初心者のための小説の書き方

雨宮 徹

初心者のための小説の書き方

 「小説を書きたいけど、何について書けばいいか分からない」「どうやって小説をかけばいいか分からない」 初めて執筆する方の悩みかと思います。今回は「小説を書く手順」について、テーマ決めから順を追って解説します。



◼️テーマ


 小説を書くとき、最初に決めるのは「テーマ」です。テーマ(読者に伝えたいこと)を決めずに「さあ、書くぞ」とはいきません。では、どうやってテーマを決めるのがいいのでしょうか。


①小説を書きたいと思った理由から探す


 「小説を書きたい」と思ったのには、何か理由があるはずです。「読んだ小説に影響を受けて、書きたいと思った」などです。


 何かに影響を受けたのなら、「どこが自分の心を動かしたのか」について深掘りしましょう。この時、重要なのは「なぜ?」を繰り返すことです。


「なぜ、この本を読もうと思ったのか」「なぜ、心を揺さぶられたのか」「なぜ、小説を書いて自分の想いを伝えたいと思ったのか」 このように「なぜ?」を繰り返すと、テーマが見えてきます。


②小説家に憧れているなら


 「何かに影響を受けた」のではなく、小説家そのものに憧れて書きたいと思う場合もあるでしょう。この場合、どうやってテーマを決めればよいのでしょうか。小説で取り上げられることの多いテーマを列挙します。


・愛情・友情・努力・憎悪・嫉妬


 これらは一例ですが、気になるものを深掘りすればテーマが見えてくるかもしれません。注意として、宗教や政治をテーマにする場合は、慎重になる必要があります。


③「自分の中の“違和感”や“怒り”」に目を向ける


・「なんで努力してるのに報われないんだろう?」

・「こういう社会はおかしいと思う」

・「このキャラクター、どうして報われないの?」

 このような違和感・怒り・悲しみ・納得できないことは、物語を駆動する強力なテーマになります。


④「読者にどう感じてほしいか」から逆算する


 「読み終えたときに、読者にどんな気持ちを味わってほしいか?」と考えてみましょう。・涙を流してほしい →「喪失」「再生」・前向きな気持ちになってほしい →「挑戦」「希望」・考え込んでほしい →「正義」「罪」「記憶」 これは感情的な出口からテーマに向かう方法です。


◼️アイデアの決定


 テーマが決まったら、次にすることは「アイデアへの落とし込み」です。テーマという抽象的なものを具体化する必要があります。


①「もし〜だったら?」と仮定する(着想を得る)


 テーマを現実世界から少しズラして、「極端な状況」に置いてみると、物語が動き出しやすくなります。


例)テーマ:努力は報われるのか?→ 仮定:「どれだけ努力しても“成功が他人に割り振られる世界”だったら?」


例)テーマ:親子の絆→ 仮定:「目の前の子どもが“未来から来た自分の子ども”だったら?」


②「誰が」「何に」悩むかを考える


 テーマを「キャラクターの悩み・課題」として落とし込みましょう。物語は、誰かの問題解決の過程です。


例)テーマ:自己肯定感の欠如


→ 主人公:自分の容姿に強いコンプレックスを持つ女子高生→ 悩み:周囲に評価されても「自分は価値がない」と思ってしまう


③その悩みに「何をぶつけるか?」を考える(=物語の展開)


 主人公が変わるためには「きっかけ」が必要です。外からの出来事・他人との出会い・衝撃的な事件などをぶつけてみましょう。


例)・偶然SNSでバズってしまい、自分を演じる苦しさを味わう・誰かの言葉がきっかけで、「他人の視線より自分の声を信じていい」と気づく


④結末から逆算して構成する


 テーマを一貫させるためには、最後に何を伝えるかを意識しましょう。


例)テーマ:友情とは何か→ 結末:「離れていても思い合うことが友情」→ それを伝えるために「別れ」や「喧嘩」の展開が必要になる


◼️プロットの作成


 アイデアが決まったら、次はプロット(=物語の設計図)作りです。プロットが固まっていないと、途中で続きが書けなくなることもあります。


①物語の長さを決める


 プロットを書き始める前に、小説の長さを決めましょう。初心者の場合は短編から始めることをおすすめします。ラストシーンまで書かないと、経験値にならないからです。


 では、「このアイデアは長編にしたいけれど、初心者」という時はどうすればいいのでしょうか。小説投稿サイトへ掲載する場合は、まず短編として書いてみましょう。そして、経験値を積んでから長編へとリライトすることをおすすめします。


②舞台や世界観を決める


 アイデアをより具体化するために、舞台や世界観を決めましょう。アイデアによっては、世界観が決まっている場合もあります。


 テーマが「親子の絆」で、「目の前の子どもが“未来から来た自分の子ども”だったら?」というアイデアならば、現代が舞台となります。あるいは、近未来を舞台にして、タイムマシンが存在する世界という設定もありえます。ここで、ジャンルが決まることもあります。今回の場合は、現代ドラマかSFです。


③物語の展開を考える


 世界観が決まったら、物語の展開作りです。基本的には、起承転結や序破急を意識して展開を考えます。


 起承転結は長編に向いていて、序破急は短編に向いています。序破急はテンポが早く、短編と相性がいいからです。


 ここでは、桃太郎を例に起承転結を考えましょう。

起……老夫婦が桃が見つけ、その中から生まれる。

承……きび団子を与えて犬などを仲間にする

転……鬼退治を成功させる

結……宝物を持って老夫婦のもとへ帰る


 別の方法として「5W1H」に沿って考えることもあります。


・Who(誰が?)・When(いつ?)・Where(どこで?)・What(なにを?)・Why(なぜ?)・How(どのように?)


