうよ奏那の話聞いてもらって。」

「いえいえただ聞いてあげただけです。決断したのはあの子ですから。」

「これからしばらく楽になるな、二人じゃなくてひとりでいいんだから。」

少し桜の花びらが傘についていた。私はよく頑張ったと座った時に伝えた。


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もう一つの仕事 楓 紅葉 @sperk

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