概要
その日、観測は終端に触れた、、、
> 宇宙の“膨張”が、止まった──。
観測史上初となる異常事態に、世界中の科学者たちは騒然とする。
終焉か、進化か、それともただの錯覚か──。
その混乱の中、NASAの若き天才・蒼空(そら)は確信していた。
「これは終わりじゃない。“端”に、たどり着いただけだ」と。
彼がかつて構想し、誰にも相手にされなかった観測装置「ALIS(アリス)」が、
今、宇宙最大の謎を解き明かす鍵となろうとしていた。
彼に寄り添うのは、ただ一人その夢に本気で手を貸した技術者・沙羅。
「世界の終わりを、いっしょに見届けたい」──彼女の言葉が、観測の旅を支える。
本当に“宇宙の端”は存在するのか。
その先にあるのは、絶望か、希望か。それとも……
膨大な観測データが導く先にあるのは、誰も想像しなかった宇宙の
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!見ることは、祈ること──宇宙の果てで出会う人間の光
読後、静かに息をのむしかありませんでした。
この物語は「観測」と「存在」という、科学の根幹に潜む哲学的問いを、あまりにも繊細に描いています。数式では捉えきれない“何か”──それを追い求めた蒼空と沙羅の姿は、まるで宇宙そのものが人間に問いかけているようでした。 圧倒的なスケールの中で、描かれるのは人間のごく小さな感情――信頼、孤独、そして希望。それらが精密な科学描写と共鳴し、やがて詩のような静けさを帯びていくのです。
ページを閉じてもなお、“あちら側”と“こちら側”が静かに見つめ合うような余韻が消えません。理性と感性、未知と既知の境界を旅する物語。ぜひ多くの方に、この静かな衝撃を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「終端」を見つめる快感に酔いしれる
「宇宙膨張が突如停止した」という、天地がひっくり返るようなニュース。
そこから物語は始まります。
世界が凍りつく中で、天才天文学者・蒼空はまるで「その現象を待ち望んでいた」かのように、NASA本部へ駆け込む……。
壮大なスケールを一瞬で突きつけてくる導入が鮮烈でした。
また、蒼空の傍らに立つのは幼なじみの技術者・沙羅。
彼女は蒼空の奇抜なアイデアを唯一理解し、具現化できる存在。
ですが、二人は恋愛感情より以前に「知への共振」で結ばれている……そこがいいんです。
そして物語の中核を成すのが『ALIS』『ORB』という二つの目。
蒼空が構想し、沙羅が実装したこの装置ペアは「観測とは何か」を…続きを読む