さまざまな異種族と人間が共存する街、淡海県河都市。『どんなことでも応相談』をモットーにする便利屋シバモトの社長の柴本光義は、柴犬の獣人で元陸上防衛隊の退役軍人。同じく訳ありの従業員たちと、日々さまざまな頼みごとや困りごとを引き受けている。そんな彼らのもとへ、今日もまたひと味違った依頼が舞い込んでくる――。
獣人や幻獣が実在する現代社会を舞台に、日常のトラブルの解決に奔走するストーリーがファンタジックで面白いです。
のんびりとした性格ながらも行動力にあふれた柴本をはじめ、元ヤンキーやハッカーなど、一癖も二癖もある従業員たちが愉快で、地元の人々も人情味が溢れていて微笑ましくなります。
便利屋という看板の通り、柴本たちはどんな依頼も応じる。寂れた商店街のPR活動や、ドラゴン同士の喧嘩の仲裁、農作物を狙う泥棒退治など、ときにはまったく専門外の依頼が飛び込んできますが、毎度ドタバタを繰り広げながら仕事をこなしていく光景が楽しいのですよね。
事件や騒動を通して、キャラクター背景や世界の成り立ちも徐々に明かされて物語の深みを感じさせます。人と人とのつながりが心を温めてくれる、ちょっと変わった"お仕事もの"ファンタジー。
(「代行サービス」4選/文=愛咲優詩)
【5/25 現状の全話を読み終えた段階でのレビューとなります】
舞台としては現実に近い世界観の地方都市
獣人が普通に暮らす世界ではみ出し者だった主人公たちが
便利屋、何でも屋を営み降ってくる依頼を解決するといったのが
話の展開となります。
しかしこの世界、現実よりも若干治安が悪くもあります。
人と獣人の差別問題やイリーガルな薬物、そして荒んだ住人達。
一見モフモフした可愛い獣人達の世界観がホイップクリームの様ですが
中を覗き込むとそこにはビターなコーヒーの様な世情が待っています。
それでも最後に底に溜まったザラメの様な優しい甘さの残るオチが
作者様の持ち味なのでしょう。
導入のとっつきやすさに比べると数話読んでのビター加減に
面を喰らう部分はありますが、
古き良き人情噺を思わせるオチは読後に爽快感と満足感を
与えてくれますので少しでも興味を持たれた方は
お読みになるのがお勧めです。