ひと夏の幻
ソコニ
第1話 ひと夏の幻
君の名を 呼べばこだます 蝉しぐれ 幻だった 声も夏も
夜風さえ まだ君の香を 連れてくる ひと夏だけの 幻として
ふりむけば すぐそこにいた はずなのに 夕焼けだけが 影をのこして
プールサイド 水しぶきごと 消えていく 恋とはきっと 泡のようなもの
夢だった というにはまだ 甘すぎる あの氷菓子の 君のくちびる
手をのばし とどかぬ花火 胸にさす いちばんきれいな 幻だった
浮き輪ごと 忘れた声が 波になる 何も言わずに 君は沈んだ
金魚すくい そっと逃がした 指の跡 つかんだものは 幻だった
冷房の 音だけ残る 午後二時に 「またね」と言った 君はいなかった
朝焼けに 紛れたキスが まだ熱い 幻のくせに 本気でくるな
ひと夏の幻 ソコニ @mi33x
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます