こんな【かぐや姫】はイヤだ。

レッドハーブ

こんな【かぐや姫】はイヤだ。

むかしむかしのおはなしです。あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは竹を切ってかごやざるを作って暮らしていました。


ある日のこと…

竹林に行くと光っている1本の竹を見つけました。よく見るとその竹は黒い点線がありました。

点線に沿って切ってみると…

竹の中には女の赤ん坊が入っておりました。


(…ということは!)


おじいさんは辺りの竹を、勢いよくばっさばっさと切りました。しかし他の竹からは女の子は出てきませんでした。


(はーれむらんど建設ならず、か…)


おじいさんは、赤ん坊を家につれて帰りました。


「竹から生まれたから…竹姫はどうじゃ?」


赤ん坊は泣き出しました。いろいろ考えた末、かぐや姫という名前におちつきました。


そうして月日は流れ…


かぐや姫は美しい娘になりました。

「類は友を呼ぶ」という言葉があるように、かぐや姫には歳が同じくらいの友だちがたくさんできました。それを間近で見ていたおじいさんは、鼻の下が常に伸びきっていました。


(できるかもしれん…はーれむらんどが…!)


おばあさんにいたっては、かぐや姫の人気を利用して見物料をとるようにしました。するととてももうかりました。


(儲かるわね。次は握手料でもやろうかしら…)


しかし、それだけお金をとっても、いろんな所から求婚がありました。求婚を断るおじいさんの姿を見かねたかぐや姫は、不思議な宝物を持ってきた者と結婚すると言いました。


それから数人かの名のある若者が宝物をもってきました。しかし、すぐに偽物だとかぐや姫は見破ってしまいました。その間にも若者がいろんなものを置いていくので、家はものでいっぱいになりました。


「こんなにみつぎ物が…これじゃ、かぐや姫じゃなくて…家具屋かぐや姫じゃな!な〜んてね☆」

「……おじいさん………」

「……あ、あはは………」


おじいさんはまわりを静寂せいじゃくにつつむ才能がありました。


それからいくぶんたった日のこと…かぐや姫は月を見るたびに悲しそうな顔をしていました。


「どうして悲しそうにしているの?」

「実はあなたがたに嫌気が…じゃなかった、私は月からきたのです。もうすぐ月に帰らなければなりません…」

「なんだって!?」

「はやく帰りた…じゃなかった、おふたりとお別れするのが悲しいのです」

「そんな…迎えがくるのはいつだい!?」

「7日後の夜です」

「はーれむらんど計画は…どうなるんじゃ…?」

「「 知るか!! 」」


( ( かぐや姫を手離したくはない…! ) )


次の日、おじいさんはみんなに事情を話しました。今まで儲けたお金を使い、たくさんの武士をやとってかぐや姫を守る作戦をたてたのです。



迎えが来る日の夜、月が山の上に現れると、金色の光が辺りを照らしました。その明かりの中から月の使者が現われ、家の上に降りてきました。


「いまだ!矢をはなてぇ!!」


武士たちは矢を放ちましたが、矢は当たりませんでした。月の使者が近くに来ると、武士たちは力を失い、眠りに落ちてしまいました。


「待ってくれ!行かないでおくれ!」

「やっと帰れる…じゃなかった、ごめんなさい…」

「月の使者とやら、待ちなさい!かわりに…ばあさんをやろう!だから…」

「あんたは…星になりな!」


BAKOOOOOOON!


おばあさんのふるすいんぐが見事にきまり、おじいさんは夜空の星になってしまいました。


かぐや姫はゆっくりと空高く上がっていきました。


「いつまでもお元気で。さようなら…」

「「かぐや姫〜」」


かぐや姫は、おじいさんとおばあさんにお別れをいうと、天にのぼっていきました。

その日は2人とも枕をらして床に着きました。


(わしは…はーれむらんどを…あきらめんぞ!)

(また…見物料で儲けたい…!)


次の日から第2のかぐや姫を求め、2人は山へ行き、竹を切りまくりましたとさ。

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