彼女は
白川津 中々
◾️
彼女は女の匂いをさせていた。
いつも見る講義、席は決まって一番前の三列目。今日こそは話しかけようと、勇気を振り絞り「おはよう」と声かけると、有象無象に返す内容と同じ、「おはよう」で完結する。
もっと僕を見てほしいのに、声を聞いてほしいのに、彼女はあらぬ方向を見て、声を出す。それが堪らなく、耐え難く、僕は彼女と話したいという記憶ができあがっただけで終わる。それだけだ。
例えば今日、彼女を無理やり酒の席に誘い、男女の関係となったらどうなるだろう。彼女にって、僕は特別になれるだろうか。なるかもしれない。一歩踏み出す勇気が、人生を変えるかもしれないのだ。
けれど、僕は踏み出せなかった。
注文した酒が、重なっていく。
そのグラスの数だけ、僕自身の意識が、薄らいでいった。
彼女は何処だろう。
居場所も姿も、分からないままでいる。
彼女は 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます