一一七

川崎涼介

一一七

成人式終えて二日後僕は知る

人の力の小さき事を


氷柱落ち灯りも倒れ知る地震

いつもの朝は瀬戸際の朝に


悴む手何時しか汗を握ってる

我取り囲む死に神たち


瞬く間故郷は大火に見舞われる

されど無視して家族の名呼ぶ


早梅を見つけたように駆けつけて

抱きしめ合って安堵の家族


ケータイもお金ももはや冬扇

命の危機に無力痛感


冬の蚊の如く彷徨い避難所に

着くも建屋は既に人混み


避難所は大原雑魚寝再現す

さらに不安が眠らせない


気がつけば雨氷伴い夜が明ける

しかし家族はもう目覚めない


失って今日はあれから三十年

家族に逢いたい阪神忌

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一一七 川崎涼介 @sk-197408

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