わたしのままで
西しまこ
わたしは夢に見ている
誰かの妻ではなく
誰かの母ではなく
或いは誰かの娘でもなく
わたしは、ただのわたしのままでいたい
幸せになって欲しいと懸命に努力した
けれど、それは陽炎のようなもの
無慈悲な残虐がわたしを貫き
無情な言葉の槍が胸を赤く染める
無軌道なふるまいをただ笑って見ていればよかったのかもしれない
無感動な眼差しでも愛し気なる仮面をつけて
なんて拠り所のない生きざまなのだろう
わたしには座る椅子さえない
夜、安心して眠れる場所があったのならいいのに
無慈悲な残虐もなく
無情な言葉もなく
無軌道なふるまいもなく
深く息を吸って
深く息を吐いて
わたしは憂いなく眠りたいのだ
家の中に誰もいなくなる
無感動な眼差しで脱ぎ捨てられた衣類や捨て置かれたプリントの束を見る
家の中に誰もいなくなる
不在がこんなに安心をもたらすとは露知りもしなかった
全てを捨てて、自由に歩いていけたらいいのに
さみしいかもしれない
渾沌を愛しく思い出すかもしれない
だけど、わたしは自由で孤絶したその「ただのわたし」を夢に見ている
わたしのままで 西しまこ @nishi-shima
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