推しでごまかしてきたけど

@joha_miyu

第1話

「緊張する~!!かっこいい先輩いるかな!」

私は大川みき、大学に入学して一週間。今日はサークルの新入生歓迎交流会。

隣でみじんも緊張してなさそうに話すのは高校から同じクラスだった天川さき。

大学でも英語で同じクラスになった。

今日はベース経験者のさきの影響で軽音楽サークルの交流会に参加している。

「1回生やんな~!!名前は?」

2回生のドラムパートだという関西弁を話す先輩、鈴木りょうさん。

すごく顔が整っていてさきのテンションが明らかに高くなったのを感じる。

「みきちゃんは?経験者?」

さきの話を聞き終えたのか、私に話を振ってくる。

「バンド系の楽器はしたことないです。」

「バンド系ってことはほかになんかしてたん~?」

明るくて話しやすい先輩が多そうで良かった。

吹奏楽部でサックスを経験していたこと、希望楽器はギターということを話していたところで、全体に集合がかけられ、新入生同士でバンドを組むことに。

「すきなバンドとかある?」

さきは経験者ということもありすぐに誘われていた。

私はさきの影響でこのサークルに来たので好きなバンドといえるようなバンドはない。そもそもどの歌手がバンドなのかどうかすら怪しい。少ない知識でギリギリ知っていたマカロニえんぴつと答える。

「あ~まかえんならちあきさんじゃない??」

そう言い、そのちあきさんという人のところに連れて行かれる。


かっこいい。

第一印象はその一言だった。

高身長でもなければ主演を張るイケメン俳優ににているわけでもない。

どちらかというと好みの分かれる演技派俳優に似ていた。

イケメン好きのさきのタイプとは真反対だ。


「みきちゃんね!まかえん好きなんよな。一緒にバンド組もう~」

まかえんが好きという4回生のちあきさん。2、3曲しか知らないのに好きだと言ってしまったことに少しの罪悪感を抱えながら、ちあきさんと組んだバンドで新入生ライブに出演することが決まった。



「ねぇ!りょうさんめっちゃかっこよくない!?」

やっぱり。タイプなんだろうなと思ってたよ。

さきからりょうさんの話を十分少し聞いたところで私の話に。

「みきは?かっこいい人いた!?」

「みんな優しくていい人だったよ。」

「そっかーまたいい人いたら報告してね!」

なんとなくちあきさんのことは隠した。4回生はあまりサークルに顔を出さないということもあり、今後どうかなるわけでもないし言うほどのことでもないかなと思った。


数日後の昼休み、大学の路上でこの前見学したサークルが新歓ライブをしているところに通りがかった。ギターを持ったちあきさんを見つけた。ライブ、出るのかな。

そう思っていると次のバンドの準備が始まった。センターにはちあきさんの姿が。





釘付けになった。全力で歌うちあきさんに。

引き込まれた。ロックバンドなんて聞いたことなかった。

あの陽気で明るいちあきさんだとは思えないくらいかっこよくて。

このとき、この気持ちの正体なんてわからなかった。

でも何かが始まる気がしていた。

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