◆ 想いの再会

空に浮かぶ星々がひとつ、またひとつと輝きを増していく。


 その光の中から、ミルクのかつての記憶があふれ出す。


 ――マオの笑顔。

 ――遊んだ日々。

 ――別れの日。


 そして、今。


 その光の中に、少女の幻影が現れた。


 「……マオ?」


 ミルクが歩み寄る。


 少女は笑い、涙を流しながらミルクに語りかける。


 「会いたかった……ミルク。ずっと、ずっと……ごめんね。大好きだよ」


 ミルクは、ただ静かにうなずいた。


 「ぼくも、大好きだよ。忘れてないよ。ずっと、心にいたから」


 光はやがて、空へと昇っていった。


丘に静寂が戻った。


 泉は再び眠り、星のかけらは光となって空へ還った。


 「……これで、本当に終わったのか」


 クロウが小さく呟く。


 「ううん、始まりだよ」


 ミルクが言った。


 「これからは、ぼくが“星の記憶”をつなぐんだ。忘れられた想いを、誰かに届けるために」


 ポムが笑う。


 「ミルクらしいね。じゃあ私も……一緒に届けようかな。“今度こそ”裏切らない自分で」


 クロウもそっぽを向いて言った。


 「オレは……気が向いたらな。けど、まあ……また面倒くさそうな奴らを守ってやるのも、悪くねぇ」


夜。星の丘の上に、三匹の影が寄り添っていた。


 風が吹き、星空が広がる。


 ひときわ大きな流れ星が、空を横切った。


 「願いごと、した?」


 ポムが囁く。


 ミルクは、そっと目を閉じた。


 ――“大切なものを、忘れませんように”

 ――“ひとりじゃない、って思えますように”


 そして、声に出さずに、もう一度呟いた。


 「ありがとう。ぼくを見つけてくれて」

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星の子猫ミルク 神鷹聖花 @nexttime

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