第2話
それは、蒸し暑い真夏の夜のお話。
「うんたろー!いい加減起きなさい!」
母が言った。
「うっせえババアこんにゃろー」
今日も典型的な会話が部屋に響く。
外は、いつもより晴れている。学校に行くには絶好の日だ。
今日は、自分が片思いしている紅葉ちゃんの誕生日パーティーがある。なので、とても気分が高揚していた。
「スナバァ」
乾いたこの言葉が静寂の食卓に響く。
この言葉は、自分が興奮した時に出てくる口癖だ。正直言って自分でも恥ずかしい。しかし、チックのように出てくるので止められない。
「紅葉ちゃんのとこでは口癖控えてね。」
「うるせえスナババア」
そう言って家を出た。
学校で、紅葉ちゃんが、「今日はありがとう!宜しく」と言ってきた。俺は、マリモッコリしていた。鬼太郎のレーダーがビンビンだった。
今日は、みんなの意見で紅葉ちゃんに一人一人プレゼントをすると決めていた。
俺は1週間前にはもう決めていた。それは完璧なプレゼントだと自負していた。
放課後、みんな紅葉ちゃんの家に集まる。
大体十人くらいだろうか。
俺は部屋の電気を消した。
奥の部屋から赤色に散った火花ととともに、純白の苺ケーキが登場した。
それは紅葉ちゃんのもとに運ばれてくる。
そのケーキに乗った苺は、俺の脳内で紅葉ちゃんの『ソレ』を彷彿とさせる。
スナバァ、スナバァ、、、。俺は必死に自分の気持ちを抑える。
紅葉ちゃんは大きなケーキを等分した。
ケーキを食べ終えると、いよいよみんなからのプレゼントの時間がやってくる。
みんなは、時計などのプレゼントや、現金などのプレゼントを渡した。
最後に、自分の番がやってきた。
俺は、彼女に、ラップを披露した。
「お前は俺の彼女
宮西投げるかとフォ
俺がにぎるぜマイクロフォン
老舗の味わいオンボロ丼
ムラがあるところどころ
ムラムラしちゃってるぜこのごろ yeah」
みんなは、引いた。
我的地獄編 うんたろうー @hayato1224
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