翡翠(エメラルド)

たこやきこうた

翡翠(エメラルド)

翡翠老師フェイツェイろうしの夢をみた


幼い頃の記憶がよみがえ


翡翠老師は眼光鋭く額と頬に傷がある


それは

むごたらしい戦いの中の地獄を生き抜いた様を物語っていた



彼は幼い僕に簡単な中国語を教えた


幼い僕が熱を出したとき

たまたま僕の家に滞在していた翡翠老師は

コップにコーラを注いで生卵なまたまごを落とした


それを幼い僕に

シャオジゥ小菊 飲みなさい!」

と言い

僕が飲み干すまで

その鋭い眼光で威圧いあつするかのように僕を見つめていた


僕が渋々生卵なまたまごコーラを飲み干すと

彼は幼い僕に

シャオジゥ小菊 頑張った! すぐ良くなる!」

と言って

いかつい翡翠老師からは想像がつかないような優しいの光のように彼は微笑ほほえんでいた



翡翠老師は

僕がこので1番恐ろしかった実父ちち悪友つれであり

実父ちちより実年齢は20以上年長者であった


しかし


その姿が実父ちちと同年代に見えた事

掛け軸を書く才能がきん出ていた事

医食同源いしょくどうげん精通せいつうしていた事

母国語ではない日本語を流暢りゅうちょうに話す事


これらに対し 幼い僕は

暴君ぼうくんのような実父ちちに比べ

腕っぷしの強さのほか

知識や教養を持ち合わせていた翡翠老師に

敬意をひょうしていた部分ところもあった



翡翠老師は幼い僕に

シャオジゥ小菊 大きくなったら台北たいぺいに来なさい」

と言ったが

いまだにそれはかなっていない


数十年もつというのに


実父ちちあと

翡翠老師に会うことはなかった


今 翡翠老師がご健在けんざいであれば 

彼は百歳をゆうえていることになる


今しがた翡翠老師と夢で再会できた


次に会うのは

僕が天にされてからの再会になるのだろうか



|翡翠老師,直到我們再次見面,我暫時是再見《Lǎoshī, zhídào wǒmen zàicì jiànmiàn, wǒ zhànshí shì zàijiàn》

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翡翠(エメラルド) たこやきこうた @takoyaki-cottasan

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