◼️キャラクターを決める


 プロット作成が完了したら、次はキャラクター作りです。キャラクターを作る時のポイントの具体例を挙げます。


①ポジション(立ち位置)


主人公なのか敵役なのか。最初は敵でも、物語が進むと仲間になる場合もあります。


②性格


優しいのか怒りっぽいのか。あるいは誰かには優しく、他の人には厳しいのか。


③セリフ


丁寧語なのかタメ口なのか。誰にでも同じしゃべり方なのか、人によって言い回しが変わるのか。


④魅力的なキャラクターを作るには


 長所だけでなく短所も考えましょう。スーパーヒーローも短所や悩みがあります。悩みなどがない超人だと、読者が感情移入できません。主人公には、欠点も作りましょう。


 キャラクター設定の意外な落とし穴としては、次のようなものがあります。


・仲間に対して、普段は「呼び捨て」なのにバトルシーンで「さん呼び」になる。


 普段は丁寧語で、緊急時は呼び捨てになるのが一般的です。また、物語全体で呼び方にゆれがないか注意しましょう。


■人称


 キャラクター決めが終わったら、次は「どのような視点で書くか」がポイントになります。


①一人称


 基本的に「主人公視点」なので、地の分で「僕は~と思った」「私は~した」といった表現が可能です。初心者におすすめです。


②三人称一元視点


 ある特定の登場人物の視点から描写したものです。一人称とは異なるため「僕は~と思った」という心情表現はできません。脱初心者の方向けです。


③三人称神視点


 物語世界外の語り手の視点から「全知全能」の存在(=神)として描写します。


■執筆における基本ルール


 ここまでは、「どのような小説を書くか」に焦点が置かれていました。次は、「実際に書くにあたっての注意事項」です。


・行の頭は一文字あける。・数字は漢数字にする。・感嘆符(!や?)の後ろは一文字あける。・「」内の最後の文章には「句点(。)」はつけない。・「三点リーダー(…)」や「ダッシュ(―)」は、偶数回で使う。


 具体例はこちらです。まずは、間違った文章からです。


「昨日の夕飯は、カレーだったんだ。」

僕は、A君に言った。

「へえ、そうなんだ。うらやましいな!俺は1か月は食べてない」

A君のセリフを聞いて、僕は気まずくなった。僕だけ、いい思いをしているような気がした…。


 正しく書き直すと、このような形になります。


「昨日の夕飯は、カレーだったんだ」

 僕は、A君に言った。

「へえ、そうなんだ。うらやましいな! 俺は一か月は食べてない」

 A君のセリフを聞いて、僕は気まずくなった。僕だけ、いい思いをしているような気がした……。


 あらかじめ基本ルールを知っていないと、推敲・校正の時にすべて見直す必要がでてきます。注意しましょう。


 小説投稿サイトの場合は、上記以外にも気をつけるべき要素があります。


・段落はこまめに変える。行間は二行ほどあける。→WEBという特性上、字がぎゅっと詰まっていると画面が真っ黒になります。せっかく名作を書いても、読者が離脱する要因になりえます。


・一話ごとの終わりは「次も読みたい」と思わせる工夫をする→イメージとしては「週刊漫画」です。「続けて読みたい」という引きがなければ、読者が離れる可能性がでてきます。


■推敲・校正


 推敲と校正は、別のものです。


・推敲……筆者が文章の内容やリズムなどを整える作業

・校正……誤字脱字や文法の誤り不備を修正する作業


①推敲


 推敲する際は、こんな要素に気を使いましょう。


・一文が長すぎないか(リズムの見直し、文章のスリム化)・より良い表現はないか・同じ語尾が連続していないか(三度以上、同じ語尾「~した」「~です」だと、文章が単調になります)


②校正


 校正する場合は下記について、注意を払いましょう


・誤字脱字・誤変換・表記のゆれ


■まとめ


 ここまで、テーマ決めから推敲・校正まででした。各項目を簡単にまとめて終わります。


①テーマ……読者に伝えたいこと。読者にどう感じて欲しいか? から考える。

②アイデア……極端な仮定をすると考えやすい。

③プロット……起承転結や5W1Hから組み立てる。

④キャラクター……欠点を持たせると魅力的なキャラクターになる。

⑤人称……小説の印象を左右するので慎重に決める。初心者は一人称がおすすめ

⑥基本ルール……執筆前に再確認する。

⑦推敲・校正……より良い表現を探す。誤字脱字、表記ゆれに注意する。


 この記事が皆さんの執筆活動の役に立てば幸いです。




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初心者のための小説の書き方 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993

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