食べたら死ぬ(ほどの)ママの味弁当
冒険者たちのぽかぽか酒場
第1話 「皆を救いたい弁当」は、会社の食堂ランチには負けないブラックユーモアのある味だった
「ぎゃ~!オムライスが!」
会社の食堂が、改装工事で休業。
あせらず落ち着いているのは、新卒社員くらい。
「ママに弁当を作ってもらえば、良いさ」
「どうせ、だれかが助けてくれるはず」
言いそう。
「今日も、ママが作ってくれた弁当を食べるぞ!」
オンリーワンで、母親のいない子の気持ちなど考えることができないのか。
「うちの会社、新卒のせいでピンチになっていくぞ…」
ピンチなのは、町中食堂も同じ。
食堂が休業中の会社から客が移ってきて経営がうるおうはずが、弁当生活の社員が増えたことでうるおわなくなるから。
会社の入るビルの目の前に店が建つ立地条件の良さも、役立ちそうにない。
「どうしたら、良いのかねぇ…」
期間限定で会社の食堂から町中食堂へ働く場を移していたおばちゃんも、困り顔。
そこで、頭の良い先輩社員のだれかが、町中食堂と組んで新メニューを売り出した。
「会社を救うため、食べたら死ぬママの味弁当をはじめました」
もちろん、はじめは猛反対を受ける。
「言い方が悪い」
「縁起でもない」
「どうして、それで会社が救えるんだ?」
が、これが当たって、町中食堂の経営は急回復!
「食べたら死ぬママの味弁当…名前が、気になるね!」
「かえって、食べたくなる」
「反対の反対なのだ」
「売り切れる前に、早く買いにいこう」
「やっぱり、ボクたちのそばにはママがいて当たり前!」
ただ、最後の言い方に、母親のいない先輩社員の一部がぶち切れ。
今の子に、やさしく声をかける。
「君?あの町中食堂で、今話題のママの味弁当を買ったんだが、腹が一杯でね。君にあげるよ」
が、同じ会社の人でも知らない人に言われれば、今の子は受けとらない。
「知らない人に何かをもらっちゃいけませんって、お父さんも言っていました」
よく言うよ。
知らない人から、定額給付金とかもらっていただろうが!
すると、このメニューを考えた頭の良い先輩社員がやってきて知恵を貸すことに。
言い方が、変更された。
「…ふうん、いらないのか~!食べたら死ぬママの味弁当、せっかく並んで手に入れたのにな~!じゃあ、君?友だちと 2人で食べれば?」
「それなら、もらいます!」
今の子が 2人死に、会社は、少しずつ救われていった。
食べたら死ぬ(ほどの)ママの味弁当 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます