プロサッカープレイヤーである大城直紀は、引退試合を迎えます。
彼は、その一試合だけの対戦相手のチームに、かつての同期でありライバルでもあった常磐大輔の参加を依頼していました。
常盤は、老いることのない人間です。
この物語の世界には不老不死の人間がいて、定命の人間と共に暮らしています。
あまつさえ商業スポーツの舞台でも共に競技を行っているのです。
競技者として最後を迎えた大城は何を思い。現在もトップリーグで競技する常盤は何を思っているのか。
これは彼らの心情を描く物語です。
作者である燈栄二さんの書き続けるテーマのひとつである不老不死の人間がいる世界の点景の一つとなる本作。
集団競技に関わる不老不死の人間の言動と彼を取り巻く人々の感想があたかもスポーツルポルタージュのように記されています。
哲学的な言説ではなく、ナラティブな言動としての永遠の中の一瞬。
そんな束の間の時に、垣間見える競技者の心情。
凡そ考えられない設定の物語がここにあります。
一読されたら、きっと本作の想像力の豊かさが体感できると思います。お勧めです。