第9話 人形にしては、人間すぎる
「ここが、先輩の家だよね……」
学校から出て、20分ほど歩いた所にあった先輩の家。普通の2階建ての一軒家である。庭は整備されていないのか、雑草が好き放題日を浴びて、伸びている。
手をインターホンに伸ばして、止める。ここだけ水の中のように手が重い。
震えながらその出っ張っているボタンを押した。
ピンポーン。
「んっ……」
無機質な音に思わず声を上げる。周りの騒がしい雑音が聞こえなくなって、手が震えてきた。
……どれくらい待っただろうか。まだ10秒しか経ってない気もするし、1分は経った気もする。
その時目の前の扉から恐る恐ると言った感じで、顔が出てきた。
「……どうぞ」
……3週間ぶりくらいに聞いた、先輩の声。でも、ちゃんと喋ってる所は1年ぶりに聞いた。
「は、はい……お邪魔します」
扉を開けて家の中に入る。家の中は奇妙なほど静かで、思わず息を呑んでしまうほどだった。
とりあえず玄関を出てすぐ左にあったソファに腰掛けた。
そうしている時、前のソファの前に置いてある木製のお洒落なローテーブルにオレンジジュースが入ったコップが2つ置かれた。
「……どうしたの?」
先輩が澄んだ綺麗な目でこちらを見つめながら私に問いかけた。美しすぎて、見惚れてしまったのは秘密にしておこう。
「……私たち、「先輩は人形なんかじゃない、人間なんだ」、「先輩は可愛いんだ」ってみんなに知ってもらいたくて……遅すぎたかもしれないけどせめて!……名誉挽回だけは、させて欲しいんです」
一気に話して乾いた喉をオレンジジュースで潤す。
私の話を聞いた先輩の目は相変わらず美しいままだった。何を考えているか、それを考えるほど深淵に手を突っ込んで行っている感覚がする。
そんな時、先輩からまったく意外な言葉が飛んできた。
「……なんでそんなことするの?」
「え?」
「……実際私はにんぎょうだよ?後、私が不気味なのは自分でもわかってるから……だからお母さんとお父さんはにげちゃったし、お姉ちゃんも……ううん、なんでもないよ」
先輩は苦笑いといった表情で語る。
……なんで先輩はネガティブなことを言う時だけ饒舌になるんだろう?
苛立ちがクツクツと沸いてくる。
「そんなことないです!じゃあ今見せてるその表情はなんなんですか?人形にはそんな芸当できません!」
「っ……!でも、それは詩音相手だから……いやなんでもない、忘れて」
何かをボソッと呟いて、かなり小さな声で聞こえなかった。
「でもさ、不気味なことには変わりないんだよ?だから周りから人がどんどん離れいく……詩音も結局さいごには離れていっちゃうんでしょ?……もう、人間関係できずつくのは、もう、いっぱいいっぱいなんだよ……」
……何か過去にあったのだろうか?それを思わせるような言い方だった。
でも、聞こうとは思わなかった。なぜだか聞いてしまったら先輩が壊れてしまう気がしたのだ。
「私は……私はっ!絶対先輩のこと裏切りません!……どんなに周りが敵になっても!もし、先輩が犯罪を犯しても……!私だけは先輩の友達でいます!!」
私は声を荒げて、先輩に対して根拠もない宣言をした。
「っ……!?」
私の気持ちを聞いて、先輩は目を見開いたように見えた。
「なんで……そんな根拠のないことを自信満々に言えるの?」
「……先輩は覚えてないかもしれませんけど……私、先輩に何回も助けられてるんですよ」
私は……何回も、何回も先輩に助けられてきた。先輩が人とコミュニケーションを取らなくなってからも、私は何度も何度も先輩に助けられた。
「その恩を……!私は、返したいんです!!なのに、先輩を裏切るような……そんなことするわけないじゃないですか……」
「っ……」
先輩はさっきより驚いたように見えた。「信じられない」という気持ちが垣間見える。
「だから、お願いです……私と、私の親友たちが、先輩の名誉挽回をする機会をください!」
「……うん、お願い」
「っ……!ありがとうございます!先輩っ!」
最後に少し笑顔を見せてくれた先輩に、私は思いっきり抱きついた。
……抱きついた後に少し落ち着いてから、先輩に名誉挽回の作戦を説明した。
「……よしっ!明日から頑張るぞ……!」
私は頬を手で叩いてから、前に向いて自分の家を目指して歩き出した。
……そして、なぜかオレンジジュースの素を何個か貰って自宅に帰った。
◇
みなさんこんにちはカフェオレです。
まず、すいませんでした!!投稿に1週間ほどのムラが出来てしまいました……
理由としましては、私は、カクヨムのキャンペーンで毎日投稿のキャンペーンに参加していまして、それでモチベ爆上げだったんです。ですが、1日だけミスって投稿できなかったんですよ。はい、まあ、それでモチベがなくなってしまっていたってことです……すいません。
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不登校の私の家に私のことが好きらしい後輩が来るようになった カフェオレ @cafe772
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