第9話 新しい家族



「俺の腹の中に子どもが……?」


「あぁ。でかした」


「っ……、良かった。あなたとの子を授かって、俺は幸せです」




涙ぐみながらそう答える彼は超絶に可愛い。


 けれどもこれでまた仕事が増えた。今進めている式の準備も少し変わってくる。


 時期によっては体型が変わって今用意している服が着れないかもしれない。


 彼の体調次第では進行も削らないといけないだろう。


 それに産まれてくる子の為に用意しなければいけない事も山ほど……。




「こりゃあ、ゆっくり休んでいる場合じゃないな」




とても大臣達だけではさばききれないだろう。


 俺は離れがたい気持ちを無理矢理抑え込んで彼の手を握り仕事に行って来ることを伝えた。




「頑張ってきてください……あなた」




はみかみながら俺の妻がとんでもない爆弾発言をしてくれた。




 どうしよう。仕事超絶行きたくない。




「もう一度、今のを頼む」


「え? えーっと……頑張ってください」


「違う」


「っ……頑張ってください、あ、あなた」


「もう一回」


「っ……、そんな何度も、恥ずかしいです」


「大丈夫だ。照れているお前も充分可愛い……痛てっ!」




手を握りしめて何度も妻を恥ずかし責めしていたら唐突に頭を殴られた。 


 国王である俺を遠慮なく叩けるとあれば母か幼馴染かに決まっていて。


 案の定、振り返ると連日の徹夜仕事で目の下を真っ黒にした幼馴染は血走った目で俺を見ていた。




「ご懐妊おめでとうございます。王妃様はゆっくりお休みくださいませ。もうあなた一人の身体ではないのですからお気を付けください」




奴はまず俺の妻にそう告げた後、俺の耳を引っ張って歩き始める。




「さて。では王様は執務を頑張ってこなしてください。仕事が終わるまで王妃様の元には通わせませんよ」


「そんな殺生な!」


「文句言っている暇があったらとっとと片付けろ。お前なら一日死ぬ気でやれば終わる……そしていい加減俺を寝かせてくれ」




最後は懇願だった。


 くっきり隈がある幼馴染の顔を見てしまったら文句を言えるはずもなくその日は本当に死ぬ気で仕事に専念することになった。


















 後にセージは無事に皇太子を出産した。


 その後も俺達が変わらぬ愛を貫いた結果、彼は俺の子を7人産むことになる。


 その間にはセージの母国であるコランバインの革命に助力したり、セージの家庭教師を務めていた学友がいつの間にか幼馴染とお付き合いし始めちゃったり、成人したうちの馬鹿皇太子がマーレ国の姫に出会ったその日に一目惚れしてお持ち帰りしちゃったりと実に色々な事件があっちゃったわけなのだが。


 それはまた別の機会に話すことにしよう。


終わり


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花嫁が俺よりも体格の良いイケメンのΩだった件 kouta @kouta2025

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