四季折々

杉山賢昌

四季折々

春風に

舞い立つ花の

吹雪かな

木漏れ日覗いて

青きたかぞら


五月雨は

五月に雨と

書くけれど

読みの原型

「さ」しか残らん


汗拭う

指にまとわる

宵の風

浴衣の君を

待つ間の音


儚くも

君と見ていた

火のしずく

熱を残して

夜に溶けゆく


あの頃の

万能感に

酔いしれて

酔いも醒めたる

朱夏のこの頃


栗ご飯

栗の甘露煮

モンブラン

栗きんとんは

胃袋の中


紅葉の

枯れる煌めき

知れりけり

映る我が身は

鏡も見じ


白き雲

たなびく空に

秋の露

遠き記憶を

そっと手放す


太玄を

語る唇

ひび割れて

文無しの冬

身にぞ体現


年を越す

淡き形跡

靴の裏

凍てつく道に

一人歩みぬ

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四季折々 杉山賢昌 @S04

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