八龍:暗闇の第二戦! レン・レツの予期せぬ衝撃!

 ロードがかつての異形の姿を取り戻し、レン・レツに間合いを迫る中、不幸にも一寸先が闇夜になり、視界が塞がれる。

 しかし、レン・レツも同じ状況だと思い込んだロードは果敢に攻めるが、彼はそれを意に介さず、脇腹に更なる拳打を放った。

「ぐわぁ!? なっ、何故!?」

「儂には気が見えると言った筈だ! 暗い中でも気の流れは視認できる。分が悪いのは貴様の方だ!」

 レン・レツが気の流れを読み、ロードの位置を把握し、後ろや真横の彼の死角から攻める。

 しかし、目が見えない筈のロードは死角からの攻撃を寸前で舞うように躱し、正拳を放つ腕を掴み、背後うしろから投げた。

「くっ!?」

 投げられ、宙を舞うレン・レツは一回転で着地し、態勢を立て直す。

(何故、攻撃に気付いた!? しかも、あの避け方は私と同じ動き!?)

 自分と同じ動きに気付くレン・レツだったが、その思考の隙がロードに間合いを詰めさせ、拳打や蹴りを加えた。

(なっ、見えているのか!? しかも、儂と同じ体捌き、歩法、構え…こやつ、闘いながら学んでいる!?)

 攻撃が当てられ続けたレン・レツは後退し、態勢を再び整えようとするが、ロードは彼に迫り続け、攻撃の手を緩めない。

(何故、視える!? 何故、追える!? そうか! これならば!)

 レン・レツは何かを決断し、ロードの正拳を振るった時、その拳は突如として空を切った。

 ロードは攻撃の失敗に気付き、その場から離れ、周囲を身構えた。

「聞こえない…足音も、空気に触れる音も。」

「やはり、聴覚か。」

 ロードはレン・レツの声が聞こえる方に振り向くも、更に別の方向で声が来た。

「使っているのは龍拳の中でも儂が編み出した我流の秘術、寂燈歩舞じゃくとうふぶ。気の流れを抑制し、少ない力故に無音に歩き舞うという気の読まれるのを防ぐ技だ。」

「しかし、その技だと攻撃の力も半減す…」

 話す瞬間、ロードの脇腹に重い衝撃が苦痛と共に伝わり、耳元で囁く。

「少ない力でも十割を伝えれば、強力な一撃にもなる。貴様に儂の技を見破るのは不可能だ。」

 ロードは蹲りそうになりながらも、耐え抜き、声の方に拳を放ち、再び空を切る。

(このまま、ケリをつける! この長き闘いに終止符を!)

(音が何一つ無い…、これはやばい。だが、勝機は…)

 ロードは窮地ピンチを、レン・レツは転機チャンスを確信した。

 ロードは静寂に立ち尽くし、レン・レツは拳に透明で希薄な炎を込めた。

 夜風が彼らの間を吹き抜け、風が止んだ瞬間、

(これで終わりだ!)

 レン・レツはロードの後ろから間合いを一気に詰め、拳を振り上げる…

 瞬間、ロードは既に後ろを向き終わり、すれ違い様に正拳をレン・レツの頬に殴り付けた。

「ぐっ…はぁっ!?」

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次元旅譚ロード第二章〜龍の世界編〜 @kandoukei

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